mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

がっかりするなよハマちゃん、この人生には飲まなきゃならない苦い薬もあるものさ




4月19日 読売主催の九州シリーズ第2戦は佐賀に場所を移してさがみどりの森球場で行われた。


高校野球の地区予選会場となっているので、同県出身の選手たちにとっては懐かしい場所だろう。


ベイスターズでは濵口遥大と宮﨑敏郎という2人の主力選手が佐賀県の出身だし、前回優勝時の監督だった権藤博さんも佐賀県鳥栖市のご出身だったと記憶している。


ジャイアンツのベンチ入りメンバーでは長野選手が佐賀の出身だ。


ちょっと調べてみると、ハマちゃんと長野選手はいずれも三養基郡基山町の出身とのこと。


人口1万数千人の町なので、お互いに交流があるかも知れない。いや、年齢とキャリアを考えれば、ハマちゃんが長野選手を郷里出身のスター選手として観ていた可能性が高いだろうか。


そのハマちゃんは開幕後に試合連続でノックアウトされており、0勝2敗、防御率10.00と凄いことになっている。


ハマちゃんの魅力は時としてとんでもない好投をするところにあり、それは不安定さの裏返しでもあるのだが、このところ安定して悪い状態が続いている。


それでも三浦監督が彼を抹消せず中7日でこの日の先発に起用したのは郷里での凱旋登板ということがあったはずだ。


勝利が至上命題であるプロ野球の世界で、こう言う配慮が良いのかどうか、議論があるだろうし、今のハマちゃんの状態を考えると、これが本当に凱旋登板になるのかと訝る声もあって当然だと思う。


九州入りした際の長崎空港でのハマちゃん。すっかりオシャレさんになった


私はと言えば、三浦さんはそうしたことも考慮し、ハマちゃんが郷里で観戦するご両親や友人たちの目の前で打ち込まれるリスクも考えた上で彼を先発として起用したのではないかと考えている。


もしハマちゃんが中7日で自分のピッチングを立て直し、今季初勝利を挙げるようなことがあればこの目論見は大成功だし、打ち込まれて敗戦投手となった場合には、ファームでもう一度自分の投球を根本から作り直すための良いきっかけになる。


どうも今回のハマちゃんの先発起用は凱旋登板と言うような儀礼的なものではなく、一種の劇薬だったような気がしてならない。



【試合展開と得点経過】


ベイスターズのスターティングメンバーは2番にショート京田陽太を入れた最近の定番とも言えるもので、昨日からの変更点は8番捕手に山本祐大を起用したこと。


試合は2回に動いた。


この回先頭の牧秀悟がジャイアンツの先発山崎伊織投手に1-2と追い込まれてからの4球目を右方向に打ち返してツーベースヒット。


その後、桑原将志の内野ゴロが進塁打となって一死三塁となったところで好調の関根大気が打席に入った。


関根選手は山崎投手の初球を狙いすましたように捉え、ライト前に先制タイムリーヒットを放った。彼は守備や走塁も含めて連日チームに貢献し続けている。


幸先良く先制したベイスターズだったが、その裏ハマちゃんがジャイアンツ打線につかまる。


先頭の好調岡本和真にヒットを打たれると、その後、丸、ブリンソンに連打を浴びて無死のまま1点を失い同点とされた。


さらに、スタメンに復帰した吉川尚輝に犠牲フライを打たれて1-2と逆転を許してしまう。


味方の先制点をあっという間に吐き出し、さらに逆転されてしまうところが今季のハマちゃんのらしくないところだと思う。


原因は色々あるだろうが、端的に言えばストレートに力がない。これでは彼の得意とするチェンジアップも生きてこない。


同郷の権藤博さんがよく仰っているようにチェンジアップは劇薬であり、ストレートが走らない時にチェンジアップに頼ることは大怪我のもとだ。


4回にも同じ打順で岡本、丸に連打を浴びて無死一、三塁のピンチを迎えたが、この時は二度にわたってホームでランナーを刺し無失点で切り抜けた。


その後、ハマちゃんは変化球を低めに集めることに成功し、6回までは無失点に抑える。


この間、ベイスターズの五回表の攻撃ではソト選手の渋いヒットから掴んだ二死一、二塁のチャンスでハマちゃんをそのまま打席に送って凡退することもあった。


この采配に対する批判の声もあるようだが、私は、冒頭に書いたように三浦監督のこの日の意図は良くも悪くもハマちゃんの投球について白黒はっきりさせることにあると考えているので、ここで降板させるという中途半端な采配はしないだろうなと感じていた。



そして7回裏のジャイアンツの攻撃。


特に当たってもいなかった先頭の大城選手を簡単に歩かせたのは悪い方のハマちゃんのアルアルだ。


そして、続く吉川尚輝はバントをちらつかせて粘っていたが、これを警戒し過ぎたのか3-1とカウントを悪くしたところでストライクを投げざるを得なくなり、5球目のストレートがまん真ん中に入った。


この日好調の吉川選手はこれを見逃さず1発で仕留めて打った瞬間にそれとわかる大きなツーランホームランで1-4とし試合は決まった。


その後、2番手のウェンデルケン投手が中田翔にソロホームランを被弾し、試合は1-5とジャイアンツの完勝で幕を閉じた。


なお、もう1人の佐賀県出身者である宮﨑敏郎はこの日も6回に三遊間を破るヒットを打って開幕からの連続試合安打を14に伸ばした。




【ハマちゃんの苦いクスリ】


4連勝して首位浮上を果たしたチームは一夜で2位に後退することとなり、痛い敗戦ではあったが、まだ序盤でありさほど目くじらを立てる必要はない。


ハマちゃんの処遇と今後の方向性についてハッキリとした答えが出たことで良しとしよう。


ハマちゃんの今季の不調について、原因はいくつか考えられる。本当にところは当事者と現場のスタッフしかわかるはずもないが、いくつか例として挙げてみよう。


(可能性その1)


魔球とも言われていたハマちゃんのチェンジアップに各チームが対策を確立して来たこと。


具体的に言えば、チェンジアップを投じる際のフォームの癖が発見された、あるいはボールになる低めのチェンジアップを見切るための対応策が徹底されるようになったなどと言うことが考えられる。


(可能性その2)


ハマちゃんの新球種の習得によってストレートの球威が落ちたこと。


以前、今永昇太がパワーカーブを習得した際に、その代償としてストレートの球威が落ちて不振に陥ったことがあったと記憶している。


今季ハマちゃんが取り組んだ新球種はMLBでスイーパーと呼ばれているもので、ツーシームの握りでスライダーを投じるのだが、横方向に強い回転をかけることでほぼ水平に大きく曲がるのが特徴だ。


この球種も今永昇太のパワーカーブと同様、手首を強く捻る動きが求められ、そのイメージがストレートの際にも残ってしまうとボールの回転軸が理想とする方向からずれてホップ成分の要因となるバックスピンの回転数が減ってしまう。


上にも書いたように、今のハマちゃんの最大の問題は以前の真上から投げ下ろすストレートの球威が失われたことであり、私はこの2番目の可能性が高いのではないかと考えている。


もしそうだとすると、これから彼がファーム(まだ公示はないが、これから今永昇太と大貫晋一が1軍に合流することを考えればほぼ決まりだろう)でするべきことは明白だ。


スイーパーの投げ方や手首の感触を完璧に忘れること


そして、ストレートの球質についてアナリストの力を借りて見直しを行い、被打率の低い軸となる球種として磨きをかけること


シーズンは長い。


ハマちゃんが今日の苦いクスリで再生し、得意の交流戦で連勝する姿を期待している。


頑張れハマちゃん!


ファームで必殺のストレートを研ぎ澄まして来てくれ。


勿論、イースタンリーグの登板試合も全部観るし、必ず復活してくれることを信じて念を送り続けるよ。


ストレートに球威があり未だ花沢さん(磯野カツオのクラスメイト)だった頃のハマちゃん