mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

度会選手の一位指名とバウアー残留は別の話なのでしょうね





一昨日のドラフト会議において我がベイスターズはENEOSの度会隆輝選手を一位指名した。


横浜高校出身の21歳で高校時代は主に内野を守っていたが(二塁手)、社会人になってからは右翼手としての出場が多いようだ。


社会人野球に疎い私でも昨年の都市対抗で4本塁打、4割超の打率で橋戸賞、黒獅子賞、打撃賞の三冠に輝きチームを4年ぶりの優勝に導いた活躍には注目していた。


お父上が元ヤクルトの度会博文さんであることも印象に残ったしね。


最近では、CS直前のベイスターズとの練習試合に出場して1安打を放ったことも記憶に新しい。


この時はアウトになった打席でもほとんど芯で捉えた打球で、社会人のレベルの高さを痛感したが、それ以上に度会選手個人の技術の高さが光っていた。


社会人No.1のバッターということで、事前に一位指名を公表していた中日に加えてDeNAとロッテの三球団が競合すると言う人気銘柄になった。


抽選に結果はご承知の通り、くじ運の良い三浦大輔監督が見事に当たりを引き当てて交渉権獲得となった。


本人の嬉し涙を見ても明らかな通り、入団することは確実と思って良いだろう。




ところで、度会選手の一位指名は思わぬ波及効果をもたらした。


今永昇太がポスティングでMLBを目指すと言われており、トレバー・バウアーの去就が不確定、FA権を取得した石田健大の移籍も取り沙汰されている今オフの補強の目玉としては豊作と言われる即戦力投手の一位指名が本命視されていた。


にもかかわらず野手の度会選手を一位指名したという事はバウアー投手の残留にある程度自信が持てる状況になったのではないかと言う深読みをする人々が現れたのだ。


ドラフト会議の最中に「バウアー残留」がSNSのトレンドに上がると言う状況はこのような希望的観測をするベイスターズファンが多かったことを示しているのだろう。


かく言う私も一瞬そうした解釈のもとにぬか喜びをしたうちの一人である。


しかし、ドラフトから2日の間に冷静に考えてみると、どうもこれはやや短絡的な発想であり、度会選手の一位指名とバウアー投手の去就は別の話と見るべきだと思うようになった。


その理由を少し書いてみたいと思う。



【時間スケールがズレている】


ぬか喜びしていた私がフト我に返ったのは、バウアー選手の来年の去就とドラフトの一位指名とでは考えている時間スケールが随分違うのではないかと言う疑問を持った時だった。


トレバー・バウアーや今永昇太が来季もベイスターズに残ってプレイするとしても、それは1、2年のことだろうし、即戦力の投手とは言えそれほど短期間の都合でドラフトの指名選手を決めると言うのもおかしなものだ。


ドラフトで獲得する選手には少なくとも3年、本来は5〜10年と言った期間でチームの戦力を支えてくれることを望むはずだ。


即戦力と評価された先発投手が新人の年から実際に活躍する確率は期待するほど高くはないと言うことも考え合わせる必要がある。


つまり、先発ローテーションの柱となる投手の穴を埋めるのはドラフトではなく、現有勢力の底上げとFAやトレードでの実績ある投手の獲得と言う手段を考えるのが本来あるべき姿だろう。


球団フロントはバウアー選手の残留を最優先に考えてでき得る限りの努力をしてくれていると思うが、その成否が分かるのは早くても米国でウィンターミーティングの行われる12月上旬以降になるだろう。


そして、今永昇太については、MLB挑戦の時期は本人のためにも早い方が良いこと、またポスティングによる収入が得られるのは今年だけであることも考慮して球団としては容認する姿勢を見せている。


この状況下で球団の考えるべきは、まず、東克樹、大貫晋一、平良拳太郎、ハマちゃんと言ったローテーション候補がしっかりとその役目を果たすことのできるような環境を整えること。


今オフの体制変更で、小杉、大原と言う動作解析やデータ分析に長けた両コーチを昇格させたのは正にこの点を狙ってのことと思われる。


東、大貫、平良、ハマちゃんは全員が素晴らしい投球をしてチームを勝たせた実績のある投手達であり、彼らの良い時の投球を高い確率で再現できるようにアシストするのが二人のコーチの役目だ。


FAする投手の獲得は資金面で難しいかとは思うが、オリックスの山崎福也投手の獲得調査を行なっているという報道もあり、あわよくば、という姿勢は示しているようだ。



【若手野手の育成における現状は投手より厳しい】


そして、次世代を担う小園健太、深沢鳳介、森下瑠大が1、2年後にはローテーションの一角を担うことのできるようなキャリアアップを着実に行うことも同じくらい重要になる。


この点については、現在宮﨑で行われているフェニックスリーグで明るいニュースが相次いでいる。


小園健太は26日に行われた韓国選抜との試合でプロ入り後初の完投勝利を無四球で飾った。


被安打7、奪三振7、1失点だが自責は0という内容で、ストレートでファウルや空振りがとれていたこと、コースへの制球が概ねできていた点に成長の跡が見られる。


彼と同期の深沢鳳介は合計12イニングを投げて被安打9、奪三振10、与死球1、自責点1ということで、防御率0.75、WHIP 0.83、奪三振率 7.50とこちらも素晴らしい。


そして今日の阪神との試合では森下瑠大が6回1/3を投げて3失点ながら勝ち投手となった。


四球を続けて失点した点は反省材料だが、井上広大、前川右京と言った怖い打者の並ぶタイガース打線と対峙して何とか抑えたこと、同学年で一足先に一軍デビューした門別投手に投げ勝ったことは朗報だ。


さらに、昨日発表された入来祐作さんの2軍投手コーチ就任も追い風だ。


彼が経験したソフトバンク、オリックスでの投手育成のメソッドや知識は3人の若い投手たちの育成を促進する上で有用なものとなるに違いない。


来年の先発ローテーションの穴を埋めるというのは確かに悩ましいが、ベイスターズの先発投手の育成は上述したように長いタイムスパンで見れば希望が持てるものになりつつある。


そして、これはリリーフにもあてはまると言って良い。


下表は来年開幕時点で30歳以下の主要な投手たちの年齢分布をまとめたものであり、先発、リリーフともに20代中盤でローテーションあるいは一軍のブルペンにほぼ常駐する人材(黄色でハイライトした箇所に相当)が確保できている。



さらに、それよりも若い年齢層にも上述した3人の10代の投手たちや、今シーズン終盤に台頭しつつあった石川達也、宮城滝汰の2投手も揃っている。


今回のドラフトで指名した松本(凌)、石田(裕)の2投手は昨年までに上位で入団した大卒投手と高卒投手の間を埋める位置にあり、彼らが活躍してくれればさらにバランスは良くなるだろう。


一方の野手も同様に年齢分布をまとめてみた。



これまで投手主体のドラフトが多かったこともあり、こちらはあまりバランスが良いとは言えない。


捕手では松尾汐恩がリーグ全体で見てもトッププロスペクトであり、二塁手には牧秀悟がいる。


遊撃手は期待のドラフト一位森敬斗が故障等のため期待したようには育っていないと言う問題はあるものの、林琢真の入団や知野直人のショート再挑戦によってチーム戦力ダウンは避けられそうだ。


問題は何かというと、一つ目はファースト、サードで、小深田大地の伸び悩みのために目算が外れたというのが、正直な感想だ。


5年後には宮﨑敏郎は39歳、佐野恵太をファーストにコンバートした場合、彼が33歳とベテランの域に入りつつある年頃だ。


いや、宮﨑選手の休養日の打線の圧力低下を見れば、この問題は将来ではなく既にもう顕在化していると言って良いだろう。


二つ目の問題は外野手。こちらも厳しい。


昨年まで順調に見えた楠本泰史、蝦名達夫の二人が打率1割代に低迷したことによって、関根大気以降の世代で主軸と呼べる外野手が欠けているように見える。


そもそも、今季は佐野恵太が不調だったこと、タイラー・オースティンが外野手として出場した試合は結局なかったこと、年によって成績が上下する桑原将志の成績が低め安定だったこと、前半ブレイクした関根大気が後半失速したこと、などで今季のベイスターズ外野陣の打撃成績は12球団でビリから2番目と言う惨状だった。


このまま5年後を迎えたらどうなるのか?


度会選手は長打力も脚もある外野手であり、トップバッターの有力候補となる。


さらに、高校時代は内野手であり、前出の練習試合でベイスターズからサードを守って見せて欲しいと言うリクエストを出していたことからも、宮﨑の後継という可能性も含まれている。


こうして整理してみると、度会選手の獲得は5年後のチーム状況を考えればベストの一手だったと思えてくる。


冒頭に書いた通り、度会選手の一位指名とバウアー投手の去就は別の話なのだろう。



しかし、注意して欲しい。


私はトレバー・バウアーが居なくなるとは言っていない。


彼のプレースタイル、いやYouTuberとしての活躍まで含めた彼のライフスタイルはベイスターズでこそ一番輝く。


彼自身そのことがよく分かっているし、彼が最も重視するのはその点なのだ。


Looking forward to seeing you again soon at the stadium!


Till then, enjoy whatever you do, Trevor.