バウアーの試合を支配する力と打線のV字回復がもたらした快勝
このブログでも連日書いている通り、横浜頂戦を謳ったベイスターズは先週の阪神戦3連敗と佐野恵太の涙で一旦死んだ。
私は今、勝ち負けよりも、彼らがのびのびと自分らしい野球をできるか、そして、このところやり込められている対戦相手にやり返すことができるか、と言う視点で試合を観ている。
今日の試合は、まさに、ベイスターズの全員がベイスターズらしく戦って勝ち取った価値ある勝利だったと思う。
まず光っていたのは、先発したトレバー・バウアーの試合を支配する力だ。
5月時点では、サイ・ヤング賞投手とはいえ丸一年以上のブランクとNPBの野球に不慣れなことから、過去の実績通りのパフォーマンスを期待することが難しいかと思われたが、それは杞憂に過ぎなかった。
研究熱心な彼は、様々な投手やコーチあるいはバッテリーを組む伊藤光捕手との意見交換を通じて、NPBの主要な打者たちの打撃技術や得意、不得意などを学び、それと同時に彼自身の投球をNPBに合わせて変化させていった。
この適応力が圧倒的な身体能力を持っている訳でもない彼をしてMLBを代表する投手にまで成長させた要因なのだろう。
今になって見ればそれがよく分かる。
日本に来てから習得したスプリットチェンジを活用することは勿論、最速100マイルに迫るフォーシームも鋭く大きく曲がる変化球も低めにコントロールする日本仕様の投球で打者を圧倒するようになった。
当初は盗塁されることの多かったセットポジションも改善し、クイックモーションはかなり速くなった。
今日の試合で見せた投球は、彼のそうした取り組みが実を結んだことをはっきり示すものだったと思う。
今日は特に落差の大きいナックルカーブで面白いように三振が取れ、加えて、左打者の膝下に決まるフォーシームとカットボールが効果的だった。
正直言って打たれる気がしない。
今日のピッチングは、7回、108球、被安打4、奪三振10、与死球1、失点0という内容で、これで実に21イニング連続無失点と言うことになった。
規定投球回数に到達して、防御率は2.75で8位にランクイン。
オールスター以降は24イニングでわずか1失点、防御率0.38でWHIP0.83、被打率 .181と言う素晴らしい数字が並ぶ。おまけに、直近100打席以上、長打を全く許していない。
この成績であれば、試合を作るのはもちろん、試合を支配することができる。
守備の時間は短く、テンポよくアウトが積み重ねられるため、野手陣も集中力をもって守り、そしてリズム良く攻撃に入ることができる。
今日の試合でも、バウアーが初回のドラゴンズの攻撃をわずか5球で三者凡退に打ちとると、その裏、佐野恵太のフォアボール、パスボールによる進塁、そして宮﨑敏郎の技ありのレフトフェンス直撃のシングルヒットであっという間に先制点を挙げた。
宮﨑のタイムリーは、ドラゴンズの先発、鈴木博志投手の2球目、真ん中に入った変化球(チェンジアップだろうか)を手首を返さず引っ張ることでフェアゾーンにギリギリ入れた高い技術の一打だった。
3回にもバウアーが二つの三振を含む三者凡退で抑えると、その裏は先頭のバウアー本人がフォアボールで出塁。その後、宮﨑、牧の連打で1点を追加した。
さらに、4回にはバウアーは2人の走者を許したものの3人を三振に打ちとり、その裏のベイスターズの攻撃に弾みをつけた。
先頭の好調大田泰示はツーベースで出塁すると、伊藤光、京田の連打でまず1点。
京田の打撃は0-2と追い込まれてからドラゴンズの2番手岡野投手の外角低めのフォークボールに体勢を崩しながらバットの先端でチョコンと合わせた粘りの一打。
これが古巣相手の初打点とのこと。おめでとう御座います。
続くバウアーが見事に送りバントを決めて(チャージしていたビシエド選手がボールを握り損ねていなければサードは微妙なタイミングだったかも知れないが)一死二、三塁とし、打線のV字回復の象徴である佐野恵太が落ちるボールにバットを投げ出すように当てて一二塁間を破った。
セカンドランナーも生還し、佐野にとっては一際嬉しい2点タイムリーヒットとなった。
さらに、牧秀悟、ネフタリ・ソトにもタイムリーが出てこの回だけで5点を追加。7-0と大きくリードを拡げた。
ベイスターズ打線はここで止まらず、バウアーが再び3三振を奪った6回のドラゴンズの攻撃の直後、一死から桑原将志がセンターへのツーベースヒットで出塁し、宮﨑が倒れて二死二塁となってから三たび牧秀悟が外角低めの変化球を逆らわずにセンター方向に軽打して8点目が入った。
ベイスターズ 8-0 ドラゴンズ
この瞬間、私は久しぶりに例のあのセリフを呟いてみた。
“助さん、角さん、もういいでしょう”
その時の私は黄門さまのように満面の笑みだったに違いない。
バウアーが7回までで降板した後、8回のマウンドには最近ブルペン内での序列を徐々に上げてきている好調の石川達也が上がり、ヒット一本を許したものの無失点で切り抜けた。
佐野恵太がレフト線ギリギリのところに落ちてきたフライをスライディングキャッチするファインプレーも石川投手を助けた。佐野は急速に立ち直りつつあるようだ。
9回には3番手の入江大生が先頭の石川昴也にツーベースヒットを打たれると、3安打、1四球で2点を失い、一死一、二塁のピンチを残して降板。しかし、急遽登板したエスコバーが後続をしっかりと断ってゲームセット。
ベイスターズ 8-2 ドラゴンズ
勝 トレバー・バウアー 8勝3敗0S
負 鈴木博志 1勝2敗OS
ベイスターズはこれで再生後2連勝。打線のV字回復を確かなものとするためにも、明日勝って3連勝しておきたいところ。
ベイスターズの先発はハマちゃん。今季まだ勝利が無いが、前回登板の広島戦では立ち上がりに2点を失ったもののその後は無失点で6回まで投げ復調の兆しを見せていた。
明日こそは、伝家の宝刀チェンジアップで打者を牛耳る良い時のハマちゃんのピッチングで初勝利を挙げて欲しい。
ドラゴンズの先発は前回7月26日にプロ初勝利をプレゼントした新人右腕の仲地礼亜投手。あの時と比べてベイスターズ打線の状態は上がって来ているので、きっと打ってくれるだろう。
好調の打線をいじることなく、バッテリー以外は今日のままの打線で臨むことになる筈だ。
頑張れベイスターズ。横浜反撃だ!
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