ホームラン3発被弾で4連敗 佐野恵太に復調の芽はあるのか?
7月22日 横浜スタジアム
ベイスターズ 2-4 ジャイアンツ
勝 山﨑伊織 7勝2敗0S
負 伊勢大夢 2勝4敗1S
S 中川皓太 1勝1敗1S
本塁打 大城卓三12号(2回表ソロ)、吉川尚輝5号(5回表ソロ) 秋広優人9号(8回表2ラン)
先発の石田健大は大城選手と吉川選手に浴びた2本のホームランを含む6本のヒットを打たれたが、6回を2失点で切り抜ける粘りの投球を見せた。
大城選手はチェンジアップを掬い上げた大きなホームランだったが、石田-山本バッテリーの配球を読んだ捕手らしい打撃だったように感じた。
吉川選手への真ん中高めのストレートは明らかに失投だったが、それでも1発で仕留めた吉川選手の好調ぶりが際立っていた。
石田投手はあまり調子は良くなさそうだったが、逃げることなくゾーンで勝負し、与四死球0で耐えたことが大きく崩れなかった要因だったと思う。
苦しみながらも試合を作る我慢の投球と勝負どころでの攻めた投球がなんとかできていた。
現状では、今永昇太、トレバー・バウアー、東克樹の三本柱に続く4本目に一番近いところに居るということになるだろう。
先日のファームの試合で、ハマちゃんと大貫晋一が好投を見せていたので、彼らがそれに続くことになるだろうか?
いや、その前に明日の平良拳太郎が控えている。
平良、頑張れ。負けんなよ!
えーと、これだと記事が終わりになってしまう。
あまり気乗りはしないが、試合を決めた失点と打線のことについても少し書いておこう。
8回に登板した伊勢大夢は、やはり昨年の登板過多の影響が出ているのだろうか、どうも本調子とは言えない。
先頭の吉川尚輝はインハイのストレートでレフトフライに打ちとったが、途中出場の梶谷隆幸に初球をセンター前に弾き返された。
左バッターの外角一杯の縦スラだったと思う。やや高かったが、いとも簡単にヒットにされるようなボールではなかった。
梶谷の経験と技術の賜物なのだが、打たれた伊勢は平常心ではいられないと思う。
ジャイアンツベンチは代走増田大輝を送り、すかさず二盗を決める。
タッチした京田陽太がアピールしているようには見えなかったが、ベイスターズベンチがリクエストを要求し、結果は変わらずセーフのまま。
この不要とも思える「間」が伊勢に影響を与えたことはなかったか?
走者に注意していたせいか秋広選手にはカウント3-0となり、次が4番の岡本和真であることを考えると歩かせるわけにはいかない。
一気に難しいシチュエーションになってしまった。
3-1からのストレート。山本裕大は外角低めにミットを構えていたが、逆球となりインハイからシュート回転してやや内側に入るコース。
逆球とは言え、普通であれば決して簡単なボールではないのだが、身長2mの秋広選手にとってはベルト付近の打ちごろの高さになってしまったようだ。
ライナー性の打球がライトフェンス最上部でバウンドするようにスタンドインした。
ベイスターズを引き離す決勝のツーランホームランだった。
打線の方は、天敵になりつつある山﨑伊織投手に今日も苦しめられ、7回でわずか2安打。
しかし、これで2点をとった攻撃は極めて効率的だったとも言える。
3回裏の攻撃では、四球で出塁した山本祐大(チーム初のランナー)を石田がスリーバントで送り、二死二塁から1番に抜擢された梶原昴希が詰まりながらセンター前に運んで1-1の同点に追いついた。山本祐大の走塁も良かったと思う。
そして、吉川尚輝のソロで1-2とリードされた5回裏には、先頭の関根大気が右中間のツーベースで出塁し、続く京田陽太が引っ張って一死三塁とする進塁打。
ここで山本祐大がバットを折りながらボテボテのサードゴロを打ったが、ゴロゴーで突進した関根がキャッチャーのタッチをうまく避けてホームイン。再び2-2の同点に追いついた。
際どいタイミングで一旦はアウト判定だったが、リクエストの結果セーフとなった。
2-4のビハインドで迎えた最終回も先頭の宮﨑敏郎が右翼線を破るシングルヒット(!)で出塁し、チャンスとなったが、続く牧秀悟のヒット性の当たりを吉川尚輝がギリギリ捕球し、しかもアクロバティックな体勢から併殺を完成させた。
このスーパープレイでベイスターズに傾きかけた流れは一気に萎んでしまった。
その後、桑原将志と関根大気がそれぞれポテンヒットと内野安打で粘って二死一、二塁のチャンスを再び作ったが、代打楠本が良い当たりのセカンドゴロに倒れてゲームセット。
ところで、今年の佐野恵太の打撃はどうも物足りないという声をよく耳にする。
入団時の経緯から言っても、元々打撃に特化したタイプの選手で、守備と走塁に関しては我慢の起用になることがある程度盛り込み済みだと思う。
それだけに、打てないと悪目立ちしてしまう。
打撃に関しては非常に高い技術を持った選手なので、首位打者のタイトルもとったことがあるし、昨シーズンも最多安打のタイトルを中日の岡林選手と分け合ったほどの好成績を収めている。
昨年10月に右肘のクリーニング手術を受けた影響もあるのかも知れないが、私は、彼のバッティング自体が研究されて対策を講じられているのではないか、と言う懸念を持っている。
気になっているのは、インコースのボールゾーンから右に曲がってストライクゾーンに入ってくる左投手のスライダーあるいは右投手のシュートやツーシーム、いわゆるフロントドアと呼ばれるボールをのけぞって避けるシーンをよく見かけることだ。
佐野選手のフォームは少なくともNPBでは他には見かけないほどの極端なクローズドスタンスである。通常、打者の背番号はピッチャー側からは見えないものだが、佐野の場合は丸見えになっている。
それほど右肩が中に入る形で構えている彼にとって、身体にぶつかるかと思うようなコースに来るフロントドアは思わず避けずにはいられないボールなのではないだろうか?
とは言え、佐野選手は決してインコースが苦手なわけではない。
昨年だったか、中日の高橋宏斗投手のインコースのストレートをバンテリンドームのライトスタンドに放り込んだように、身体をコマのように回転させてインコースを強く打つ高度な技術を持っている。
しかし、フロントドアは避けてしまう。そして、そのことがバッテリーにハッキリと分かっていることが問題なのではないかと思う。
フロントドアで避けさせておいてから外角で泳がせる、あるいはインハイのボール気味のストレートで詰まらせる、などさまざまな打ちとり方がイメージできてしまう。
ここまで書いて来て急に思い出したのだが、昨年9月のヤクルト戦でエスコバー投手が村上宗隆選手にデッドボールをぶつけた直後、ヤクルトの左腕久保投手が打席に入った佐野選手の身体に当たりそうなボールを連続し場内が騒然としたシーンがあった。
この時、ヤクルトベンチから「当てても良いんだぞ」と言うような怒声が響き、一触即発の状況となって、次の久保投手の投球と同時に佐野がバッターボックスから離れたことがあった。
エスコバー投手の死球で村上選手のバッティングに影響が出た、と言う説は当時しきりに囁かれていたが、ひょっとして佐野恵太のバッティングにも何らかの影響が残ったのだろうか。
いや、それは邪推が過ぎると言うものだろう。
しかし、プロ野球と言う真剣勝負の場は、弱みを見せていても生き残れるほど甘いものではない。
やはり、佐野恵太は、ストライクになるボールを避けないための何らかの対策なしには昨年までのような高いレベルの成績を残すことは難しいのではないだろうか?
インターネットのコメントを見ると、佐野選手を批判するコメントがかなり見られるが、彼自身悩み、必死に打開策を探っているところだと思う。
だから我々ファンもその痛みをほんの少しずつでも引き受けて、文句は言わずに見守ろう。
彼ほどの賢く、そして技術もあるバッターのことだ。
我々ファンは、この試練も乗り越えてくれることを信じて彼を応援し続けよう。
“信頼してこそ 人は尽くしてくれるものだ”
武田信玄
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