平良拳太郎、牧秀悟、阪口皓亮それぞれの8月12日
東京ドームでのジャイアンツとのカード、2戦目は平良拳太郎と山﨑伊織両先発のマッチアップとなった。
山﨑投手とは今季4回対戦し、0勝3敗と相性が悪い。
ベイスターズ打線は鋭いシュート系のボールとカットボールを得意とする投手にはゴロを量産して押さえ込まれる印象があるが、今日もその通りの展開となってしまった。
5回までパーフェクトに抑えられたが、外野に打球が飛んだのも佐野恵太のレフトフライのみと完全に沈黙させられた。
山﨑投手は7月に4勝を挙げて月間MVPを獲得したが、今月に入って最初の登板、5日の広島戦で2回2/3、4失点でノックアウトされており、その後の1週間でピッチングを修正してきたのだろう。
その成果は十分に現れ、素晴らしいピッチングをされてしまった。
2回表の牧、ソト、大田泰示の三者連続三振を見た時点で、ああ、今日は厳しいな、と言う印象だった。
0-3とリードされて迎えた6回表に先頭の伊藤光がチーム初ヒットで出塁したのだが、続く林琢真はフォークをすくい上げてレフトフライとなり走者を進めることができず、次の京田陽太のポテンヒットで一死一、二塁としたが、佐野、関根がゴロアウトで無得点に終わった。
3点のビハインド、6回と言うことで打たせて行くと言う選択肢しかなかったかと思うが、淡白な攻撃に見えてしまうのは致し方ない。これも社風と言うものだ。
結局、打線は後述する牧秀悟の20号ソロホームランの1点のみ。チーム全体で3安打なので、かろうじて完封は免れたという表現の方が適切かも知れない。
ところで、当方の先発平良拳太郎も4回まではヒット一本のみに抑え、山﨑投手と互角の投げ合いを見せてくれた。丁寧にコースをつく平良らしいピッチングで、ストレートの球威もあったように見えた。
しかし、5回裏、先頭の秋広選手にヒットを打たれると、続く長野選手を警戒しすぎ、低めの変化球がことごとく外れてフォアボールを出してしまった。
ここが潮目だったと思う。
春先の好調期が終わって打ち込まれるようになりファームで調整していた平良拳太郎はイースタンの試合でも打たれ始めると粘れず崩壊する傾向があったが、今日も一死二、三塁でカウント1-1からブリンソンに投じた内角のストレートが真ん中に入ってしまい、レフト線を破る2点タイムリーツーベースを許した。
さらに、梶谷隆幸にもタイムリーを打たれ、この回3点を失って降板した。
やはりトミー・ジョン手術の影響というのはあるのだろうと思う。
同じ手術を受けた東克樹が以前言っていたが、痛いとか球速が出ないとかいう時期は過ぎても、日によって肘の状態が違うので投球が安定しない時期がしばらく続くらしい。
平良投手のピッチングも未だこの時期にあるのだろう。
なに、焦ることはない。東がそうだったように、時間をかけてしっかりと復活してくれればそれで良いのだ。
平良拳太郎が待つだけの価値のある投手であることは皆よく知っている。
その後、上茶谷、エスコバーの継投で6回、7回は無失点で切り抜けたが、8回裏に4番手の石川達也が坂本勇人にツーランホームランを打たれて万事休す。
1-5で敗れ、5連勝はならなかった。
他方、阪神は今日も勝って破竹の9連勝。ゲーム差は拡がるばかりだ。
しかし、このままタイガースが大差でペナントレースを逃げ切るかと言うと、そうとも言えない気がする。
一つには、打線の状態が良いとは言え、いくらなんでも上振れが過ぎるということ。この調子があと40試合続くとは到底思えない。
そして、もっと気になっているのは中継ぎ投手のつぎ込み方だ。
邪推かも知れないが、少し前にカープが10連勝して阪神と1ゲーム差まで迫った時に、岡田監督は予想外の追い上げに不安を感じたのではないだろうか?
オールスターの際に対広島包囲網を敷こうなどと三浦さんや高津監督に言っていたそうだが、冗談だとしてもカープを意識していたのは間違いない。
そして、岡田さんはマラソンで言うところのロングスパートをかけたのではないかと思う。
今週これまでの5試合で登板した投手の数は、8日(6人)、9日(6人)、10日(4人)、11日(6人)、12日(7人)、つまり、のべ29人に上る。
これは本来は9月の戦い方ではないだろうか?
意地の悪い見方かも知れないが、この9連勝の代償は意外と高くつくかも知れない。
しかしまあ、相手チームがこけるのを待つと言うのも情けない話なので、タイガースの中継ぎ陣が疲弊するかどうかなど考える暇があったら、自分たちが勝ち星を積み重ねられるように工夫しよう。
さて、牧秀悟について少し話そう。
一振りで試合の流れを一変させた彼は昨日の逆転勝利の立役者で、東克樹が感極まって泣きながら言っていたように、頼りになる4番打者に育ちつつあると思う。
その牧が今日もホームランを打った。
7回表一死走者なしで、山﨑投手の投じた初球、抜けたスプリットだったと思うが、完璧に捉えてレフトスタンドにまで運んだソロホームラン。
試合の趨勢を変えるものではなかったが、好調の山﨑伊織投手から打ったことに価値がある。山﨑投手の気持ちにも小さな棘のようなものは残ったはずだ。
次回の対戦は恐らく9月の頭。その時こそはチームとして山﨑投手を攻略しなければならない。これ以上「天敵」と呼ばれるピッチャーを増やしては行けない。
牧選手のホームランは今季20本目。新人だった2021年が22本、昨年が24本だったので、これで入団以来三年連続で20本以上のホームランを打ったことになる。
新人年から三年連続で20本以上のホームランを打ったバッターは、長いNPBの歴史の中でも清原和博さんなど5人のみで、球団では牧が初めて、と言う快挙だ。
彼にとってこれは中間目標に過ぎず、これから5年、10年と記録を伸ばして行って欲しいし、牧ならそれができるはずだ。
今日は阪神がヤクルトに延長12回逆転サヨナラ勝ちしたが、ベイスターズからトレードでヤクルト入り(西浦選手との交換トレード)した阪口皓亮投手が9回と10回に回跨ぎで登板した。
3-3の同点の場面で8人の打者と対峙し、ヒット一本、フォアボール一つはあったものの無失点で切り抜け味方の反撃を待った。
ストレートの最速は154 km/hで、カットボールやスプリット等の変化球も鋭く曲がっていて、打たれる気がしなかった。
ネット上では、ドラゴンズに移った細川成也選手の覚醒と大活躍に続いて、また勿体無い若手選手の他球団への移籍の流れを作ってしまった、と言う趣旨のコメントが多く見られた。
しかし、これはやはり、トレードによる環境の変化や移籍先でのコーチ陣との出会い、そして何より、トレードを契機とした本人たちの努力の賜物である筈だ。
彼らの活躍を見て、やっぱりもったいなかったとか言うのはなんだかケチくさい。
ここは一つ、器の大きいところを見せて、彼らの成長と飛躍を祝福しようではないですか。
“武士はくわねど高楊枝”と言う痩せ我慢は一種のダンディズムでもある筈だ。




このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。