読売に大勝 悔しい逆転サヨナラ負けがチームの集中力を高めたのか
昨夜のジャイアンツ戦でまた一つ野球の怖さを教えられた。
2-1という僅差のリードを保って迎えた9回裏二死一塁の場面で森原康平が長野選手を1-2と追い込んでからサード正面のゴロに打ちとってゲームセット、と誰もが思ったところ、バウンドが合わずに待って捕球した柴田竜拓がややバランスを崩したのかファーストに中途半端なハーフバウンドの悪送球。
ファーストのオースティンは捕球できそうなボールだったがミットに収まらずセーフとなった。
記録は守備固めでサードに入った柴田選手のエラー。
その後、中山選手に同点タイムリーを打たれて延長に入り、最後は回またぎの佐々木千隼が12回二死走者なしまで漕ぎつけたものの、オコエ選手への初球が吸い込まれるように真ん中に入るストレートという明らかな失投。
逆転サヨナラホームランを浴びて敗戦したのはご存知の通り。
私は久しぶりにESES症候群(注)を発症しそうになったが、何とかなだめすかして踏みとどまった。
注) ESES症候群:エラー(E)の後の柴田(S)のエクボ(E)が癪(S)にさわる症候群
首位ジャイアンツに加えて、2位カープ、3位タイガースも勝ったために、我がベイスターズは首位まで5.5ゲーム、3位まで3ゲームという悲しい差をつけられてしまった。
これで、今日の試合は何度目かの“これで負ければ今季は終了”というような土俵際のゲームとなってしまった。
悪いことは重なるもので、先発予定だった大貫晋一が練習中に背中の違和感を訴えて離脱し、ファームで昨日登板予定だった吉野光樹投手が急遽1軍に呼ばれて先発することになった。
一昨日の記事に書いた通り、「天は我々を見放した」と感じるような巡り合わせだった。
しかし、誠に手前勝手ではあるが、同じ記事で書いた以下の文章は言霊となって今日の試合の展開をもたらすことになったのではないだろうか?
“しかし、こう言う時に限って、吉野君が一世一代の好投を見せてくれたり、打線が爆発して菅野投手を攻略したりすることもあるので、まだ諦めるのは早い。
私たちにできることは、いつもよりも祈りのボルテージを上げて声援を送るのみだ。
頑張れ、ベイスターズ!”
実際にはジャイアンツの先発は現在最多勝の菅野投手ではなく、4月3日以来の先発マウンドとなるメンデス投手だったが、吉野君の一世一代の好投と打線の爆発は正夢となった。
初回先頭の梶原昴希のサードゴロを岡本選手が退がって捕球してファーストに悪送球すると言うエラーでラッキーなランナーを出した(柴田の呪いか?)
さらに、牽制悪送球の間に梶原はセカンドに進み、2番蝦名達夫は四球。
佐野恵太が三振で一死一、二塁となったが、4番タイラー・オースティン、5番牧秀悟の連続タイムリーツーベースで一挙3点。
立ち上がり不安定なメンデス投手はさらに宮﨑敏郎と山本祐大に連続フォアボールを与え、一死満塁となったところでジャイアンツベンチはたまらず投手交代を決断した。
続く京田陽太は代わった赤星投手から犠牲フライを放って初回に4点を挙げることができた。
吉野投手はこの援護点を力に変えて、勇気を持ってジャイアンツに打者たちにストライクゾーンで勝負していった。
初回、好調の吉川選手に甘く入った変化球を見事に捉えられるなどで一死一、二塁のピンチを迎えたが、岡本選手、大城選手という怖い主軸打者をいずれも空振り三振に打ちとったことでリズムを掴むことができた。
今日の吉野投手は右打者に対しても左打者に対してもインコースをしっかりつくことのできる制球力があったし、ボールゾーンに鋭く落ちるフォークとストライクゾーンの中でチェンジオブペースになるようなフワッとしたフォークを投げ分けてバッターに的を絞らせなかった。
左打者のインコースへのカットボールも非常に有効に機能していたように見えた。
6回、93球、被安打6、奪三振5、与四球1、失点0というQSの働きで2勝目を挙げることができた。
前回(7月13日)のジャイアンツ戦では5回2失点で敗戦投手となり、特にこの時は今日の初回と同じような局面で岡本選手にタイムリーを打たれていただけに、今日リベンジ出来たことで随分と自信を持つことができたのではないだろうか?
大貫投手の離脱や好調だった石田裕太郎投手がこのところ打ち込まれていることから、シーズン終盤になって吉野投手がローテーションの一角を占める可能性は十分にあると思う。
そう思わせてくれるピッチングだった。
試合後のヒーローインタビューでも本人の自覚と情熱を感じさせるコメントを発しており、ここに来て楽しみな選手が1人増えた。
さて、打線の方は2回にもオースティン、牧の連打で一点追加し、さらに、9回にも先頭の梶原選手のツーベースを足がかりに、三度、オースティン、牧の連打でダメ押しの3点を挙げて8-0で快勝した。
吉野投手が6回で降板して以降は、坂本裕哉、ウィック、森唯斗が無失点で繋ぎ、昨日使い込んでしまった勝ちパターンのリリーフ陣を温存できた点でも良い勝ち方だった。
これで首位巨人まで再び4.5ゲーム差、そしてカープもタイガースも敗れたため、3位との差は2ゲームとなった。
火曜日からはそのタイガースとの直接対決の3連戦が甲子園で予定されている。
ここで勝ち越すことができるかどうか、これがベイスターズが次に越えるべきハードルと言うことになる。
打線の状態は相変わらず悪くない。
先発は東克樹、アンドレ・ジャクソン、アンソニー・ケイと言うカープをスイープした3投手だ。
タイガースも高橋、村上、大竹と言う難敵の三投手を起用してくることが予想されるので、決して楽な戦いではないだろう。
しかし、9月のこの時期に未だ優勝にギリギリ手が届く位置で首位を追いかける真剣勝負ができることを、選手たちは勿論、我々ファンも楽しむべきだ。
“わくわくするのは追いかけている時のことさ。
それに比べりゃ、後の楽しみなんて小さなもんさ”
ウィリアム・シェークスピア
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