mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

今、一番大切なことは2位でシーズンを終えることではない





「7月25日以来勝ち星のない」と言う表現が枕詞の様に定着した感のある今永昇太が恐らく今シーズン最後となる先発マウンドに上がった。


試合途中で脚がつってしまい緊急降板してからどうにも勝ちがつかない。


最初はわずかなズレで直ぐに修正できる思っていたのだが、意図的にやっていることなのか腕の振りがややサイド気味になるなどシーズン前半とはフォームも変わって来ているようだ。


この新しいフォームが熟成されていないせいなのだろうか?


ストレート、変化球ともに制球がかなりアバウトになっており、明らかなボールか真ん中よりに入るストライクかのどちらかに分かれると言うバッターから見て狙いを絞りやすい投球になってしまっている。


今日の初回もこうした傾向が顕著だった。


先頭の塩見選手に打たれたストレートもボールの威力自体はあったため詰まっていたが、コースが甘く外野に運ばれてしまった。


続く2番の濱田選手にはインコースのストレートを思い切り良く引っ張られて三塁線を破るタイムリーツーベースヒット。一死も取れないまま先制を許した。


その後、山田哲人と村上宗隆は打ちとるもサンタナを歩かせて二死一、二塁となり、オスナに逆方向への強い打球を飛ばされてライトフェンス直撃のタイムリーツーベース。


大事な試合の初回に0-2とリードを許す厳しい展開となった。


おまけに今永は初回だけで32球を投げ、球数もかさんでしまった。


その後はやや立ち直り、低めのコースにストレートが決まるようになると変化球も生きてきた。



5回以外は毎回ランナーを出したものの追加点は許さず、6回を投げ切って、104球、被安打7、奪三振4、与四球1、失点2という結果はQSであり合格点と言う評価にはなるのだろうが、エースと言う立ち位置を考えると物足りない。


調子がもう一つの中で大崩れせず2失点で試合を作ったのは流石だが、ベンチのそしてファンの彼に対する期待はもっと高いレベルにある。


そのことは本人が一番感じていることであり、試合途中で自分自身に腹を立てているような表情や仕草も目立った。


これからCSファーストステージまで約2週間あるので、もう一度フォームのバランスを見直して微修正するなどしっかりと準備して欲しい。


素人の印象に過ぎないが、テイクバックが焦り気味で、体重移動とうまく連動できていないように見える。


対するサイスニード投手はこれまでも何度も煮湯を飲まされてきた天敵ーずのメンバーの一人で、今日もなかなか打ち崩すことはできなかった。


ストレートが高めのストライクゾーンの出し入れと言うニューコンセプトであるかのように境界線ギリギリのところに集まっていた。


これを言うと負け惜しみになるが、球審の判定も高めにかなり甘く、かつ判断にややバラツキがあるように感じた。


その結果ベイスターズの打者たちはボール気味の高めのボールにまで手を出さざるを得ず、空振りやポップフライなどの凡打を積み上げてしまった。


サイスニード投手は6回、81球、被安打3、奪三振3、与四球1、失点0と言う内容で投球を終えた。


前回登板(9月21日の中日戦)で6回ツーアウトから9失点したことが本人以上にベンチにとってトラウマとなっていて、早めの交代と言う判断になったのかも知れない。


しかし、この交代はベイスターズにとっては有り難かったのではないか。


7回裏、牧秀悟が2番手として登板した石山投手の外角ギリギリのボールをバットの先端でひっかけてセンター前に打ち返して出塁すると、続く宮﨑敏郎はサードゴロに終わった、かと思われたが、ゲッツーを狙った村上がセカンドへ悪送球しボールがライト方向に転がる間にランナーは進塁して二、三塁となった。


相手のエラーでもらったチャンスで楠本泰史はショートフライに倒れたが、ソトがボテボテのセカンドゴロを打ち、アウトになる間にサードランナーが生還して1ー2と詰め寄った。


宮﨑もサードに進む意識高い系の走塁を見せてくれた。


先日、NPB最遅記録となる自身最初の盗塁を決めるなど、この歳になって脚が速くなったのではないかと思わせる走塁を見せている。多分、本当に一所懸命走っているのでしょうね。


そう言う訳で、尚も二死三塁とチャンスが残った状況で打席に打撃開眼(レーシック)した山本祐大が入り、石山投手の2球目、やや高めのストレートを素直かつコンパクトにセンター返ししてタイムリーヒット。



これで2-2の同点に追いついた。


その後、7回と8回は昨日と同様にCSモードの小刻みな継投を繰り出し、ランナーは出したものの伊勢大夢、上茶谷大河で無失点で切り抜けた。


そして、スワローズがクローザーの田口麗斗をマウンドに送って延長戦も視野に入ってきた9回表、先頭の宮﨑が右におっつけてライト前に運ぶ彼らしいヒットで出塁すると、代走知野直人、楠本送りバントという勝負手を切って一死二塁と一打逆転のチャンスを作った。


ここで打席に入った7番ソトは、ワンボールの後、外角のスライダーをファール、内角ギリギリのストレートを見逃して1-2と追い込まれてからの4球目、ヤクルトバッテリーが勝負をかけたインコース低めのストレートをドンピシャのタイミングですくい上げた。



大きな放物線を描いた飛球は必死にバックするセンターの頭上を超えてバックスクリーンにギリギリ飛び込むツーランホームラン。4-2と逆転に成功した。


9回裏には、昨日に続いてセーブシチュエーションでの起用となるクローザー代理のウェンデルケン投手がスワローズの攻撃を3人で終わらせてゲームセット。


カープもタイガースに勝利したためゲーム差1は変わらないが、負ければ2位の可能性が消滅するという試合で希望をつなぐことができた。



「2位になる希望」と書いたが、実は私自身はそのことをそれほど重要視している訳ではない。


もちろん、横浜スタジアムでCSを行うとなれば、興行収入という意味では大きな意味を持つし、ホームでの声援もチームを後押しすることだろう。


だから、2位になれるのであればなった方が良いに決まっている。


しかし、それが今一番大切なことかと言われると、そうではないように思えるのだ。


今、一番大切なことは、CSを勝ち抜いて日本シリーズに進出し、日本一の座を勝ち取ることのできる強いチームを作ることだ。


そのためには、各選手が自分の役割を理解してそれを果たす、チームメイトを信頼してカバーしあい、チャンスには共鳴し合って大きな力を発揮する状態になることが必要だ。


そう、前回のラグビーワールドカップでONE TEAMと言う短い言葉で非常に鮮明に表現されていたあの状態に至ることが何より大事だと思う。


そして、昨日と今日の逆転勝ちの試合を見ていると、ひいき目ではなく、ベイスターズがONE TEAMの状態になりつつあるように思えるのだ。


これは、選手たちが毎日が決勝戦と言っているように、一足早くCSでの短期決戦モードに入っているせいなのだろう。


従って、今、目指すべきことは、明日の中日戦と4日のジャイアンツ戦、いずれも好投手(髙橋宏斗と恐らく山崎伊織)との対戦となるこの2試合を短期決戦モードで戦い、勝って、ONE TEAMを確立することだと思う。


それでも明日カープが勝てば2位にはなれない。


しかし、それならそれでも良いではないか。


だって、その後のCSでは、“Victory is within us.” つまり、勝ちは我々と共にあると決まっているのだから。