リードされても諦めない攻撃で負け癖を克服するんだ
名将と言われた故野村克也さんの言葉に次のようなものがある。
“負け癖がついているチームは、言い換えると「諦めが早い」チームだ。
どんどんスランプに陥る。
それはたいてい自分たちでつくる不調なんだ”
先月のベイスターズはリードされると攻撃が単調になり、凡退を繰り返してそのまま破れる、あるいは得点しても同点止まりという試合が多かった。
必ずしも「諦めていた」訳ではないと思うが、優勝を目指すという未経験の大きな目標のプレッシャーから固くなり、気合や意地と言ったメンタルをどこに向ければ良いかわからずただただ空回りするという状態だったと思う。
やるべきことができていないという意味では、これも野村さんの言う諦めが早い、と言うのと同様の状態だと思う。
打撃は水ものと言われる通り、もちろん、好不調はある。しかし、7月のベイスターズ打線のように全員が揃って絶不調と言うのは各選手の好不調の波以上のものがあったように思えてならない。
やはり、野村さんの言う自分たちで作った不調なのだろう。
チーム全体が一種のパニック状態にあり、それが長く続いてしまったように感じる。そして、長く続いたが故に、ベイスターズは弱い、負け癖のついたチームになりつつあった。
ファンとしても、どのチームが相手でも勝てそうな気がしない。
そんな中で迎えた昨夜のカープ戦。
この不調も元はと言えば、交流戦優勝後、6月末に阪神をスイープして首位に立ったところで広島にマツダスタジアムで3タテを食らったことから始まった。
その後、7月に横浜スタジアムでも3タテされ、6連敗中であり、チーム全体としての不調脱出のためには是非ともやり返したい対戦だ。
横浜ベンチもこの試合の重要性が分かっており、エース今永昇太を先発に起用して臨む。
しかし、初回、先頭の菊池涼介の初球ストレートを完璧に打たれてレフトスタンドへの先制ソロホームランを喫した。
やや甘かったが失投というほどではなかった。
これまでもカープの打者には驚くほど簡単に長打されることがあったが、配球等のデータからかなり対策されているように感じる。
その後、五回表に桑原将志のタイムリーで1-1の同点に追いついたが、その裏には今永が異変を感じて緊急降板。試合後、足が攣ったということで大事ではないと報じられたが、その時点では緊張感が走った。
その回は緊急登板の石川達也が良い当たりのショートライナーで運良く併殺となるなどなんとか凌いだが、6回裏に繰り上げ登板した山﨑康晃が坂倉、堂林に連打を許して1-2と再びリードを許してしまう。
6回表には佐野恵太のツーベースの後、梶原昴希のヒットが続いたが、佐野がホームでタッチアウトになるという場面があり、嫌な流れになっていたところだったので、カープのこの追加点は「今日も難しいか」と思わせてしまう可能性のある1点だった。
一方、ベイスターズ打線はカープ先発の九里亜蓮からヒットは放つものの得点に結びつかないという重い展開だった。
しかし、今日はこの状況でも足下を見てやるべきことをやった。
7回表、反撃はその回先頭の戸柱恭孝が放った幸運なポテンヒットから始まった。
こう言う小さな幸運はどのゲームでもどのチームでも一、二回はあるものだ。問題はこの幸運の女神のケープの端っこをしっかり握り締めて、彼女を引き寄せることができるかどうかだ。
その後、戸柱に代走の知野直人を充て、京田がバントで送って一死二塁とすると、山﨑の代打楠本が九里亜蓮に代わった2番手の栗林投手の2球目ストレートをセンターに打ち返してまず同点。
代走、代打の采配が見事に決まった。
さらに、ここで攻撃の手を緩めなかった点が7月との違いだった。
関根のヒットで二死一、二塁とチャンスを作り、ここから宮﨑、牧の連続タイムリーで2点を追加して4-2とリードを拡げた。
8回裏には二死一塁から小園のライトライナーに対して梶原が目測を誤り、前進してバンザイすると言う外野守備としてやってはいけないことワーストスリーの一つを披露してしまい、1点を失った。
マウンド上の伊勢大夢には少々気の毒だったが、小園の当たりは芯をくっていたので仕方ないとも思える。
大事なのは、その後も二死三塁と残ったピンチで代打の切り札松山竜平を最後は見事なインコースのストレートで空振り三振に打ちとったことだ。
同点に追いつかれることなくこの回を終え、9回表にはフォアボールで出塁した桑原を関根が送り、一死二塁で宮﨑敏郎がタイムリーツーベースで再び2点差とした。
9回裏は新クローザーの森原康平が関根大気のスーパーキャッチにも助けられ、三者凡退でしめて、5-3の勝利をおさめた。
この勝利は8月攻勢の引き金になり得るものだった。
大事なのは第二戦。
ハマちゃんが昨シーズンの好調時のような投球を見せてカープ打線を沈黙させるようなことがあれば、チーム全体の調子が上がってくるだろう。
我々ファンは、諦めずにそれを祈ろう。
それが負け癖を克服するために今必要なことだ。
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