ブルペンの世代交代を感じさせる引き分けだった
今日の先発アンドレ・ジャクソンは球威こそいつも通り素晴らしかったが、立ち上がりから制球に苦しんでいた。
初回には二死から吉川、岡本の好調な三、四番の連打で満塁のピンチを背負うも、甲斐選手を外野フライに打ちとり無失点に切り抜ける。
2回も先頭の中山選手に対して3-1とカウントを悪くしてからストライクを取りに行った甘いボールを捉えられセンター前ヒット。
しかし、続く門脇選手を高めのチェンジアップで見逃し三振に打ちとり、スタートしていた中山選手を山本祐大がセカンドで刺した。
この三振ゲッツーあたりから調子が出てきたように感じた。
3回、4回、5回はいずれも三者凡退に抑え、特に4回は岡本選手から始まる3人を三者連続三振。
一方、ベイスターズ打線はジャイアンツの先発井上温大投手の切れ味の良いストレートに差し込まれる場面が多く苦労していたが、4回先頭の筒香嘉智がラッキーなコースヒットで出塁し、続く宮﨑敏郎のツーベースで無死二、三塁。
ここで勝負強い山本祐大の2点タイムリーヒットが出て2-0とベイスターズが先制。
レフト前ヒットで決して俊足とは言えない宮﨑選手がセカンドからホームまで走ったのは意外だったが、無死にもかかわらず思い切った良いスタートだった。
5回までを見る限り、良い時のジャクソン投手が戻って来たと思っていたのだが、6回には二死から吉川、岡本の連続ツーベースで1失点。
岡本選手に対しては1-2と追い込んでいたところでの甘いボールだったので勿体なかった。
しかし、6回、102球、被安打5、奪三振7、与四球1、失点1のQSなので文句は言えない。
序盤に球数が嵩んだので6回で降板したが、現在のブルペン事情を考えると、首脳陣としては7回まで投げて欲しいところだっただろう。
その後、7回は山﨑康晃が先頭の甲斐選手にツーベースを許しながらもなんとか無失点に抑え、その裏の攻撃では先頭の蝦名達夫がこちらもツーベースで出塁。
森敬斗の送りバントは一球もバットに掠らず三振、という恐ろしい結果だったが、その後、二死一、二塁から牧秀悟がサードの右を抜くヒットで蝦名選手が生還し、3-1と突き放した。
この流れであれば本来は勝たなくてはいけないのだが、8回に登板した伊勢大夢がつかまった。
二死までは簡単だったのだが、当たっている吉川選手のセカンドへの強い打球を牧選手が逆シングルでグラブに入れながらも弾いてしまい内野安打。
エラーではないものの、牧選手の宜しくない守備から失点すると言うこのところの悪い流れが思い出される。
案の定、続く岡本選手にセンターオーバーのタイムリーツーベースを打たれ、さらに、二死一、二塁で甲斐選手にも一、二塁間を抜くタイムリーを打たれて3-3の同点に追いつかれた。
伊勢投手は吉川選手に内野安打を打たれるまでは脱力したフォームから狙ったところにキレのあるストレートを投げ込んでいたのだが、その後は明らかに肩に力が入ってボールが高めに浮いていた。
岡本選手のタイムリーまでは仕方ないとしても、甲斐選手のところは抑えないと勝ちパターンのポジションを維持するのは難しい。
打たれたボールも落ちなかったフォークという悔いの残るものだった。
こうなるとブルペンの充実したジャイアンツが圧倒的に有利と思われたが、その後、ベイスターズベンチは入江大生、ローワン・ウィック、宮城滝太を送り込み9回から12回をわずか1安打無失点に抑え込んだ。
入江大生は門脇選手から155キロのストレートで見逃し三振を奪うなど圧巻の投球で手術前よりもレベルアップしたという評価をより明確なモノにした。
復帰第1戦となったウィック投手も強いストレートで押し込みことができており、早くも回跨ぎの活躍を見せてくれた。
そして、12回のマウンドはどうするのだろうと思っていたが、ベンチの選択は先週も安定して良い投球をしていた宮城投手。
宮城投手はその期待に応えて、1番若林、2番キャベッジ、3番吉川を三者凡退に抑えた。
1人でも走者を許せば好調の岡本選手に打順が回るところで、この三者凡退は大きい。
宮城投手はキレのあるストレートと何というか抜け感のあるカーブのコンビネーションが持ち味だと思うが、今日もそのカーブでキャベッジ選手から空振り三振を奪うなど堂々とした投げっぷりだった。
本来は勝つべき展開で引き分けに終わったことは残念だが、入江、ウィック、宮城という今後のブルペンの柱になりそうな投手たちの好投が見られたことは大きな収穫だった。
彼らに比べると、2失点の伊勢大夢はもちろん、先頭打者にツーベースを許した山﨑康晃は現状ではやや厳しいように感じた。
今日の結果がたまたまそうだったということではなく、投球のクオリティーが足りていないように思うのだ。
もっと言ってしまうと、やはり、きょうびの勝ちパターンの投手は打者を押し込んでファウルあるいは空振りを奪うことができるだけの威力を持ったストレートがないと難しい。
伊勢大夢はそう言うストレートを投げられるはずなのだが、先発からの再転向から間がないために未だ出力不足であることを感じさせた。
長いシーズンの中で各リリーバーたちの調子も緩やかに変化していく。
だからこそ、それを踏まえて柔軟な運用をすることが必要だし、絶対的な守護神不在の今年のベイスターズでは生命線だとも思う。
現状を見る限りは、宮城、ウィック、入江に高い優先順位を当てるべきではないだろうか。




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