mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ



1月10日 山﨑康晃、三嶋一輝、伊勢大夢と言ったブルペン陣の柱と石川達也などの若手投手が正月恒例の厚木での山登りと自主トレーニングを行った。


国指定の難病で手術を受けた三嶋投手も元気にハードな練習をこなしたようで、順調な回復ぶりが伺える。


NPBではこれまでに完全復帰した例がないという難しい病気らしいが、幸い、その分野での医療技術の進歩が著しく、三嶋選手は最新方式の手術を受けることができた。


この手術の場合は、術後の回復程度も以前の方法よりずっと期待できるとのこと。


私は彼の魂のこもった投球、躍動するフォームから繰り出される豪速球や切れ味鋭いスライダーでバッターを制圧する姿が大好きだ。


今季、是非一軍に復帰して以前のような投球を見せて欲しい。


その他、ベイスターズ関連のニュースで目に止まったのは、今オフ現役を引退した高城俊人さんがブルペン捕手として球団に残ることになったと言う記事。


苦労人で人の気持ちがわかる高城さんがブルペンで投手たちのボールを受けてくれるのは有難い。


新入団の吉野投手も、今日早速高城さんにボールを受けてもらい、綺麗なキャッチングフォームで的が大きく見え、とても投げやすかった、と語っていた。


と言うことで、あまり大きな動きはなかった今日、私は数年ぶりに2017年の球団公式ビデオ「For Real 必ず戻ると誓った、あの舞台へ。」を観た。



【ぼくの心のやわらかい場所を 今でもまだしめつける】


2017年のベイスターズは、シーズン後半になるとラミレス監督の戦術眼が冴え、8月の対広島戦3連続サヨナラ勝ちや、雨でドロ沼のようになった甲子園でのCSファーストステージの勝利など、伝説となっている名勝負を繰り広げた。


広島戦でのプロ野球史上初となる3連続ホームランでのサヨナラ勝ちは、誰がどの順番でどんなバッティングを見せて逆転サヨナラとなるのか全て記憶しているし、3本目となるサヨナラホームランを放った宮﨑敏郎がホームベースを駆け抜け、両手を広げてラミレス監督に抱きついて行く映像はまぶたの裏に動画として保存されているかのようだ。



しかし、それでもBlu-rayで実際の映像を見ると胸がドキドキして血が騒ぐし、理由のよくわからない涙が目に浮かんでくる。


画面には、ゴメス後藤、須田幸太、そしてホセ・ロペスと言った懐かしい選手が元気な顔を見せているし、石田健大、今永昇太、山﨑康晃、宮﨑敏郎などの現在の主力たちも5年分若い姿ではつらつとプレーをしている。


あの広島戦3連続サヨナラの中で代打後藤武敏が放ったフェンス直撃のツーベースヒット、チャンスで惜しいライトライナーに倒れ気落ちする桑原将志のコーヒーに大量の塩を投入し、大笑いさせて盛り上げるホセ・ロペスなど何度も観た名場面がそこにはあった。


そして、最大の山場は常勝ソフトバンクと戦った日本シリーズ。


3連敗で王手をかけられた状態(梶谷隆幸が王手のことをゴッドハンドと呼ぶ親父ギャグを言っていたことを久しぶりに思い出した)から、新人のハマちゃんの快投や高城のプロ6年で2本目となるホームランなどで2連勝して、2勝3敗で迎えた第6戦。


3-2と1点リードして迎えた9回裏ツーアウト走者無しの場面で、クローザーの山﨑康晃の投げたツーシームが内川聖一に狙い撃ちされて同点に追いつかれ、11回裏には川島選手のライト前ヒットで2塁走者が生還してサヨナラ負けを喫した。


あの時、ライト梶谷からの返球はアウトのタイミングだったが、人工芝からわずかに土の部分に入ったところでバウンドしたボールは予想外に高く弾み、キャッチャー嶺井博希のミットの上を飛び越えていった。



もう何十回と観て全てを記憶しているシーンなのに、やはり映像を見ると血の気が引いていくような気がするし、何か取り返しのつかないことが起きてしまったような、大きな後悔の念を抑えられなくなる。


そう、あれから5年経っても、それは、ぼくの心のやわらかい場所を 今でもまだしめつけるのだ。



【あのころの未来に ぼくらは立っているのかなぁ】


王者ソフトバンクをもう少しで追い詰めるというところまで行った2017年の日本シリーズが終わった時、我々ファンは皆、近い将来ベイスターズがリーグ優勝を果たし、もう一度日本シリーズに進出することを予感していた。


それは祈りというような悲壮なものではなく、当然そうなるだろうと言う楽観的な期待だった。


この図は、その頃、週刊ベースボールが実施した「あなたにとって最も魅力的な球団は?」と言う読者アンケートの結果だ。



なんと80%以上がベイスターズと答え、2位のソフトバンクはわずか3%と極端な大差をつけている。


その結果を見た私は、凄いなとは感じたが、なるほどとも思っていた。


石田健大、今永昇太、濵口遥大の左腕トリオに加えて、井納翔一やジョー・ウィーランドと言う先発投手陣がいたし、山崎康晃、スペンサー・パットン、三上朋也、須田幸太、タナケンと言うリーグ屈指のリリーフ陣もいた。


打線には、筒香嘉智、ホセ・ロペス、梶谷隆幸、宮﨑敏郎と言う強打者が名前を連ね、12球団でも一二を争う爆発力を誇っていた。


そして、勝負師としての戦術眼を持つ奇才アレックス・ラミレスがチームの力を十二分に引き出してくれると思われた。


しかし、翌2018年にはラミレス監督がコーチや選手たちから孤立していると言う噂が流れ、チームはまとまりを欠いて4位で終わった。


2019年には2位でCSに進出したが、継投の失敗からファーストステージで阪神に敗れた。


そして、2020年は4位に終わり、ラミレス監督は退任を余儀なくされた。


その間、ホセ・ロペス、ジョー・ウィーランドとスペンサー・パットンは戦力外となり、梶谷隆幸と井納翔一はFAで巨人へ、後藤武敏は引退し、須田幸太は戦力外となって古巣の社会人野球へ去っていった。


キャプテンだった筒香嘉智はMLBに挑戦し、今、アメリカの地で自分の居場所を作るべくもがき苦しんでいる。


2017年の日本シリーズ第6戦に惜敗したあの時、またすぐに戻って来られるだろうと思った日本シリーズにはその後全く手が届かず、2021年には、暗黒時代以来となる最下位に沈んでしまった。


当時の主力たちが半分以上去ってしまった今、あのころの未来にぼくらは立っているのかなぁ、と自分自身に問いかけてみる。


答えは多分、ノー、と言うことになるだろう。


今永昇太がエースになり、宮﨑敏郎がセリーグを代表する巧打者になったことを除けば、今のチームはあの頃思い描いていた5年後のチームの姿とはだいぶ違っている。


しかし、牧秀悟、佐野恵太、ソト、オースティン、大田泰示と言った当時は想像もしなかった強打者たちが現れ、大貫晋一、平良拳太郎、東克樹、上茶谷大河、エスコバー、伊勢大夢、入江大生などの実力のある投手たちがチームを引っ張る。


ベイスターズと僕たちは、列車を乗り換えることになったかも知れないけれど、やっぱり、あの時と同じ目的地に向かって走っているんじゃないのかなぁ。


そうだ。夜空のむこうには もう明日が待っている。