mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

早くも来日した3人の外国人選手への期待



エドウィン・エスコバー投手、ネフタリ・ソト選手、フェルナンド・ロメロ投手の3人が1月14日に来日し、到着時のPCR検査も陰性で、予定通りキャンプ初日からチームに合流できるという朗報があった。


今日のニュースにはなかったが、タイラー・オースティン選手もピンクのビキニが眩しいと評判の美人妻のSNSで出国間近という情報があったので、近日中に来日することだろう。


新入団のクリスキー投手はオミクロン株流行に伴う新規入国制限のため少し遅れそうだが、それでも、開幕時点で一人も外国人選手のいなかった昨シーズンとは雲泥の差だ。


既に来日した3人の外国人選手のこれまでの成績を振り返り、今シーズンの期待をまとめてみたいと思う。


エドウィン・エスコバー投手



エスコバー投手は2017年に日本ハムファイターズに入団し、そのシーズン途中で黒羽根捕手とのトレードでベイスターズに移籍した。


初年度は先発も経験したが、その後はリリーフに専念し、2019年までの3年間にNPBの野球に慣れ、剛腕セットアッパーとして毎年60試合以上登板するタフネスぶりを見せ続けている(2019年以降3年間のWARは2.4、1.6、1.1と若干下降気味ではあるものの安定している)。




球種別の成績(wFA、wCT、wSL、wCH)を詳しく見ると、いずれも2019年あるいは2020年に自己ベストを記録しているが、被打率とWHIPは昨シーズンが最も良く、四球が減っていることも含め、制球が安定してきていることがうかがえる。


昨シーズン若干成績を下げているのは、ここぞというところでホームランを打たれたことや三振奪取率がやや低下したことによるところが大きいだろう。


ツーシームの投球割合が増えており、フォーシームに比べると結果が宜しくない。狙って投げているツーシームであれば良いが、シュート回転して甘く入ったフォーシームが増えたということだとすると、ここは改善の余地がある。


スライダーの成績は、2017年から3年かけて良化してきたのだが、昨年再度低下している。初年度の彼のスライダーはフォームがストレートとは全く違って見えるほど緩んでおり、これは打たれるなと思っていたが、その後随分と改善した。


ひょっとすると、その改善したスライダーの癖が昨シーズン露見して各チームに対策を取られたということはあるかも知れない。


エスコバー選手の成績は依然高いレベルにあり、上述した懸念は杞憂かも知れない。しかし、その場合でも、敵チームの対策を上回るような新しい工夫を何か試してみるべき時期に来たように思う。


昨シーズンは0.6%しか投げていないチェンジアップを見直して球速を落とし、緩急をつけてみるのはどうだろうか?


あるいは、あれだけ威力のあるストレートがあるので、大家投手コーチ秘伝のカットボールを習得して、動くボールでゴロを打たせるのも有効だと思う。


期待も込めて、今季は昨シーズンにヤクルトの清水投手が記録した50ホールドの年間新記録を更新する活躍を見せて欲しい。


年齢も29歳とまだ若く、故障なくあと数年は投げ続けてほしい優良助っ人だ。


フェルナンド・ロメロ投手



ロメロ選手は昨シーズン入団したが、コロナ禍で来日が遅れ、また、本人が来日時に陽性であったため調整が遅れて大きく出遅れてしまった。


しかし、夏場にファームで再調整し、先発投手に必要なスタミナをつけるとともにカットボールを習得したことで、復帰後は5連勝を上げる大活躍だった。


彼の球種別の成績を見ると、やはり、平均球速150km/h のツーシームが有効であることがわかる。新たに習得したカットボールもこのボールを生かす役割を果たしているのだろう。





彼の球質については、MLB時代の2016~2017シーズンのものだが詳しい情報が公開されている。


結論から言うと、MLB平均よりもストレートが速く、そしてホップ成分(バックスピン)が小さい。また、全球種においてシュート回転のサイドスピン成分が含まれる。


ここからは私の推測なのだが、彼の球質は、ジャイロ成分が大きく、ホップせずに減速もあまりしない(バックスピンのよく効いたストレートはノビがある一方で初速からの減速もやや大きい)ものなのではないかと思う。


そして、彼のフォームが通常のスリークォーターよりもやや低い肘の位置であることから考えると、シュート側に傾いたジャイロ回転の軸からトップスピン成分が生じていて、特にツーシームの握りの場合はいわゆる高速シンカー(MLBで言うところのsinking fastball)に近いボールになっているように思える。


そこで、通常のストレートを予測して振ってくるバッターからすると、思ったよりも早くホームベースまで来るので降り遅れ「差し込まれる」と感じ、また、同じスピードのストレート(フォーシーム)のようにホップ成分がないため、ボールの上を振ってしまいボテボテのゴロになる。


恐らく敵チームが対策を練ってくる今シーズン、彼がさらにその上をいくような工夫として二つ考えられることがある。


一つ目は、フォーシーム、ツーシーム、カットボールという同じ球速帯の球種で構成するピッチトンネル(ホームベースの直前まで同じ軌道で同じコースに来てその後バラけるような複数の球種をコンビネーションで投げること)の精度を上げること。

可能であれば、スプリット(SFF)も使えるようになるとさらに威力を発揮するだろう。


二つ目はチェンジアップをもう一つ習得すること。彼の現在のチェンジアップは平均球速140km/hとかなり速いボールなので、それより10km/h程度球速を落としたボールが投げられればかなり緩急を使えるだろう。


これらのどちらかを成し遂げて、彼には是非2桁勝利、できれば15勝をねらって欲しい。


ネフタリ・ソト選手



ソト選手の年度別の成績は下の表の通り。




ホームラン王をとった2018年と2019年に様々な指標で自己ベストを記録しており、その後、2020年と2021年はコロナ禍の影響もあるだろうがはっきりと成績を落としている


球種別の成績を詳しくみてみると、彼の工夫と失敗とが何となく見えてくるような気がする。


まず2018年は、打率が良かった。そして、思った以上にホームランが出たが、これは彼も同じ感想だったのではないだろうか。どうも2019年はホームランを増産することを目標にしたのではないかと思う。


そして、その時点で最も苦手にしていたボール、NPBで多くの投手が得意にしているフォークボールへの対策を練ったのではないか。


フォークボールへの対策の公式は、高めに目付をして低めは見極めると言うことだ。


そして、低めの見極め方としては、重心を少し低くし、インパクトポイントもいつもより後ろにして、逆方向に打ち返すタイミングとイメージで待つことが重要となる。

そうすれば、十分に手元まで引きつけ、ストライクかボールかを見極めることができる。


この甲斐あって、2019年はホームランと打点を増やし、2年連続のホームラン王に輝いた。しかし、打率が.310から.269まで大きく下がっている。この辺りから、周囲の期待もあり、彼は名実ともに長距離砲の道をまっしぐらに進むようになったように思える。


そして、2020年にはその時点でやや苦手だったスライダーへの対策をとることにしたのだろう。スライダーについても、ストレートよりワンテンポ遅らせて逆方向に打つというのが一般的な対策で、これもポイントを後ろにする傾向にある。


その結果、当初は彼の長所だったストレートに強いという特徴が損なわれ、速球に対する指標がとうとうマイナスになってしまった。


昨シーズンはその点を改善すべくフォームとタイミングを見直し、ストレートの指標は大きく改善したが、今度はその代償としてスライダーとチェンジアップが大きな弱点になってしまった。


もう一つ不幸だったのは、彼の打順が7番になることが多かった点だ。昨シーズンのベイスターズの8番、9番は他チームに比べても脆弱なので、なかなか勝負してもらえない打席が続いた。


その中で、結果を出したい外国人選手としては、振るべきではないボールにがっついてフォームを崩してしまったという感が否めない。


打てないから7番にする、7番にするから余計打てない・・・という負のスパイラルを断ち切るためには、開幕からソト選手を2〜4番あたりで使って相手投手が勝負せざるを得ない状況にするのが良いと思う。


そして、打てなくなったらスタメンから外して調整したほうがチームのためにも彼のためにも良いと思う。外野には神里選手や大田選手が控えており、ソト選手なしでも打線の迫力を一定レベルに保つことは可能だ。


私はこれまで何度も書いたが、そのためにも佐野選手やオースティン選手にファーストの守備練習を是非始めてもらいたい。


ソト選手本人に関しては、初心に戻ってみてはどうだろうか?オーステイン選手と異なり、来日当初のソト選手は飛距離の出るアベレージヒッターという印象だった。

もう一度その原点に返って、ヒットを狙う、その延長がホームランというバッティングを見せて欲しい。