ベイスターズのこれからの光と今日の勝利
今日の報道でベイスターズが育成選手の石川達也選手と支配下選手契約を結んだことが明らかになった。
石川選手は地元の横浜市出身で、横浜高校から法政大学を経て2020年育成一位でベイスターズに入団した左腕で、遠投のようなゆったりしたフォームから鋭いストレートを投げ下ろし、変化球のキレと制球も素晴らしい。
大学四年時に鉄棒から落下する事故があり、その際に利き腕の左手首を骨折したことから育成契約となったが、本来であれば支配下選手としてドラフト指名される素材と言われていた。
ベイスターズ入団以来、故障からの復帰とともに本来の実力を発揮し、今シーズンは既にファームで13試合(20回1/3)にリリーフ登板して1勝0敗、防御率 0.44、25奪三振、奪三振率11.07という素晴らしい成績を残している。
石川選手自身もインタビューに答えて次のように語っている。
”率直にすごく嬉しいです。キャンプから自分自身の課題に取り組んできた結果が、支配下登録につながったのではないかと思います。
やっとスタートラインに立てたので、一軍の舞台で結果が残せるよう、これまで以上に練習して、もっともっと若い背番号をつけられるように頑張っていきたいです。
そして、チームの勝利に貢献できるような選手になります。これからも応援よろしくお願いします!”
現在の一軍では、左腕のリリーフとしてエスコバーと田中健二朗投手の二人がフル回転している状態で、砂田投手の状態が上がっていない現在、石川投手の早期昇格は十分可能性があると思う。
日曜日の阪神戦でエラーがらみの3失点という嫌な感じの先制を許した直後の3回表の攻撃。既にツーアウトで走者なしという状況で森敬斗が打席に入った。
タイガース先発の西純矢の投じた2球目のストレートを鋭く左に打ち返し、レフト前ヒットで出塁した。キャンプの時から石井琢朗コーチを特訓していた”ボールの内側”を強く叩く型通りのバッティングだ。これはたまたまではなく、森選手が狙って打つスキルを身につけつつあることを示すものだった。
そして、次打者の蝦名達夫のヒットをセンターの近本が弾くのを見るや、森敬斗は一塁から長駆ホームに生還して反撃の狼煙を上げた。
これを皮切りにしてベイスターズはこの回同点に追いつき、結果的に7-4で今シーズン初めて日曜日に勝利した。
森選手はオープン戦の序盤で走塁中に右ハムストリングスの肉離れと左足の捻挫を同時に起こしてそのまま退場した。
そこから3ヶ月にわたる長いリハビリと調整を経験することになったが、彼自身は落ち込んだり暗くなったりすることがなかったと言う。それどころか、何とかして自分が輝き、その光をチーム全体に広げたい、そのためにどうすれば良いかを考えていたそうだ。
”チームの状況、チームの雰囲気がどうであれ、いつも自分は光り続けていたいと思ってるんです。それによって、みんなをどんどん光らせていきたい。
ぼくの立場で言うのはちょっと、上からみたいな表現になってしまうんですけど……。
自分が発した光をどんどん全体につなげていく、そういうイメージを持っています”
上に書いた阪神戦の得点シーンは彼の発した光が後続の打者に受け継がれ、チームとして輝いた攻撃だった。これからもきっとこうしたプレーを何度も見ることができるだろう。
阪神戦での桑原将志の猛打賞を見て打順を変えてくるかと思われたが、また佐野恵太をトップバッターで起用するという打線を組んできた。ソト選手を7番に置いているが、左手首の状態やバッティングの調子は上向いたのだろうか?
昨日抹消された山本祐大と田中俊太に代わって今日出場登録された伊藤光と楠本泰史のスタメンはなかった(楠本は代打で途中出場)。
1. 佐野(LF)
2. 森(SS)
3. 蝦名(RF)
4. 牧(2B)
5. 宮﨑(3B)
6. 桑原(CF)
7. ソト(1B)
8. 嶺井(C)
9. 大貫(P)
継投 大貫晋一(5回1/3回)→H 田中(2\3回)→勝 エスコバー(1回)→H 伊勢(1回)→S 山﨑(1回)
5回表 ベイスターズの攻撃
一死走者なしから7番ソトがジャイアンツ先発の戸郷の甘く入った初球のフォークボールをとらえ、レフトスタンドへのソロホームランでベイスターズが1-0と先制した。
6回裏 ジャイアンツの攻撃
先頭のウォーカーが2-2から大貫の投じた変化球(スライダー?)をレフトスタンドに運ぶソロホームラン。1-1の同点に追いつかれた。
8回表 ベイスターズの攻撃
ジャイアンツのマウンドには2番手のビエイラが上がったが、制球が定まらず三つのフォアボールで二死満塁となった。
このチャンスに、この日も途中から代走で出場していた神里が打席に入り、1-2から真ん中付近に来たビエイラの160km/hのストレートを左翼線に打ち返す2点タイムリーヒット。
最近好調の神里の勝負強い一打で3-1と再びジャイアンツを突き放した。
その後、8回は伊勢大夢がランナーを出しながらも牽制で2塁走者をアウトにするなどもあり無失点、山﨑康晃は9回を4人で抑えてそのままベイスターズが勝利した。
大貫晋一は今日も安定していた。5回1/3で被安打8、与四球1と走者は出したが、失点はウォーカーのソロホームランによる1点のみ。
これで10試合連続で5回以上を投げ、失点3以下という先発投手として試合を作る投球を続けている。6回にウォーカーに打たれた変化球もコースは外角一杯に入っているように見えた。あれをすくい上げてスタンドに持っていったウォーカーのバッティングを褒めるべきだと思う。
その後内野安打とヒットで一死一、二塁のピンチを作りマウンドをタナケンに譲りもう一歩のところでQSとはならなかったが、しっかりと試合を作ってくれた。
ネフタリ・ソトが約2ヶ月ぶりに5号ソロを放った。来日してからこれほど長くホームランから遠ざかっていたのは初めてだろう。打ったのは真ん中に入るフォークボールで戸郷の失投だったと思うが、失投を見逃さずに仕止めることができてくればホームラン数も伸びてくる。
少し心配なのは故障していた左手首の状態だ。今もテーピングをしているので万全ではないと思うのだが、ホームランが打てたことは十分に回復したことを意味すると信じたい。
真面目な彼は早出でのバッティング練習を毎日行なっているそうなので、どの努力が報いられることを願っている。
今日の試合はベイスターズが守り勝ったという言い方もできるだろう。
森敬斗の悪送球をカバーしていた嶺井がセカンドに向かいかけた吉川尚輝をファースト出さしたり、ピップフライになったバントをワンバウンドで捕球してダブルプレーを完成させたり、そして伊勢と牧のコンビでポランコをセカンド牽制アウトにとったり、非常によく統率が取れていた。
この流れも、大貫が残したピンチを今日もしっかりと切り取った田中健二朗の冷静な働きから始まったように思う。有難う、タナケン。
そして、今日もヒーローは神里和毅だった。二死満塁の緊迫した場面、まさに試合の趨勢が決まるという場面でビエイラの160km/hのストレートを完璧にとらえた。
今日のビエイラは制球に苦しんでいて、彼の打席ではストレートの連投となっていたので、明らかに狙っていたのだろう。これも経験のなせる業だと思うが、この感じだと、左の代打の切り札で俊足も活かせる試合終盤の流れを変えるような職人として期待できるのではないか。
フト気がつくと、層が薄いと言われ続けて来たベイスターズの野手陣が随分厚くなってきていることを思い知らされた。
未だ最下位だが、4位、5位とはゲーム差無し。3位の広島とも1ゲームの差しかない。その上の巨人だって、今日勝って4.5ゲーム差まで近づいて来ている。
本当にブーストをかけるのは来月タイラー・オースティンが復帰してからだと思うが、それまでに借金を減らして、2位まで1〜2ゲーム差まで上げておくことができれば、チームの勢いも必ず出てくる。
さあ、いよいよ本当に横浜反撃だ。
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