欲しがり屋さんから脱却しつつある三浦大輔と大人の監督像
8月8日 試合予定なし
昨日はドラゴンズに0-5と大敗したが、先週全体としてみれば4勝1敗と大きく勝ち越しており、三浦監督が試合後に語っていたように、割り切って考えるべきだろう。
ベイスターズは現在94試合を終えて46勝46敗2分の勝率5割ちょうどで3位。首位ヤクルトとのゲーム差10はさすがに厳しいが、2位阪神とは1.5ゲーム差。
シーズンを2位で終え、クライマックスシリーズのファーストステージを横浜で開催することはまだ十分狙える位置にいる。
ベイスターズの月別の成績を下表にまとめた(8月は未だ5試合なので参考程度に見てください)。
勝率は7月と8月に5割を上回るようになり、その結果、3/4月と6月に作った借金を返すことができた。
チーム打率は当初 .242と低調だったがそれ以降は .250を上回るレベルを維持している。ただし、本塁打と盗塁は徐々に減少してきていることがわかる。
この夏はセミとホームランが少ないような気がしていたが、やっぱりそうだったのか。
目立っているのは夏に入ってからのディフェンス面の向上である。
チーム防御率は7月以降3.00を下回るようになり、WHIPも1.15という良い数値を示していることからもわかる通り、このところの好調は投手陣の奮闘によって支えられていると思う。
そして、春先にはかなり目立っていたエラーも減っていることがこの投手陣の頑張りを支えていると思う。
この暑い夏そしてこれに続く9月の連戦で投手陣の奮闘と固い守備を堅守していくことができるかどうかが極めて重要だ。
ベイスターズは強力打線というようなことを未だに言う解説者もいるが、実際には”守備のチーム”に変貌しつつあり、特に、ともに121本と際立ってホームラン数の多いヤクルトと巨人の半分程度(69本)しか打っていないことは、むしろ相手投手からすると一発の恐怖や迫力を感じない打線になっているのではないだろうか?
できれば今月中にオースティンとソトを打線に並べて(ついでに大田泰示も、休み休みで良いので)、遅ればせながらホームランを量産する体制を作りたい。やはり、ホームランによる援護は投手陣の負担軽減という意味でも非常に重要だと思う。
ところで、最近の三浦監督の言動を見ていると急に”大人になった”ような印象を受ける。
来年50歳になるという野球人に対して大人になったという言い方をするのは失礼な話なので、おそらく、実際は”選手のメンタル”から”指揮官のメンタル”に変化したと言うことなのだろう。それが大人の監督、監督らしい監督になってきたと感じさせるのだと思う。
カープとジャイアンツで投手として大活躍された川口和久さんが以前、
”結果を先に考えたらピッチングにならない”
と仰っていたが、これはまさに選手のメンタルだと思う。戦術的な選択の余地はあまり与えられておらず、不利だなどと考えることは消極的なプレーにつながってしまう。
選手は常に理不尽なほど強気でなくてはならず、そして特に投手は頑固で相手を見下ろしていないとあのマウンドに立ち続けることはできない。
長年投手であった三浦大輔さんはもちろんこうした選手のメンタルで自分を鼓舞し、孤独な戦いを続けてきたのだと思う。
しかし、監督の考えるべきことは違う。むしろ逆に、
”結果を先に考えないと指揮にならない”
のである。
負ける戦は避けるべきだし、どうしてもやらなければならない時は良い負け方つまりその後のシーズンに及ぼす影響をできるだけ小さくする負け方をする必要がある。
昨日の試合は結果的に0-5の大差で敗れたが、連投のクローザー山崎康晃をベンチ外とした戦いでロメロ、平田、石川の継投で勝ちパターンの3人とそれに準ずる位置付けの入江投手を温存したまま試合を完了した。
今回の中日戦では、大貫晋一ー大野雄大の両チームエース級の対戦を制し、続く第二戦は現状のローテーションでは谷間ともいえる坂本・京山組で好投手小笠原慎之介の先発試合に投げ勝った(実際に失点したのはクローザーのマルティネス投手)。
この二つの勝利は”してやったり”なのである。
ここで第三戦の7回以降、0-1の僅差のビハインドで再び勝ちパターンを投入することによってひょっとするとドラゴンズをスイープすることができたかも知れないが、2位阪神と首位ヤクルトとの対戦を翌週に控えて、その代償は大きすぎる。
目先の勝ちをもぎ取るために手段を選ばなかった昨年そして今年序盤の三浦監督は、西岡すみこさんに言わせれば、”欲しがり屋さんだねえ”ということだったと思うが、最近はシーズン全体を見通して戦術を考える余裕が出てきているようにも見える。
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