mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

あきらめないって大切なことなんだね



9月20日 対阪神タイガース 甲子園球場


勝 ベイスターズ 5 ー4 タイガース


勝利投手 フェルナンド・ロメロ(6勝8敗0セーブ)

敗戦投手 岩崎優(1勝6敗26セーブ)

セーブ 山﨑康晃(0勝2敗35セーブ)


本塁打 佐野恵太20号(1回表ソロ)、陽川尚将(8回裏ソロ)


継投 上茶谷(5回)→H 入江(1回)→H 伊勢(1回)→エスコバー(2/3回)→勝 ロメロ(1/3回)→S 山﨑(1回)


いやあ、こんなことってあるんですね。


野球の試合には流れと言うものがあって、1点リードの8回裏にセットアッパーが打たれて3点とられると最終回の攻撃はあっさり終わりと言うのが既定路線だと言うことは皆わかっていた。


普通はそう。そうに決まっている。


しかし、負けたら終わりの高校野球のように、ギリギリまであきらめず、チーム全体が非常な集中力を発揮する時がある。


今日の試合の舞台が甲子園だったせいだろうか?


8回表までの出来事はどうでも良かったかのように、8回裏から試合終了まで、両チームの意地が濃密に詰まった攻防が繰り広げられた。


そして、この一戦にかける気持ちの強さと集中力でベイスターズがわずかに上回った。




初回ツーアウト走者無しの場面で、3番佐野恵太がタイガース先発の青柳投手が2-1から投じた4球目のツーシームを左中間最前列に運ぶソロホームランで1-0と先制した。


やや甘くなったとは言え、技術を感じさせる一打で、打たれた青柳もスタンドに入るとは思っていなかったような表情だった。



しかし、前回登板に続いて立ち上がりに不安を残す上茶谷は直ぐにこのリードを吐き出してしまう。


先頭の中野が2-2から外角のストレートを上手く左に打つと、鋭い打球を柴田がはじいてしまい内野安打となった。守備範囲は狭いがグラブの使い方が柔らかい宮﨑だったら打球の勢いを上手く吸収して捕球していたのではないかと思ったが、そんなことを言っても仕方ない。


2番糸原がフォアボール、近本の送りバントで一死二、三塁となり、大山のサードゴロの間にサードランナーが生還して1-1の同点。糸原のフォアボールが勿体なかったが、これも言っても仕方のないことだ。


その後、上茶谷は落ち着きを取り戻して、ランナーを出しても後続を落ち着いて打ちとる丁寧なピッチング。


6回表に青柳キラーの神里がこの日二つ目のフォアボール、佐野のセンター前ヒットに続いて、前打席で二死満塁のチャンスに凡退していた牧秀悟のレフト前タイムリーヒットで2-1と突き放すことに成功した。



勝ち投手の権利を得て上茶谷はここで降板。今日は5回、77球、被安打3、与四球2、奪三振4、1失点と言う内容だった。


三浦監督はこの一点を守り切ると言う戦術を選択し、6回から入江大生を投入。入江は先頭の糸原にツーベースを打たれたが後続を打ちとって糸原の進塁を許さなかった。


7回は伊勢大夢が登板し、6番佐藤輝明を空振り三振に打ちとると、その後も内野フライと内野ゴロで切り抜け、球団新記録となる39ホールドを65試合目の登板で記録した。



猛者揃いのベイスターズの歴代リリーバーの中でトップとなる記録は賞賛に値する。本人は”体はきついけど、魂だけはちゃんと入れて投げていきたい“と言っているので、残りの試合も魂のこもった力投を期待している。


しかし、三浦監督には、節度ある起用と適度な休養を是非お願いしたい。


ここまでは予定通り。


番狂わせは8回裏に起きた。


勝ちパターンの3人目エスコバーがマウンドに上がると、タイガースベンチは代打陽川を起用した。陽川は1-2からの5球目、膝もとの155km/h速球をジャストミートし、レフトスタンドの左隅に飛び込む同点ソロホームラン。


土壇場で2-2の同点に追いつかれ、上茶谷の勝ちは消えた。


こうなると甲子園の球場全体に火がついてしまう。


それを背負って、タイガースが怒涛の攻撃を見せた。こう言う光景をこれまで何度見たことだろう。


続く中野の当たりはどん詰まりだったがライト前ヒット。その後、送りバントにサードゴロそして申告敬遠で一塁を埋めて二死一、二塁。


ここで5番原口がエスコバーのインコースのストレートを振り抜いて、これも詰まっていたが、打球はショートの頭上を越えてレフト前にバウンドした。2-3と逆転を許す。


さらに、6番佐藤輝明の8球目も詰まっていたがレフト前ヒットとなって2-4とリードを広げられた。



ベンチはここでエスコバーをあきらめ、ロメロを投入して事態を収拾したが、普通ならこれで試合は決まっていたところ。


しかし、今日のベイスターズはあきらめていなかった。


殊勲代の楠本によると、3点取られたら3点取れば良い、誰もあきらめてなんかいなかった、とのこと。良いぞ、楠本!。


最終回のマウンドにはタイガースのクローザー岩崎投手。


9回表の攻撃は7番からだったが、そこには青柳対策で途中から出場した宮﨑敏郎がいた。そして、宮﨑は宮﨑だった。センター前ヒットで出塁。


最終回に彼が先頭打者だといつもヒットで出塁しているような印象がある。


8番森敬斗に代打大田泰示を送ると、期待に応えてライト前ヒットで無死一、二塁(良いぞ、大田!)。


続く関根のライトフライの間に宮﨑がタッチアップで三塁に進む(良いぞ、宮﨑!)。


打順がトップに戻って桑原はライト前に詰まって落ちる魂のヒット(良いぞ、桑原!)。3-4と追い上げた。


ソトが三振で倒れて二死一、二塁となり、スタンド一杯のタイガースファンは恒例の“あと1人”コールを始める中、はっきりと復調した佐野恵太が打席に入る。


佐野は2-1のバッティングカウントから岩崎のインコースのボールをとらえて鋭い打球をライト前へ。長打のある佐野を警戒して前進守備のできなかったライトの返球を尻目に大田泰示がセカンドから生還して4-4の同点に追いついた(凄いぞ、佐野!)。


4番牧を敬遠気味のフォアボールで歩かせ二死満塁となって打席には今日ノーヒットの楠本。打てたらもうけものと思っていたと言う楠本は初球を迷わず引っ張ってライト前へのクリーンヒット。とうとう5-4と逆転して8回裏のタイガースの猛攻を帳消しにした。



あきらめていない人たちって、すごいんですね。


この後、9回裏には山﨑康晃が登板し、なんと牧の落球でノーアウト2塁の大ピンチを背負ったが、その後の3人をバント失敗、ピッチャーゴロ、三振でランナーを進塁させず切り抜けた。


ゲームセット。


ほぼ決まりかけていた試合の流れを撥ね返したと言う意味で、今シーズン一番と言っても良い劇的な勝利をおさめた。


8回に逆転された後、“これで決まりだな”などとわかったようなことを言っていた自分が恥ずかしい。


同級生のことを信じて疑わない高校野球の応援団員のように、これからは最後のバッターがアウトになるまで逆転を祈って応援しようと思った。


長い暗黒時代に言い慣れた“追いつかない程度の反撃”などと二度と言うもんか。