mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

上位2チームとの差が広がった今こそ小さな改善を




交流戦で初優勝を成し遂げたベイスターズはその勢いのまま貯金を積み上げて行こう、と首脳陣も選手もファンたちも思っていた。


思ってはいたが現実はその逆の方向に行ってしまった。


三浦監督の掲げた交流戦後オールスターまでの21試合を最低でも13勝で終える、というコメントに代表されるように、皆がこの時点でそれぞれ野心的な目標を設定したことがこの急失速の原因であるように思えてならない。



心理学の専門家の話を聞いてみると、人は何かを変えようとする時、大きな目標、野心的な目標を設定したがるらしい。そして、周囲もそれを期待する。


しかし、こうした目標設定は本人にプレッシャーとしてのしかかり、目標からのズレが生じると焦りを生むこととなる。


そして、焦りのために気負ったりあるいは逆に意気消沈したりしてパフォーマンスが下がる。


従って、目標からのズレはさらに大きくなって行き、もっと焦る。


うーん、まさに7月のベイスターズの選手たち、そして監督やコーチたちのことではないかと思えてくる。




専門家によると、こういうスパイラルに陥った時の脱出方法はただ一つ。


大きな目標なんて忘れて、すぐにでも出来そうな小さな改善に集中することだそうだ。


たしかに、ビジネス書などをパラパラとめくってみると、


“組織の大きな変革は、すぐにでも出来る小さな改善から始まる”


と言う趣旨のことがどの本にも書かれている。


野心的な目標設定が各人のパフォーマンスを上げる、などと書いている本は見当たらない。


その一方で、共通の夢を持つことは組織の一体感をもたらし、人々のモチベーションを上げる効果を持つ、と言う記述もよく見かける。



これをベイスターズに当てはめてみるとどうなるだろうか?


優勝という共通の夢を全員がはっきりと意識することは、チームとしての一体感を増し、選手たちのモチベーションを高めてくれる。


つまり、「横浜頂戦」と言うスローガンを掲げたことは、皆の夢を言語化したものとして有効だったはずだ。


しかし、試合でプレーする際や練習での準備にあたっての目標までこの夢に応じた大きく野心的なものとしてしまってはいけない。


上述したように、大きな目標は本人にプレッシャーとしてのしかかり、目標からのズレが生じると焦りを生み、気負ったりあるいは逆に意気消沈したりしてパフォーマンスが下がる。そして目標からのズレはさらに大きくなって行き、もっと焦る・・・と言う負のスパイラルだ。


先日のオールスター戦に関する記事でも書いたが、ともに解説者席に呼ばれた牧秀悟と岡本和真のファンに向けてのコメントに大きな差があると感じた。


牧は「優勝を目指して頑張ります」と言い、岡本和真は「一つずつ勝っていけるよう頑張ります」と言った。


優勝経験の豊富なチームは私が上に書いたような大きな目標設定の弊害を経験的に知っており、あえて避けているように思う。


対して、25年間優勝から遠ざかっているチームには、こうした経験を持つ選手がほとんどおらず、「優勝を目指して」などと口にして自らプレッシャーをかけてパフォーマンスを低下させた。


明日から勝負の8月が始まるこのタイミングで今目指すべき小さな改善をリストアップしてみよう。




(その1) ピッチャーは初球からストライクをとりに行く


これの元ネタは、80%以上の確率で3球以内にツーストライクのカウントにする、と言う三浦監督や斉藤コーチの目標設定だが、上に書いた理屈から言うと野心的過ぎる。


ツーボールになったり、3球以内にヒットを打たれた時は目標を達成できなかった挫折感が生まれ、それが何度もあるとパフォーマンスの低下をもたらす。


その点、この目標は初球にストライクをとろうとして投げれば良いだけなので、投手自身が意図してボール気味のコースで逃げようとしない限りは失敗することがない。


その初球を打たれても、2球目以降ストライクが入らずフォアボールを出しても目標は達成しているのであまり気にする必要はない。



(その2) バッターはファーストストライクを打ちに行く


これも本人次第で達成できる目標だ。打席に入って本人がストライクと思ったボールにバットを出すだけで良い。


その結果が空振りでも、バッターはボールだと思って見逃したのがストライクだったとしても、目標は達成できているので気にしない。



(その3) 野手は1日に一度出塁することを目指す


その日の投手と相性が良かったり、タイミングが合っていたりしたらヒットや長打を狙えば良い。そして、そうではなかったら、フォアボールでもセーフティバントでも試みて塁に出ようとする。


結果的に出塁無しで終わっても、1日に一度出塁することを目指して各打席で自分にできることを工夫して実践してさえいれば目標達成だ。



(その4) ランナーは一つ先の塁まで進もうとする


これも元ネタは二つ先の塁まで、と言うことになっているがやはり野心的過ぎる。


次の塁に行けそうかどうかを常に考えて守備の動きを注意深く見て、いけると思ったら迷わずスタートして全力で走る、と言うことさえできていれば目標達成だ。


その結果アウトになっても後悔してはいけない。行けると思ったのなら何度でもやれば良い。


我々ファンも「もったいない」などとは言わないことにしよう。



(その5) ピッチャーが打ちとった当たりが守備範囲に来たら確実にアウトにするよう最善を尽くす


守備についても、攻めた守備でファインプレーをするとか、他の野手のミスをカバーするとか、プロらしい「お金のとれる」守備というのはあると思う。


もちろん、できたらやってもらって構わない。


しかし、目の前の目標は、「ピッチャーが打ちとった(と感じた)当たりが守備範囲に来たら確実にアウトにするよう最善を尽くす」で十分だ。


本人が胸を張って最善を尽くしたと言えるのであれば目標達成であり、結果的にミスが出てセーフとなっても落ち込む必要はない。



そして、我々ファンは、選手たちがこうした簡単な目標を達成することを積み重ねていけば、きっとチームの調子は上向き、再び首位争いに加わることのできる位置に戻ることができる、と信じることを目標にしよう。


8月の初戦となる明日の先発は今永昇太。


彼も以前のインタビューで、必ず勝とうなどと言うと自分の場合は裏目に出ることが大いので、気負わずに出来ることを一つずつやって行こうと思う、という趣旨のことを言っていたので、上に書いたことはとうに承知のはずだ。


頑張れ今永!初球はストライクを狙うのだぞ!!