mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

トレバー・バウアーの誇り高き敗北とその他の様々なしくじり





7月17日 オールスター前の最終戦もカープに1-2で敗れた。


これで3連敗。2位広島と2ゲーム、首位阪神とは3ゲーム差の3位で前半戦を終えたことになる。


このカードでは、三本柱の今永昇太、東克樹、トレバー・バウアーを先発に起用し、彼らもそれに応えて全員がHQSを達成する力投を見せてくれた。


今永昇太 8回、124球、被安打5、奪三振7、与四死球1、失点0


東克樹 7回、83球、被安打5、奪三振2、与四球0、失点2


トレバー・バウアー 7回、111球、奪三振7、与四死球3、失点2


しかし、1勝もすることができなかった。


理由は簡単。ベイスターズ打線がこの3試合で挙げた得点はわずかに4だったからだ。


1試合平均1.33、つまり2点取られたら大体負けるという力関係では我らが誇る先発陣でもさすがにキツい。


そして、さらに、得点に絡むエラーやエラーとは判定されない守りのミスという形でも足を引っ張られた。


8回まで無失点で抑えた今永昇太でさえチームを勝利させることができなかった初戦に至っては、悪魔でさえハラハラと涙を流すのではないかと思う。


この炎天下の中投げ抜いた3人の先発投手に感謝するとともに、彼らの献身的な努力が近い将来必ず報いられる時が来ることを祈る気持ちで一杯だ。



今日のバウアーはストレートを狙い打ちされると見るや変化球主体の配球に切り替え、得意のナックルカーブやスプリットチェンジで三振を量産した。


問題があったとすれば、5回と7回のカープの攻撃で、いずれも先頭の床田投手にヒットを許したこと。


床田投手はバッティングの良いピッチャーだが、バウアーにその意識があったかどうか。


そして、この2イニングとも床田がホームを踏むことになってしまった。


5回には無死一塁で上本選手がこの日2本目のツーベースを放ち二、三塁となって、続く野間選手のセカンドゴロの間に1点を失った。


7回にも先頭の床田が高めに浮いた変化球に上手く合わせてセンター前ヒットとしたが、予想よりも大きく弾んだボールに桑原将志がタイミングを合わせることができず後逸し、床田はセカンドまで達してしまう。


そして、その後、上本と野間は打ち取り二死二塁としたが、3番の秋山翔吾にライト前ヒットを打たれ、さらに、ライトの蝦名達夫がランナーがいることを忘れたのか、あるいはランナーがピッチャーの床田だったのでサードを回ることは無いと決めてかかったのか、全くチャージせずにのんびり捕球、返球して生還を許した。


たしか昨年、蝦名はライト前のゴロの打球にチャージをかけて捕球することができず、後逸するという大失態を犯したので、そのトラウマのために大事に行きすぎたのかも知れない。


しかし、失敗を恐れること、失敗を恐れていると思われることを恐れて見かけ上大胆に行くこと、などはいずれも自分を見失ったプレーであり、避けなくてはならない。


それぞれの局面でやるべきことをしっかりやる、という普通のプレーがいつでも平常心でできるようにならなくては、やはりプロ野球選手として一人前とは言えないだろう。


蝦名選手は試合後直ちに2軍降格が言い渡されたようだが、三浦監督の怒りが見えてくるようでこれもまた心配ではある。


世間では三浦さんは人情派と言われているが、怒りのスイッチが入ると、昨年の三上朋也の時の様に完全にアウトと判定してしまう側面も無いわけでは無い。


昨夜の関根大気の敗戦を決定づけた凡ミス、今日の桑原将志の失点を呼んだエラーなども伏線となって、実績の少ない蝦名に対してかなり明白な懲罰降格という判断になったように思うが、これで野手たちの気が引き締まるか、あるいは萎縮して硬さが出てしまうかは5分の確率の様な気がする。


さて、そんなことよりトレバー・バウアーだ。


今日も彼は熱投を続け、ピンチを三振で切り抜ければ吠え、チームを鼓舞した。



マウンド上に屹立し、相手打者との駆け引きに集中し、そして毅然として自分のベストのボールを投げ込む彼の姿を見ていると、彼が敬愛する日本のサムライのように見えてくる。


江本さんだったか、投手出身の野球解説者の方が、バウアーは最近日本では見なくなった本当の投手の魂を持っている選手だという趣旨のことを仰っていたが、まさに私もそう思う。


そして、本当の投手の魂というのはサムライの矜持なのだと思う。


私たちは、トレバー・バウアーというカリフォルニア出身の優れた投手の魂のこもった投球を見て、サムライの心を逆輸入しているのかも知れない。


バウアーは今永昇太と仲が良いようだが、今永にもこうした内面を磨く志の高さを感じることが多い。


この2人がベイスターズでプレーするのは今年限りになってしまう可能性が高いかも知れないが、彼らの誇り高い魂が一人でも多くの選手に伝わることを私は祈っている。


この三連戦でしくじった野手たちは、三浦さんの懲罰降格などよりも、バウアーと今永の振る舞いや発言を目に焼き付けて命がけで野球に取り組む姿勢を学んで欲しい。


いや、命がけというのは比喩的な表現では無い。


彼らは文字通りプロ野球選手としての生命をかけて日々戦っているのだ。そのことを片時も忘れてはいけないと思う。


そう言えば、先年亡くなった名優の二代目中村吉右衛門さんが演じる鬼平こと火付け盗賊改方長官長谷川平蔵が部下の失態で幕府の威厳を損なうような事態となる話があったっけ。


鬼平が上司に進退伺を出したが慰留され職に留まることとなった時、彼は部下たちに、もし、もう一度同じようなことが起きたら自分は責めを負って腹を切ると宣言し、“俺はな、失敗(しくじり)の二の舞いはでえきれえだぜ”と凄んだ。


さあ、これから四日間のオールスター休みを挟んでシーズン戦後半が始まる。


課題が満載だったこの三連戦を反省し、2度と同じミスはしないという強い意志を持ち身を引き締めて終盤の戦いに望んで欲しい。


みんながんばれ、頼んだぞ。


俺ぁ、しくじりの二の舞いはでえきれえだからよ。