mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

徐々に実戦に近づく宜野湾キャンプ




2月7日 休日を挟んでキャンプ6日目となった今日、実戦形式のシートバッティングが行われた。


野球というスポーツは相手があって初めて成立するものなので、これまでキャンプで行われてきたブルペンでのピッチングや守備・走塁練習、あるいはティーバッティングなどはあくまでも野球のパーツであって、厳密には野球そのものではない。


この辺りが、重量挙げや陸上競技あるいは水泳などのタイムや重量を競うスポーツなどとは大きく異なる点だ。


ちょっともったいぶった言い方になってしまったが、ブルペンでストレートがどれ程走っているように見えても、素晴らしいスイングスピードで打撃投手のボールを打ち返していても、相手と対峙して真剣勝負をしてみないと良し悪しは分からない。


矛盾という言葉の語源になったように、何でも貫くことのできる矛(ほこ)と絶対に貫けない盾とは両立しないのだ。相対して見れば、どちらかは額面通りではないと言うことが露見する。


キャンプの練習を見ていても、このストレートなら誰も打てないだろうと思った直後にこのスイングなら打てないボールは無いだろうなどと思ってしまう。


このピッチャーとバッターが対戦したらどうなるのだろうか?どちらにしても、矛と盾のようにどちらかが額面とは異なることが明らかになる。


実戦形式での練習の意味はここにあると思う。


野球選手の“力”と言うのはタイムや重量という絶対値ではなく、あくまで相手との相対的な関係で決まるものなので、実戦形式の練習を通じて初めて今の自分の力というものを把握することができる。



今日のシートバッティングに参加した選手は以下の通り。


投手 


東克樹、京山将弥、三浦銀二、阪口皓亮(それぞれ8分間)


打者 


桑原将志、大田泰示、佐野恵太、京田陽太、知野直人、森敬斗、牧秀悟、松尾汐恩、田中俊太、山本祐大、柴田竜拓、林琢真


印象に残ったポイントをいくつか書いておこう。



【東克樹はもう少し時間がかかりそう】


東投手はストレート、スライダー、チェンジアップを織り交ぜて投球していた。


素人目にはこんな感じだったかなあという感覚だったが、佐野選手に外角からやや内側に入ったベルトの高さのストレートを完璧に弾き返され、左中間を破る2点タイムリーツーベースを打たれた(走者二人というシチュエーションを想定していたため)。


これは佐野選手の状態が良いということなのだろうか、とも思ったが、次に打席に入った柴田選手にもクリーンヒットされて相対的な力関係が見えた。


結果を見てから後出しになってしまうが、VTRを見直してみると今日の東投手は球威、コントロールともにもう一つだったようだ。


昨年の不甲斐ない投球で失った自信をまだ取り返せていないようにも見える。


やはりストレートで空振りをとったり押し込んでファウルにしたりという投球を実現しないと彼の自信は戻ってこないだろう。



【林琢真の守備はプロで食っていける】


俊足・好守という評判の林選手は打席に入って良いあたりのライナーを外野に放っていたが(ただし野手の正面)、私の印象に残ったのは、やはり、セカンドの守備だった。


打球へのアプローチ、捕球、そして送球まで安定感があり流れるようなリズムも感じられた。


守備に関しては十分にプロのレベルだ(個人の意見であり、効果を保証するものではありません)。


森敬斗のようにヒット性の打球に飛びつき強肩でアウトにするというような目立つプレーではないが、投手が打ち取ったと思った打球は確実にアウトにする、そんな感じの堅実なプレーに見えた。


林選手とポジションがかぶるという意味では柴田選手だろう。走力に関しては林選手の優位がはっきりしているので、柴田選手としては昨年のような打率1割台、打点1ということでは生き残ることが難しい。




【松尾汐恩は対応力がある】


松尾選手は2度打席に入り、最初は京山投手の高めのストレートに詰まりながらハーフライナーが一二塁間の絶好の位置に飛んでヒット。


恐らく、彼は打席でプロの投手のボールを見るのは初めてで、京山投手のスピードボールに振り遅れていた。しかし、それでも空振りはせず、なんとかバットに当てていたのはさすが。


そして、3球目(だったと思う)のストレートが高めに浮くと、おっつけてなんとかヒットゾーンに飛ばした。


二打席目は三浦銀二投手との対戦で、低めの変化球をうまく掬いあげてセンター前ヒットを放った。こちらも快心の当たりという訳ではなかったが、打席で対応するということが素晴らしい。


そして、何よりも選球眼がよろしい。


これはプロとして大成するために非常に重要な因子だと思う。


冒頭にも書いたが、野球はスイングスピードやバッティングフォームを競うスポーツではなく、相手に優ることを以って良しとする競技なのだ。


守備でもマスクを被る機会があった。


シートバッティングの場合のサインは誰が出しているのだろう?


まだリードとか配球というレベルの話ではないので捕手としての本当の実力はわからないが、三浦監督も言っていたように堂々としたプレーを見せてくれた。


流石に開幕一軍はないだろうが、彼の姿を公式戦で見るのは予想していたよりも早くなるかも知れない。



【佐野恵太はさすが】


佐野選手はクリーニング手術の影響が懸念されたが、今日のバッティングとレフトの守備を見る限り何も問題はないようだ。


特に、東投手から放った左中間を破るツーベースは、軸が全くぶれずに身体を高速回転させる彼らしい強いスイングで真芯で捉えたあたりだった。


京山投手のインコースを引っ張ったあたりも強いライナー性の打球だったが、ファースト知野選手の好守に阻まれた。


先日のインタビューで”もう一度首位打者を狙う”と語っていたが、十分にその可能性を感じさせるようなバッティングだった。


彼はもうリーグを代表する中距離打者と言って良いだろう。




【あれ、牧秀悟はちょっと迷ってる?】


牧選手は三浦銀二投手と対戦した。


ファウルの後、インコースのスライダーを見逃してツーストライクと追い込まれると、最後はアウトロー一杯のストレートに手を出せずに見逃し三振。


なんだか牧選手らしい積極性の感じられない打席だった。


誰しもそういう打席はあるので、たまたまということだろうが、ストライクを2球続けて見逃した時の彼の表情を含めて、少し気にはなった。


まあ、きっと杞憂に終わることだろう。




【阪口皓亮の球威は見るべきものがある】


今日マウンドに上がった4人の投手の中で最も威力のあるストレートを投げていたのが阪口投手だった。


高めのボールでも、”ゴー”という音が聞こえてきそうな迫力のあるスピンの効いたフォーシームを見せてくれた。


昨シーズンも球威は十分、という評価のまま1軍で活躍することはできなかったので、変化球も含めたコントロールと漠然とした言い方だがピッチャーとしてのまとまり、落ち着いたマウンド捌きを身につけて今年こそは一皮剥けるという期待の持てる内容だった。


今日の時点では、阪口>京山という力関係であるように見えた。


しかしまだキャンプインからわずか一週間に過ぎない。


これから彼らの競争はシーズンを通じて続いていくことだろう。