首の皮 一枚残す 五連勝 ファンの歓声 天に聞ゆる
何故かむしょうに五七調で書きたかったので、このようなタイトルにしてみました(最後の部分は茂吉先生のパクリですが、ファンの歓声は“遠田のかはづ”に似ているような気もするので、まあ良いか)。
昨夜はエース東克樹の力投と4番タイラー・オースティンの打棒などで首位広島に快勝したベイスターズはローテーション随一の球威を誇るアンドレ・ジャクソン投手を先発に起用して連勝を狙う。
そのジャクソン投手は初回に3本のヒットを浴びたが、6-4-3の併殺と坂倉選手の三振で無失点で切り抜けた。
二死一、三塁で坂倉選手に0-2から投じたナックルカーブは内角一杯に決まる素晴らしいボールだったが、立ち上がりのジャクソン投手の出来を考えると、幸運に味方されたと言う感じでもあった。
ともかく、初回のピンチを無失点で切り抜けたことで、その裏のベイスターズの攻撃に勢いがついたことは間違いない。
先頭の梶原昴希が追い込まれてからカープ先発のアドゥワ投手の外角のカーブを逆らわずにレフト方向に打ち返して出塁すると、続く蝦名達夫が1-2から外角低めの変化球に体勢を崩されながら片膝をつくようにして三塁線にツーベースヒットを放った。
スタートを切っていた梶原は素晴らしいスピードでダイヤモンドを廻りホームに滑り込んだ。
あっという間に1点先制。
さらに、3番佐野恵太は初球を強振してライトの右をライナーで破る素晴らしいタイムリーヒット(佐野は一塁ストップだったが、当たりが良すぎたということにしておこう)。
これで2点目。
さらに、牧秀悟も右方向への渋いヒットで出塁して一死一、二塁の場面で宮﨑敏郎がアドゥワ投手の失投を逃さずレフトスタンド中段に放り込むスリーランホームラン。
5ー0とリードを広げ、早くも試合の主導権を握った。
インハイやや真ん中寄りのストレートだったが、肘をたたんでクルッと回転してスイングするいつもの職人芸で綺麗な放物線を描いた、いや、空高く鮮やかに夢を描いた。
しかし、中12日とブランクが長く、台風の影響で移動に苦労したジャクソン投手は立ち上がり制球に苦しみ、大きな援護点をもらった直後の2回表、先頭の堂林選手を歩かせてしまう。
これは流れとして非常に宜しくない。
続く矢野選手には粘られて9球目のボールではないかと言う内角低めのストレートをすくい上げられヒット。
無死一、三塁のピンチとなった。
ここで、一走の矢野選手が飛び出して挟殺プレイとなったが、牧秀悟がファーストの頭を越える暴投のエラー。その間にサードランナーが生還して1点を返された。
しかし、その後はジャクソン投手が粘り、なんとか最少失点で切り抜けた。
この粘りがその裏の攻撃に再び勢いを与えたのだろう。
一死から梶原選手が初球のカットボールを捉えて低いライナーでポール際のスタンド最前列に突き刺した。
真ん中高めの甘いボールだったが、カープに傾きかけた流れを再びベイスターズに呼び戻す大きな価値を持つ一発だった。
これで6-1となり、再び5点差。
その後、両先発とも立ち直り、6回を投げ切り3回以降は無失点に抑えた。
ジャクソン投手は6回、99球、被安打5、奪三振5、与四球3、失点1(自責0)のQSで6勝目(7敗)。
突然力み始めて制球が効かなくなるという悪癖は今日も垣間見られたが、ストレート、変化球ともにボールの力と質はやはり一級品だと思う。
状況によらずリラックスして淡々と投げ続けることのできる安定したメンタルを身につけることができれば、NPBを代表するような投手になるだけのポテンシャルを持っていると思う。
未だ28歳という年齢でもあり、是非、来年もベイスターズに在籍して一段階上を目指して欲しい。
7回以降はローワン・ウィック投手(回またぎ)と伊勢大夢がピシャリと抑えて6-1のままゲームセット。
首位広島に2連勝したナイスゲーム、と言いたいところだが、エラーの目立つ試合でもあった。
上述した挟殺プレイでの牧秀悟の暴投に始まり、ファーストゴロでベースカバーに入ったジャクソン投手との連携ミス、8回のレフト関根のフライ落球など凡ミスが多かった。
“勝ち切る覚悟”というからには、こう言った守備の隙を無くさなければならない。
勝ち試合で気を良くするだけではなく、しっかりと反省して課題に取り組んでもらいたい。
さて、これで長い台風休みを挟んで5連勝となり、成績は貯金2にまで回復した。
順位は4位のままだが、CS出場権のある3位までは1.5ゲーム差、CS開催権のある2位まで4.5ゲーム、そして首位まで5ゲームに迫った。
残り25試合で5ゲーム差というのは容易ではない数字だが、可能性はゼロではない。
三浦監督も試合前のインタビューで語っていた。
「宝くじが当たるのは、買った人だけだ」
いや、違った。
「アニサキスに当たるのは、生のサバを食べた人だけだ」
これも違った。
「奇跡を起こすことができるのは、奇跡を信じる人だけだ」
自己啓発本のようで少し違和感はあるのだが、言いたいことは分かる。
似た言い回しだが、私の好みはこちら。
「奇跡というものは、起こそうとして起きるものではない。
確かなのは、雑なことをしている限りは決して起きないということ」
斎藤隆 前投手コーチ
さあ、明日はアントニー・ケイを先発に立てて首位カープに三連勝を狙って挑むのだ。
雑なことをしていては勝てない。
頑張れ、ベイスターズ!
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