mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

たった1人で堤防の決壊をくいとめたあの少年は東克樹だったんだね




私が小学生の頃、教科書に載っていた話だ。


オランダの一人の少年が、ある日、堤防に小さな穴が開いてそこから海水が少しずつ漏れ出していることに気付き、自分の指をそこに突っ込んで水を止めた。


穴はだんだんと大きくなっていき、少年は最後は腕まで突っ込んで何とか穴を塞ぎ続け、大人達が駆けつけて補修してくれるまで一人で持ちこたえた、というストーリーだったと思う。


水圧を指で止められるものか、と言うような野暮なツッコミは差し控えて、ここは、この少年の心意気と献身に拍手することとしよう。


そして今日、東克樹の前世はあのオランダの少年だったことに私は気がついた。


決壊寸前だったベイスターズ先発投手陣の穴をたった1人で塞ぎ、堤防を死守した。


すると大人達が駆けつけて、17安打13得点でベイスターズが大勝しましたとさ。


めでたし、めでたし。




ベイスターズ 13 - 3 カープ


勝 東克樹 4勝 1敗 0S
負 コルニエル 0勝 2敗 0S


本塁打 佐野恵太(2回裏3ラン)、マクブルーム(8回表ソロ)



【東克樹の熱投】


今シーズンの東克樹はオープン戦こそ不安定な投球が続き、新人王をとった頃の輝きはもう戻って来ないのかと言う声も聞かれたが、開幕するや否や圧巻の投球を見せ始めた。


4月には3連勝、しかもマダックスでの完封というおまけ付きで、投手部門の月間MVPこそ阪神の村上投手に譲ったが、通常であれば文句なし受賞と言う活躍だった。


前回、5月11日の巨人戦では微妙な制球に苦しみ、やや甘く入ったボールを打たれたが、それでも根本的な問題がある訳ではなく微修正で乗り越えられる範囲、と言う印象の敗戦だった。


5月5日から始まった先発投手の炎上の流れを止めると言うミッションに、東自身も含め、これまで、のべ9人のピッチャーが挑んでことごとく失敗してきたが、とうとう今日それを果たした。



今日の東はとにかくストレートが良かった。


最速150km/hと言う球速以上にキレと勢いのあるボールが低めに決まり、またある時は打者が思わず手を出してしまう高めのゾーンで伸びた。


ストレートと対になるチェンジアップも良く制御されており、この二つの球種のコンビネーションだけでもカープ打線は相当手を焼いたことと思う。


2回表の先頭打者、堂林選手から4回表先頭の秋山選手まで7連続三振と言うのがその効果を物語っている。


それ以降は、長いイニングを投げるためにやや省エネモードに入った感があったが、2番手の石川達也投手に交代する直前、8回表の最後の二人の打者は力を振り絞って連続三振に打ちとってフィニッシュした。


不運なヒットによる失点もあり、8回3失点という結果だったが、この数字以上に素晴らしいピッチングを見せてくれた。


8回、121球、被安打9、奪三振10、与四球2、失点3


120球を超えたので次回の登板までの間隔をどうするか、と言う問題はある。しかし、これも先発ローテーションの再編を睨んで計算ずくのことであるように感じる。


つまり、次回は中6日ではなく、中10日で30日の交流戦初戦(仙台での楽天戦)に現時点で最も安定している東をあてると言う構想があるために、今日の試合ではやや多い球数まで引っ張ったように思えるのだ。


もしそうだとすると、早くも交流戦が楽しみになってくる。



【命名 バルカン砲打線】


バルカン砲と言うのは、多砲身型機関砲と呼ばれるもので、機関銃つまりマシンガンと同様に連続して多くの銃弾を速射できるものだが、マシンガンとの最大の差は、多くの砲身が束になっている点だ。


単銃身型のマシンガンでは、大型の弾丸を連射し続けると銃身が加熱してしまうため、自ずと口径の大きさには制限がある。


この欠点を克服するために、その頃は廃れていた多砲身型、かつてはガトリング砲と言う機関砲を復活させて主に戦闘機に装備したものがバルカン砲だ。



また、前置きが長くなってしまった。


今日のように打線の爆発する試合で、“1998年のマシンガン打線を彷彿とさせるような“と言う表現をスポーツ紙等でよく見かけるのだが、第二次マシンガン打線、と言うのも何となく面白くない。


それに、(未だデータとして比べてはいないが)今回の打線の方が長打率が高く、機関銃と言うよりは機関砲と呼ぶべき重量感もあるように思うのだ。




確かに、今日の試合の6回裏の攻撃では、つなぐ意識の軽打つるべ打ちで一挙8得点を挙げたが、2回の佐野恵太もスリーランと言う大技も混ぜており、中長距離砲が束になっていると言う意味からも、私は”バルカン砲打線“と言う呼称を提案したい。


今日の我がバルカン砲打線は、関根大気と桑原将志がそれぞれ5安打ずつ、佐野が本塁打を含む2安打と押し出し四球で5打点、宮﨑、牧、桑原が2打点など“多砲身”の威力をまざまざと見せつけた。



そして今日、最後の砲身であるタイラー・オースティンが1軍に合流した。


未だファームでも通算30打席弱であり、本来の状態になるまでにはあと20打席程度は必要と考えられるが、ファームで打席数を稼ぐよりも1軍レベルの投手と対峙することの方が有用だ、と言う首脳陣の判断なのだろう。


彼が本格的に稼働するのは、DH制のある交流戦最初のカード楽天戦と言うことになるだろう。


私の予想が正しければ、つまり、30日の交流戦初戦は、東克樹が先発し、DHにオースティンが入ると言う最強の布陣で臨むこととなる。



序盤戦好調のチーム(主にセリーグ)が交流戦から失速し、最終的にBクラスで終わることをこれまでに何度も見てきており、ベイスターズ首脳陣もその懸念を払拭したいと言う考えはあるだろう。


交流戦初戦から最強布陣となるベイスターズには、初の交流戦優勝、そして中盤戦から後半戦にかけて首位を独走するような戦いを期待したい。


いや、きっと出来るはずだ。


それを信じて、これから、もっともっと応援することにしよう。