ハッシュタグヨコハマユーショーに向けてベイスターズがこれからすべきこと
昨日までの阪神三連戦で狙い通りにスイープを達成し、44日ぶりに首位に立ったベイスターズ。
とは言え、ここまでの試合数は65であり、これから未だ78試合も残している中で、わずか0.5ゲーム差で首位に立ったからと言って目に見えるほどのアドバンテージがある訳ではない。
ベイスターズと2位のタイガースとは「並んでいる」と見るべきだし、3位のカープ、4位のジャイアンツまでは首位から5ゲーム差と相変わらず射程距離の中にいる。
冷静に見れば、この4チームの中のどこが栄冠を掴んでもおかしくないし、昨年まで2連覇している最下位のスワローズがまた爆発的な力を発揮して巻き返す可能性だって残されている。
つまり、今どのポジションに居るかよりも、これからどうするのかの方がよほど大事だと言うことだ。
チームの面々は、自分たちの戦いの「これから」について、それぞれどのように考えているのだろうか?
まずは三浦大輔監督。昨日の試合後の取材で記者から「首位浮上ですね」と尋ねられた際のコメント。
“1個ずつ1試合ずつですね。まだまだ先は長いので、しっかりやっていきます”
あまり面白味のない答えだが、チームを預かる指揮官としてはこの位で良い。彼の立場では、本当に考えていることなど言うべきではないのだ。
むしろ私が注目したのは、交流戦の最終盤にチーム全員を集め、交流戦優勝を目指そう、と言う目標を明確にしたこと、そして、その目標を達成した直後にはリーグ戦再開に先立ち、オールスターまでの21試合で最低でも13勝する(貯金を少なくとも5つ増やす)と言う次の具体的な目標を設定したことだ。
ここから先は報道されていないので、私の勝手な推測だが、この最低でも13勝と言う目標はこの21試合の具体的なプランとセットになっているのではないだろうか?
例えば、先発ローテーションの6人の投手がこの21試合のうちそれぞれ何試合で登板するかを相手チームと共に想定し、相手打者の攻め方などを明確にした上で勝ち数目標を設定する。
同様に、勝ちパターンのリリーバーたちにも、何試合でマウンドに上がり、それぞれいくつのホールドやセーブを期待するかを告げる。
野手陣に対しても、予想される相手先発投手を想定した上でそれぞれの攻略法を伝え、昨日の才木投手に対して低めのフォークに手を出さず、高めに浮いたストレートを捉える、と言うように運によって左右されにくいターゲットとして設定する。
と言うようなプランだ。
そもそも三浦さんが上記の「最低でも13勝」と言う数字を口にした際、「この数字がどうやって出てきたかは言えませんが」と言っていたが、上の例が当たっていないまでも、やはり野手や投手などにブレークダウンした具体的な目標を設定し、それぞれの達成確率をある程度考慮した上で勝利への貢献を積み上げ、十分に実現可能と考えられた数字が13勝8敗以上と言うものだったのだと思う。
つまり、一軍の各選手はこれからオールスターまでに達成すべき細かな目標が設定されており、彼らがそれを達成すれば自ずと13個の白星が付いてくると言う統計的な予測がなされているのだと思う。
ここで大事なことは、各選手の目標が、「チームを勝たせる」とか、「流れを持ってくる」と言ったプロ野球都市伝説のように自分1人では如何ともし難い目標や漠然とした情緒的な願望ではなく、自分が成し遂げることのできる明確に定義された具体的なものであるべき、と言うことだ。
昨日の試合後にトレバー・バウアーも同じ方向性のことを言っていた。
優勝に向けて何が大事ですか、と言う記者の質問に対して、
「プレッシャーのかかる争いの中で大事なことは、自分がコントロールできることに集中すること。投手ならストライクを投げ切ることだ」
メディアの報道やSNSなどに取り上げられる機会も増えて行くと思うが、外的要因に惑わされないことが優勝を狙う上で重要、とも語っていた。
そう言えば、少し前に関根大気がインタビューで答えていたこともこれに通ずるものがある。
「(覚醒、大ブレークと言われていることに関して)、たしかに以前とくらべればそうなんですけど……じつは僕はあまり成績のことは考えてないんですよ」
「僕はミスをたくさんさせてもらってきた。
とにかく“一日一善”というか、任された打席で自分はなにをすべきなのか。ヒットが出ればもちろん嬉しいですけど、そうでなければバントなのか進塁打なのか、あるいはフォアボールで出塁するのか。
とにかく今自分ができることをひとつでもできたらいいなって思いながらプレーしています。そして明日に備える。まだ開幕して2カ月弱しか経っていませんけど、現状としては楽しくプレーできていますし、満足はしています」
こうして並べて見ると、三浦監督以下、チームの全員が同じ方向を向き、それぞれ自分ができることをしっかりやり遂げると言う目標に取り組んでいることがわかる。
そうすれば、チームとして目標とする勝ち星は高い確率でついてくるという確信が共有出来ていることが伺えるのだ。
私には、現時点で僅差の首位に立ったことよりも、このことの方がよほど価値あることのように思える。
昨日の記事に書いた、普段の野球で普通に勝つ、と言う長いペナントレースを勝ち上がるために1番効果的な戦法が確立されつつあるのを感じる。
明日からのカープ戦は大貫-床田、石田-森下、ガゼルマン-野村、と言うマッチアップになると予想されるが、それぞれの試合での相手バッターたちの攻め方、そして先発投手の攻略法などは既にまとめられ、各選手の頭に焼き付けられていることだろう。
明日からの3連戦、勝ち負けに一喜一憂するだけではなく、ベイスターズの新しい「普段の野球」を存分に見せてもらうことにしよう。
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