mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

積極的休養としてのオールスター出場





昨夜オールスター第1戦がバンテリンドームで行われた。


ベイスターズから出場したのは以下の8名で、球団歴代最多とのこと。


(投手)

東克樹、山﨑康晃、今永昇太、トレバー・バウアー


(野手)

牧秀悟、佐野恵太、宮﨑敏郎、関根大気


前半戦最後の3連戦では走塁ミスやエラーが目立ち、打線も停滞しており、疲れが溜まっていることがその原因の一つであったことは間違いないだろう。


オールスターに主力8選手が出場すると言うのは嬉しい反面、こうした現状を考えると心配でもあり、しっかり身体を休めて後半戦に備えて欲しいと言う母親のような気持ちになってくる。


しかし、「疲れ」と言うのは身体的な疲労のことだけではないだろう。


連夜の緊迫したゲームのストレスが重なり、神経が疲れると共にや頭脳の働きが鈍くなっている、と言う状況なのではないかと思う。


そう言う意味では、お祭りとしてのオールスターに出場し、その非日常的な祭典の場を楽しむことがメンタル面でのリフレッシュになると言う効用は十分に考えられる。


選ばれた以上は、むしろそのような意識を持って、日頃はできないような経験を通じて積極的な休養の機会とするのが正解だと思う。


ベイスターズから選出された上記の8選手はそれぞれこのような意味で有意義な時間を過ごしているようだ。



【牧秀悟のホームランダービー出場】


牧秀悟は特注の故郷の長野仕様のバット(県旗と県花の2色に塗ったもの)を使って試合前のホームランダービーに出場し、第1戦ではオリックスバファローズの杉本裕太郎選手と対戦した。


2分間で両者5本ずつスタンドインしたため1分間の延長線となり、そこで2本を追加した牧が勝ち進んだ。


第2戦では西武ライオンズの中村剛也を破った中日ドラゴンズの細川成也と対戦し、ここでも最初の2分間は4本ずつの同点で再び延長線へ。


流石に疲労困憊した牧秀悟は残念ながら敗れ、準決勝敗退ということになったが、トータルのホームラン数は11本と全選手中最多であり、さすがの活躍だった。


昨年までベイスターズに在籍していた細川選手は今季ブレイクを果たしたが、ホームランダービーでも明日の決勝戦に進出することとなり、我々ベイスターズファンもバウアーと一緒に喜んでいる。




【宮﨑敏郎の田中ジャスティス打ち】


田中正義投手は複数球団競合の上ドラフト一位で華々しくソフトバンクに入団したが、その後故障などで活躍する機会もないまま今回の現役ドラフトで日本ハムに移籍した。


そこでクローザーに抜擢され、威力十分のストレートを軸に活躍していることは周知の通り。


その田中投手から途中出場となった宮﨑敏郎がセリーグ唯一の得点となるソロホームランを打って見せたのもオールスターの見どころの一つだった。


田中投手自慢の外角ストレートを振り抜いたスイングはやや振り遅れかと思われたが、「逆方向に引っ張る」という強い打球となり、グングンのびて広いバンテリンドームのライトスタンドに飛び込んだ。



この働きで、宮﨑は敢闘選手賞として表彰され、100万円の賞金も獲得した。


どのホームランも嬉しいに違いないが、この祭典の場で好投手から打ったこのホームランは、下半身の違和感からやや調子を落としていた彼にとってまたとない良いきっかけになったのではないかと思う。


今日の第二戦では彼もホームランダービーに出場予定なので、この勢いのまま勝ち進み、細川成也とのベイスターズゆかりの選手同士の決勝になって欲しい。



【山﨑康晃はナックルボール連投】


前半戦の最後に動転ソロを被弾し、配置転換となった山﨑康晃も祭典の場に相応しい活躍を見せてくれた。


8回に登板して6球を投じたが、その全てがナックルボールだった。


以前にオールスターに出場した際にもナックルボールは投げており、今回もその旨予告していたが、全球ナックルだったこと、そしてVTRで見るその球質がホンモノであることが話題となった。


回転数は200台であり、まさにスローだと縫い目がハッキリと見えるような無回転で、バッターの手元で大きく不規則に変化していた。



日本ハムのマルティネス選手にヒットを打たれはしたが、見事な投球で無失点に抑えた。


このボールを公式戦で常用するのはキャッチャーの問題やバッターの対応が進むことなどで難しいかも知れないが、ナックルがあるかも知れないとバッターに思わせるような見せ球として時折投げるのは試してみる価値がある。


何より、気落ちしていただろう山﨑投手自身の気持ちを明るく盛り上げると言う意味で昨夜のナックルボール連投は非常に良い試みだったと思う。



【神出鬼没のトレバー・バウアー】


YouTubeで面白い動画を作ると言うマニフェストを掲げ、プラスワン投票で歴代最多のさらに一桁上の得票数を獲得して選出されたトレバー・バウアーは公約通り、神出鬼没で様々な所に顔を出していた。


まず、試合前から阪神の大竹投手とカーブの投げ方で意見交換するなど各チームの選手たちと積極的に交流。



ホームランダービーではチームメイトの牧ではなく、自身が2打席連続でホームランを打たれ、凄いバッターだと言っていた細川成也のタオルを掲げて応援する姿がTV画面でも捉えられていた。


続いて、大歓声を受けながらの入場では、ベンチ前に並んだ子供たちと掌を合わせながらグラウンドへ。これも絵になっていた。


さらに、ヘルメットを被ってサードコーチャーズボックスに入る。


残念ながら腕をぐるぐる回してランナーに進塁を指示する姿は見る機会がなかったが、こんな所にもバウアーが居る、と言うだけで話題性は十分だった。



極めつけはテレビ朝日の放送席にゲストとして呼ばれて、松坂さんや古田さんと一緒に解説までしたシーンだ。


ちょうどこのタイミングでみのホームランが出たので、大喜びするバウアーの顔が画面でクローズアップされ、あのボールを右にあれだけ飛ばすなんてシンジラレナイと言ったコメントも出していた。


12球団で被本塁打数が最も多いのが自分であることから、ホームランダービーの投手には彼が最適と言うような自虐ギャグまでかまして視聴者を楽しませてくれた。


ファンは大いに楽しんだし、それ以上に彼自身が初めての日本のオールスターを楽しんだことと思う。




このように、それぞれの選手がそれぞれのやり方で楽しんだこの試合。


冒頭に書いた積極的休養という意味では、オールスター出場は大成功だったのではないだろうか。




古人いわく


“おもしろき   こともなき世を   おもしろく


棲みなすものは   心なりけり”


(高杉晋作辞世の句)