魔の日曜日 野球の神様は気まぐれだった
日曜日の朝はトレバー・バウアーの動画配信から始まる。
今回の故障、離脱に関しては、本人もさすがにこたえたようで、調子に乗って野球の神様の気に入らないことをやってしまったからいけないのだ、と言うおよそ非科学的な説明をしていた。
しかし、この非科学的な思考が私には痛いほど良くわかる。
以前もこのブログで書いたが、ヤクルトファンの友人と呑んでいて、サンタナのライトの守備はちょっと酷いんじゃないかと言うような不遜なことを言ってしまった日、そのわずか一時間後に関根大気が驚くようなイージーフライを落球し、その友人に「あれはサンタナでも捕るぜ」と言われて凹んだことがあった。
野球の神様は、あの時の私のように驕った発言をする人を決してお赦しにならないのだ。
ドラゴンズファンの知人に何だか大変ですね、と言ってしまった次の日に大敗したこともあったっけ。
野球の神様は世の中の隅々にまで見えないドローンを飛ばして、我々プロ野球ファンやトレバー・バウアーの発言に驕りや不遜なところはないか常にチェックして、的確に罰をお与えになるのだ。
そうか、賢明なトレバー・バウアーもその事に気がついていたのか。
昨日の試合では、初回にハマちゃんが好調のオスナ選手に1発をもらって0-1と先制されたが、その後は立ち直っていたと思う。
オスナへの一球は真ん中高めのカットボールだっただろうか?
明らかな失投だったが、失投をゼロにすることはできない。1発で仕留めたのはバッターの調子が良かったからだと思って切り替えるしかない。
続く山田哲人と村上宗隆は連続三振に打ちとって初回を最小失点で切り抜けた。
その後はランナーは出すものの要所で三振や併殺を奪い、7回までスワローズ打線に追加点を許さなかった。
ベイスターズの攻撃では、4回裏、佐野恵太のヒットと宮﨑敏郎のツーベースで一死二、三塁のチャンスを作り、大和のセカンドゴロの間に佐野が生還して1-1の同点に追いついた。
1点は失ったものの、スワローズ先発の山野投手は丁寧なピッチングを続けており、なかなか均衡を破ることができそうもないように思えた。
しかし、5回裏、一死走者なしで打席に入ったハマちゃんが山野投手の2球目を捉えると、ピッチャー返しの強烈なゴロとなって山野の左脛の辺りを直撃した。
内野安打となり、山野投手はベンチで治療を行った後にマウンドに戻ったが影響は残ったようだ。
続く知野直人、桑原将志に連続フォアボールを与えて一死満塁となった。
ここで打席に入った佐野恵太は山野投手の2球目、やや置きに行ったような外角寄りのスライダーを見逃さずこの日2本目となるセンター前ヒットを放ち、セカンドランナーまで還って2点を追加。3-1と逆転に成功した。
さらに、続く牧秀悟が真ん中高めに浮いたストレートを思い切り引っ張ると、アッという間にサードの左を破ってレフト線に抜けて行くタイムリーツーベースとなり、4-1。
なおも一死二、三塁のチャンスで打席に入った宮﨑は2番手でマウンドに上がった高梨投手の真ん中低めのフォークボールを狙いすましたようにコンパクトなスイングで弾き返し、セカンドランナーの牧も好走塁で生還して6-1とリードを拡げた。
クリーンアップの連打で5点を奪うビッグイニング。
山野投手あるいはスワローズファンの誰かが野球の神様の逆鱗に触れるようなことを言ったのだろうか?
好投を続けるハマちゃんは7回裏の攻撃中ベンチで腰掛けており、キャッチボールをしているようにも見えなかったので今日はここまでかと思っていたのだが、8回表のマウンドに立った。
嫌な予感がした。嫌な予感が当たる事に関してはギネス級と言われている私が言うのだからあながち意味がない訳ではない。
8回を任せるウェンデルケン投手がこのところ少し登板過多な状況なので、三浦監督としては、あわよくばハマちゃんが8回まで抑えてくれれば彼を休ませることができると思ったのだろう。
しかし、この「あわよくば」というのも野球の神様が嫌う考え方なのだ。
野球の神様のご意向を良くわかっている阪神岡田監督が常々「あわよくば、とかはいらんねん。普通のことを普通にやってくれればええんや。」と仰っている通り、あわよくばと言う思いは封印しなくてはならない。
案の定、8回表のマウンドに上がったハマちゃんは先頭の赤羽選手をストレートのフォアボールで歩かせてしまう。さらにワイルドピッチで無死二塁。
続く塩見選手は三振に打ちとったが、次の打席に今日ホームランを打っているオスナ選手が入ったところで投手交代。
結局ウェンデルケン投手をよりプレッシャーのかかる場面で起用する事になってしまった。
ほらね。
野球の神様の意地悪な笑顔が私には見えたように感じた。
ウェンデルケンはどこまで準備できていたのか、いつものような制球が効いていないように見えた。
結局、オスナ、山田哲人、村上宗隆に連打を浴びて6-3となり、さらに一死二、三塁でサンタナの内野ゴロの間に1点を失って6-4と2点差まで迫られた。
ここで、ヤクルトベンチは濱田太貴に代えて代打青木宣親を送り出した。
この采配はどうだったのだろうか?
たしかにこの日の濱田選手は最初の打席で内野安打はあったものの、その後は三振と内野ゴロに打ち取られている。
高津監督としては、勝負どころでのベテラン青木選手の経験を買ったのだと思う。
しかし、150キロを優に超えるストレートで押してくるウェンデルケン投手としては若く反応の良い濱田選手の方が嫌だったのではないだろうか?
結局、青木選手は追い込まれてから粘ったものの8球目の内角高めのストレートを打ち上げてしまいサードファウルフライに倒れてスリーアウト、チェンジ。
9回表も森原康平がフォアボールとショートのエラーで二人の走者を背負う苦しいピッチングになったが何とか無失点で抑えて6-4のまま逃げ切った。
「あわよくば」と考えた三浦監督に腹を立てた野球の神様はここでまた気が変わったらしく、
「今日のところはこの位で勘弁しておいてやる。
これからは決して『あわよくば』などと考えるなよ。
普通のことを普通にやらせろよ」
と言いながら良く晴れた横浜の空の向こうへ飛んで行った。
三浦大輔はベンチから身を乗り出して、その姿を眩しそうにずっと見送っていましたとさ。
と言うことで、魔の日曜日の連敗は何とか止めることができたが、野球の神様の機嫌を損ねないように引き続き警戒が必要だ。
今日、関内の居酒屋で「明日の涌井は打てるでしょ」などと不遜なことを呟いていたアナタ。
耳元で聞こえた蚊の飛ぶような音は実は野球の神様が放った超小型ドローンだったのかも知れませんぜ。
おー、こわ。
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