松尾汐恩と勝又温史の輝く日々
ベイスターズにとってオープン戦初戦となる今日の試合はビジターでのファイターズ戦だった。
ファイターズの先発投手はFAで獲得を試みた山崎福也選手で、緩急と制球に長けた大人の投球術を見せつけられた。
2回をパーフェクトに抑えられ、逃した魚の大きさを実感することとなったが、まあこれも何かの縁なのでベイスターズとの対戦以外では活躍を期待しようと思う。
ファイターズの打線は1番に新外国人のスティーブンソン選手、2番に首位打者の経験がある松本選手、3番には中日から移籍した好打者のマルティネス選手、そして4番にこれもベイスターズが獲得に向けて調査を行なっていたというレイエス選手を並べた強力な布陣。
ベイスターズ先発の大貫晋一は一死から松本選手に巧く三遊間を破られたが、続くマルティネスとレイエスを連続三振に打ちとり無失点で切り抜けた。
大貫は2回を三者凡退で簡単に済ませ、順調な調整ぶりを感じさせた。
スプリットが適正な高さにコントロールされており、スライダー、ストレート、ツーシームを織り交ぜてピッチトンネルを構築する彼らしい投球の片鱗は見せてくれたと思う。
ツーシームの握りを指一本分深くして変化量を増した新球を試したとのことで、そのせいか右打者のインコース(左打者のアウトコース)を狙ったボールがややはっきりとボールゾーンに流れて行っており、各打者に見送られていた。
制球に優れた彼のことなので、開幕までにはしっかりと調整してくれることだろう。
あの曲がりでストライクゾーンから逸れていくコースにコントロールできればかなり有効なボールになるのではないだろうか。
2番手のアンドレ・ジャクソン投手は代わりばなに伏見選手に死球をぶつけてしまうなどコントロールに苦しんでいるように見えた。
その後、スティーブンソン選手にツーベースヒットを許し、マルティネス選手を歩かせて二死満塁のピンチを迎えたが、レイエス選手を3-1からショートゴロに打ちとりなんとか切り抜けた。
次の回のピッチングはやや安定して5番からの打順を三者凡退。
まだ調整途上なので、彼の実力の程は半ばベールに包まれていると感じた。引き続き注視して行きたい。
3番手のローワン・ウィック投手は球威、制球ともにもう一つで、ツーベース2本、単打と四球などで5回だけで3点を失った。
先頭の伏見選手に何となく投げたストレートをフェンス直撃の長打にされてから立ち直ることができずに連打を浴びてしまったという印象。
ウィック投手は17日の中日戦ではヒット一本を許したものの無失点で抑えており、ストレートの球威はこの時の方が優っていたように思う。
私は彼のショートアームのフォームは理にかなっていると思うし、調整が進めばもっとしっかりした投球を見せてくれると楽観的に捉えている。
次の登板機会までに彼がどれだけ修正できるのか、こちらも注目してみたい。
と言うわけで0-3とリードを許したものの、続く6回表の攻撃で先頭の柴田竜拓が死球で出塁した後、期待の石上泰輝がライト前にクリーンヒット。
ここで柴田がサードまで進んだ走塁は評価できるし、その後の石上泰輝の二盗も良かった。
代打で出た戸柱恭孝のファーストゴロの間にまず1点。
さらに、7回表には先頭の松尾汐恩がファイターズの4番手福田投手の初球をレフトスタンドに運ぶソロホームランで2-3と1点差に追い上げる。
松尾選手は甘いボールが来たら初球から思い切り行ってやろうと思っていたそうで、この2年間は公式戦でホームランを打たれておらず昨シーズンは23登板で防御率0.00の福田投手から打った1発は自信になったことだろう。
昨日のブログでも書いたが、今シーズンの松尾捕手の活躍はますます期待されることとなり、同時に捕手としての育成と打者としての起用をどうやって両立させるのか、首脳陣の宿題はさらに難しいものになりつつある。
今日の試合でも先日の練習試合に続いて二盗を刺す場面があり、また、キャッチング技術も入団当初に比べると格段に向上しているように見える。
オープン戦を通じて今の調子を保てるのであれば、そのまま1軍の第二捕手として抜擢するべきではないだろうか。
私は彼がスター選手への階段を昇っていくことをほぼ確信しつつある。あとはタイミングの問題だけだ。
さて、ベイスターズの4番手は右アンダースローの中川颯投手。
彼が6回からの4イニングを2安打無失点でしっかりと抑えてくれた。
捉えられたように見えた打球もいくつかあったが、微妙にタイミングやコースをずらしているのだろう。結果的に野手の守備範囲で収まっていた。
彼はもともと所謂フライボール投手であり、アンダースロー特有の浮き上がるボールで外野フライに打ちとるタイプなので、狭い横浜スタジアムとの相性が懸念されるが、両翼のウィング席が設置されてから風の流れが変わったことが彼にとっては幸いするように思う。
中川投手がオープン戦でこのまま順調に登板を重ね、一方で新外国人投手の調整が少し遅れる状況だと、彼が開幕時の先発ローテーションの一角を占める可能性も出てきている。
中川投手が無失点で踏ん張ってくれ甲斐があり、最終回の攻撃で先頭の京田陽太が死球で出塁すると、代走西巻の二盗成功と悪送球で無死三塁となり、その後、勝又温史の左中間を破るタイムリーツーベースで同点においついた。
オープン戦の勝敗は二の次とはいえ、やはり負けない方が良いに決まっている。
スタメンの予定だった桑原将志の腰痛の影響で急遽出場機会を得て、殊勲の同点打を含む2本のツーベースを放った勝又選手の試合後のコメント。
“自分みたいな年齢の選手はチャンスが少ないので後悔のないようにやる。それだけだった”
このハングリー精神が良いではないですか。
三浦監督も、勝又は身体を壊すのではないかと心配するくらい練習している、と語っており、我々ファンとしては尚更応援したい。
松尾汐恩と勝又温史。
この二人のこれからの活躍が白昼夢のように頭の中に去来した今日の試合だった。
野球以外のものには目もくれず、どこまでも真っ直ぐに育って行って欲しい。
君達ならそれが必ずできる。
おじさんはそう信じているよ。





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