mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

走れ、ソト! もう一度





今日から舞台を神宮球場に移してスワローズとの2連戦だ。


その後、日曜日と祝日の月曜日に甲子園でのタイガース2連戦が続くと言う変則日程で、火曜日からのドラゴンズ3連戦と併せてこれが今季最後の7連戦となる。


その初戦、平良拳太郎とスワローズ期待の若手ロドリゲス投手のマッチアップ。


ベイスターズ打線は初回に関根大気がややラッキーなツーベースで出塁すると佐野恵太もポテンヒットで続き一死一、三塁。ここで牧秀悟がセンターへ犠牲フライを放って1-0と先制した。


しかし、平良は立ち上がりはそれ程良いように見えなかった。


生命線の制球がもう一つで、危ないと思うボールもそこそこあった。


初回にはオスナ選手のヒットと村上宗隆への四球で二死一、二塁のピンチとなったが、サンタナ選手を空振り三振に打ちとり切り抜けた。


さらに2回表には先頭の内山選手にヒットを打たれ、二盗と濱田選手のヒットで無死一、三塁となる。


複数失点を覚悟したが、続く長岡選手がおあつらえ向きのショートゴロで併殺。


この間に三走の内山は生還して1-1の同点とされたが、このイニングを最小失点で切り抜けたことで平良の投球が安定し出した。


ムチのようにしなる右サイドスローからキレの良い速球、鋭く曲がるスライダーとシンカーを両コーナーの低めに投げ込む彼本来の躍動感のあるピッチングを見せてくれた。



試合後に高津監督が「全ての球種でストライクを取られ、的を絞ることができなかった」と言っていたように本領を発揮したマウンド捌きだったと思う。


その間、打線は5回表に先頭打者のネフタリ・ソトに対して投げにくそうなロドリゲス投手が3-0とカウントを悪くすると、4球目、高めに甘く入ったストレートを躊躇することなく振り抜き、打った瞬間にそれと分かるような素晴らしいホームランをレフトスタンド中段に放り込んだ。


これで2-1とリードを拡げ、さらに9回表にも二死走者なしの場面で宮﨑敏郎がフルカウントからヤクルト3番手の丸山投手のフォークボールを上手くすくい上げて左中間スタンドまで運んだ。


平良拳太郎は7回1失点のHQSを達成し、セットアッパーのウェンデルケン、クローザーの森原康平ともにヤクルトの攻撃を三者凡退で封じ込め、3-1のままゲームセット。


平良は春以降なかなか調子が上がらず苦しんだが、やっとこれで4ヶ月ぶりとなる4勝目を挙げた。



投手戦を理想的な展開で勝ち切った試合だったが、大事な場面で3度も併殺をとるなど守備陣も今日は良い動きを見せていた。


もう一つ付け加えるとすれば、Bクラスの確定したスワローズのモチベーションの問題もあったかも知れない。


しかし、チャンスが巡って来るとモチベーションなど関係なく打ちまくるのもバッターの本能なので、明日は全く別の姿を見せる可能性もある。



【走れ、ソト】


ソト選手はこれで3試合連続のホームランとなり、3日で4本の大当たりだ。


不調に悩む期間の長かった今季はこうした爆発的な打撃を見せることはなく、ああ、ソトも衰えた、もう手をつけられないほどホームランを量産することはないのだろうな、と私は勝手に思い、そして諦めていた。


しかし、それでも心のどこかで、ひょっとしたらソトがもう一度チームを救ってくれるのではないかと祈り、信じていたようにも思う。


と、ここまで書いてフト思い出した。


何だかデジャブのような話だ。


そう言えば、このブログの初期に「走れ、ソト!」というタイトルで同じような心情を書いたことがあった。


内輪では評判が良かったように記憶しているので、性懲りも無く、また書いてみよう。




1-1に追いつかれ、同点のまま迎えた5回表、先頭打者のソトが打席に入ると、私は、以前のソトだったらこう言う時にチームを救うような一発打ってくれたのだけれど、もうそんなことは期待できないのだろうな、と思っていた。


しかし、ソトは打った。そして、こう言った。


「それだから打つのだ。


信じられているから打つのだ。


クライマックスシリーズに出られる出られないは問題ではない。


人の命も問題ではないのだ。


私はなんだか恐ろしくてもっと大きなもののために打っているのだ。


ついて来い!フィラストラトス。」


続けて、私に向かってこうも言った。


「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。


私は、途中で一度、悪い夢を見た。


もし君が私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。」


私は全てを察して、刑場一杯に響くほどの音でソトの頬を殴った。そして言った。


「ソト、私を殴れ。


同じくらい音高く私の頬を殴れ。


私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君がもう二度とホームランを打つことはないのではないかと疑った。


生れて、はじめて君を疑った。


君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」


ご明察の通り、私は、信じようとしながらもソトはどうせ打てないのではないかとチラと疑い、その直後に彼がホームランを打ち、とても申し訳ない気持ちになって、太宰治の走れメロスを思い出したのだ。


ネット上ではこの時期になってソトが絶好調であることについて、遅すぎた、とか7月だったら、などと言う書き込みが多く見られるが、そんなことは気にしなくて良い。


今は絶好調の自分の力を見せつけるように、打って打って打ちまくれば良い。


2年連続でホームラン王に輝いた実力は伊達ではないのだ。



動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し


衆目駭然、敢えて正視するものなし


これ我がネフタリ・ソト君に非ずや