mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

選手が選ぶハマスタベストプレーで2022年シーズンを振り返る(投球編)



世の中では、6月末くらいに「今年も、もう半分終わったんですよ。はやいですね。信じられない」とか言う人も多いが、私はそう言ったカウントダウンマニアの趣味はないので、大晦日になるまでは、「もう今年も・・・」とは言わないようにしている。


しかし、今年もとうとう大晦日になった。


昨日の記事に続いて、選手が選ぶハマスタベストプレーを見ながら、今年の名場面をその時の自分の気持ちを思い出しつつ振り返ってみたい。


今日は投球編です。


投手については同率3位が三人いたので、トップスリーが合計5人と言うことになった。




【投球編】





(3位)山崎康晃 ヤスアキジャンプを力に


昨シーズンのどん底の状況から見事な復活を果たした山﨑康晃投手。


昨年は最愛のお母様を亡くすなどプライベートも含めて大変だったと思うが、彼にはそうしたことを力に変える強いメンタルがあるのだろう。


今年にかけた彼の精進とギリギリのところで自分を信じて立ち上がった底力には本当に感心させられた。


技術的には、やはりストレートの球威が増してアウトローに決めきるコントロールが安定したことが大きい。


新人の頃のストレートを取り戻したという意見も聞かれたが、近年はプロ野球界の高速化が進み、彼が入団してから6年間でセリーグのピッチャー全体のストレート平均球速が2〜3km/h上昇していることを考えれば、それこそアップデートされて威力を増しているに違いない。


そう言う意味では、復活というよりも「生まれ変わった」ということなのではないだろうか。


山﨑投手に投票した伊勢大夢投手は、興奮のるつぼと化したあのスタジアムでヤスアキジャンプの中を登場するプレッシャーは凄いが、山﨑さんはそれを力に変えられる気持ちの強さがある、と語っていた。


チームの優勝のために、来年から新たに6年契約で勝ち試合を勝ち切る大事な役割を担っていくことになる。


クローザーの座は、伊勢投手に加えて、急成長の入江大生投手や新入団のウェンデルケン投手との競争ということになるだろう。


そして、この競争がベイスターズの勝ちパターンをさらに強力なものとして、躍進の駆動力になるはずだ。





(3位)今永昇太エースのまっすぐ


今永投手も敬愛するお父上を今年亡くした。


そのシーズンは開幕直前の左前腕部肉離れによる離脱という不運もありながら、夏以降は何度も圧巻の投球を見せ、一昨年の肩の手術を受ける前と同等あるいはそれ以上のレベルの投手となった。


特筆すべきは、やはり、6月7日、札幌ドームでの日本ハム戦で達成したノーヒットノーランだろう。その時の彼のコメント。


「この度、ノーヒットノーランを達成できたのは、球場に来てくださったファンの皆さんが、雰囲気を作ってくれたおかげだと感じています。


試合展開の中で、ヒットを打たれていないということは意識していませんでした。


私自身、緊迫した試合展開でもあったので、ノーヒットノーランという記録よりは、まずは勝ちたいという気持ちが自分自身を無にしてくれたのではないかと思います。


両チーム、無得点で続くピリピリとした独特の雰囲気はなかなか忘れられないと思うので、またその雰囲気を味わえるよう、次回もいい投球、勝つ投球ができるように頑張っていきます」


彼のコメントの通り、8回が終わった時点で両チームとも無得点という緊迫した投手戦(日本ハムは加藤、堀、北山の無失点継投)だった。


9回二死一、二塁のチャンスで5番に入った宮﨑敏郎が値千金の2点タイムリーツーベースを放ち、試合を決めた。これが無ければ記録達成はならなかったかも知れない。


その今永投手の生命線はやはりストレート。


回転数の高いホップする彼のストレートはバッターがわかっていても前に飛ばすことができないと絶賛していたのは彼の記録をアシストした宮﨑選手。


球団からの複数年契約の打診を辞退し、単年契約を選択した今永投手は来年オフにはポスティングでMLBに挑戦することが濃厚だ。


日本での彼の投球を見ることが最後になるかも知れない2023年にチームを優勝に導くことで自ら華道を飾ってもらいたい。





(3位)入江大生の急成長


昨年はドラフト1位で華々しく入団したものの、未勝利のまま肘の手術で離脱を余儀なくされるなど無念のシーズンを送った入江投手は人一倍今年にかける気持ちが強かっただろう。


同期入団の牧秀悟選手は大学時代から面識があり、特に入団、入寮後は仲良しという間柄の様だが、その牧選手が新人年に球団の記録を次々と塗り替えるような規格外の活躍を見せたことも入江投手の今年にかける気持ちを一層強くしていたと思う。


彼の投球で最も大きな変化は、2021年に平均球速が140キロ台半ばほどだったストレートが平均で152km/hを上回るようになったと言う高速化だろう。


この変化は、先発からリリーフに転向して短いイニングで力を出し切るようになったことによるものだと思うが、同様の変化はこれまでにも、リリーフに転向した多くに先輩たちに見られたものだ。


チームメイトからも、指にかかったストレートは後ろから見ていても素晴らしかったと言われるほどの球威を誇り、落差の大きいフォークボールとのコンビネーションで非常に高い奪三振率(9.86)を記録した。


今オフにはオーストラリアウィンターリーグに参戦し、ゴロを打たせて球数を減らすことを狙ったツーシームを実戦で試していた。


彼なりに手応えがあったようで、現在のストレートとフォークのコンビネーションを中心とした投球の幅を広げることが期待できる。


彼は良いスライダーも持っているが、バッターに読まれるようで、やや被打率が高かった。


しかし、この球種と対になるツーシームと組み合わせることで、スライダーともども生きてくる可能性もあるように思う。


先発再転向と言う声も聞かれるが、私個人としては、同じ背番号の球団レジェンドである佐々木主浩さんのようにいずれはクローザーを目指して欲しい。




(2位)大貫安定感


大貫晋一の飄々としたマウンド上での振る舞い、そして勝負どころで見せる集中力と気魄と言うコントラストのあるプレースタイルが大好きだ。


そして、彼は新人の時から試合後のヒーローインタビューを含め、話し方が穏やかで分かりやすく、理路整然としていて周囲への気配りも行き届いている。


このブログでも何度か書いたことだが、コロナ禍で無音の中行われた昨年の横浜スタジアムの試合中、たまたま一塁側グラウンドレベルに張り出した内野席の最前列にいた私は、ベイスターズの攻撃時間中にキャッチボールを行なっていた大貫投手のストレートが回転する「シュルシュルシュル」と言う音を少し離れた位置から聴いて驚かされたことがある。


彼の持ち味は、素晴らしいコントロールと、ピッチトンネルと言う打者から見ると手元まで球種を絞ることのできない同じコースに集めたストレート、スプリット、スライダー、ツーシームのパッケージだが、そのベースにあるのはやはりあの質の良いストレートだ。


スタミナの関係から完封、完投というのは少ないが、抜群の安定感で6回、7回まで試合を作ってくれる彼の働きはチームの優勝に欠くことのできない柱の一つだと思う。




(1位)伊勢大夢魂のリリーフ


先日の契約更改で、アップ率、金額ともにチームトップだった伊勢大夢投手は、選手たちの投票でも12票と断然トップで、MVPという声も聞かれていた。


投球イニング数という意味でも、連続無失点記録という意味でも、そして、あのジャイアンツ戦でのノーアウト満塁の絶体絶命のピンチでの見事な火消しなど勝負所での活躍という意味でも、今年のベイスターズの躍進の最大の原動力は伊勢投手だった。


昨シーズンから、ストレートでの空振り奪取率は広島の栗林投手と並んでリーグ最高だったが、今年はそのストレートに制球力が加わったことでさらに磨きがかかった。


今春のキャンプで小谷アドバイザーから指導を受け、ブルペンで熱心に投球練習に励む姿がインターネットでも配信されていたが、その努力が見事に実った。


チームメイトたちも、伊勢投手の背中を見ると安心できる、オーラが出ている、と言った声もあり、彼らの信頼を勝ち得ていることがよく分かった。


大和選手の、自信が溢れていて堂々としている、去年とは全く違う姿、と言うコメントがまさに彼の1年間を端的に表していると思う。


登板過多による故障だけは絶対に避けて、長くベイスターズのブルペンの柱として支えてくれる存在であり続けてください。



本ブログもこれが今年最後の投稿となりました。


ベイスターズの歩みとともに、勝っても負けても応援したいという極めて個人的な内容の文章に1年間お付き合いいただき本当に有難うございました。


来年が皆さまと横浜DeNAベイスターズにとって素晴らしい一年となりますよう心からお祈り申し上げます。