そろそろ真剣にDHについて考える必要がある
MLBでは従来から指名打者(DH)制をとっていたアメリカンリーグに加えて、今シーズンからナショナルリーグでも導入することが検討されている。
ところで、DHというのはdesignated hitterの略で、designatedというのは、本来、あることに特化してつとめるという意味合いのものだ。例えば、グループで飲食をする場合に、一人はアルコールを摂らず運転手役に徹する場合、この人のことをdesignated driverと言う。
そう言う意味では、DHを指名打者と訳すのはやや違和感がある。守備をせず打撃だけを行う選手と言う意味なので、専任打者などの方が原文の意味に近いのではないかと思う。
まあ、実は、そのことはどうでも良いんです。
最近のニュースによると、選手会との新労使協定で合意に至り、ロックアウトが明けた際にはナ・リーグにも恒久的にDH制が導入される可能性が濃厚となっているとのことだ。
これを受けて、ナ・リーグの各チームで指名打者をどうするかという論議がマスメディアで行われているようで、ちなみにピッツバーグ・パイレーツでは元ベイスターズの筒香嘉智選手が最有力と言う意見が見られる。
もちろん、オリンピックやWBCなどの国際舞台でも既にDH制は適用されていて、こうした傾向はユニバーサルDH制への移行などと言われている。間もなく、DH制をしいていないのは日本のセリーグと高校野球だけと言う状況になるだろう。
セリーグでは巨人がDH制の導入を何度か提案しているが、他チームの反対にあって未だ実現していない。個人的には、巨人が提案すると、資金力にまかせて守備はからっきしだが打つ方はとんでもない元メジャーリーガーなどを獲得するのではと言う警戒感が働いているのではないかと思う。
気にしすぎと思う反面、過去の歴史をひもといてみると、素直に賛成できないチームがあることも理解できる。
しかし、国際的な動向に逆らうことはできない。早ければ2023年シーズンからセリーグでもDH制が採用される可能性が高いと思う。
今シーズンも、勿論、パリーグのチームが主催する交流戦ではDH制を使うことになるし、我がベイスターズの出場がほぼ確定している日本シリーズ(言い続けていると本当になる、と言う説を実践中)でも同様に半分はDH制ありの試合と言うことになる。
という事で、そろそろ我がベイスターズでもDHありの試合でのスタメンをどうするかということを真剣に考える必要がある。
ベイスターズの場合、DHにピッタリの選手が何人かいる。佐野恵太、ネフタリ・ソト、タイラー・オースティンと言ったところだ。こうして見ると、ベイスターズはDH制の恩恵を受けるチームであるように思える。
しかし、本当に大事なのは、誰をDHにするかではない。上に挙げた3人はレギュラーなので、どちらにしても打席に立つのだ。
肝心なのは、彼らのうちDHになる人の代わりに守備につき、投手の代わりに打撃を行う選手(以下、簡単のためDH時レギュラーと呼ぶ)を誰にするかと言うことだ。
つまり、DH向きの選手が日頃からレギュラーで出ているベイスターズの場合、DHありの試合での直接的な戦力アップは、
チーム全体としての直接的な戦力アップ =
(DH時レギュラーの守備力) – (DHとなる通常のレギュラーの守備力)
+(DH時レギュラーの攻撃力) – (投手の攻撃力)
という事になる。これに加えて、DH役の選手の疲労軽減や投手交代のタイミングに制約が少なくなると言った間接的な効果もあるが、簡単のためここでは省略する。
上の式で「チーム全体としての直接的な戦力アップ」を最大化するには、走攻守と三拍子そろった選手が望ましいと言うことになる。
そして、ポジションは外野またはファーストだが、ソト選手のファースト守備はさほど悪くなく(DH時レギュラーの守備力) – (DHとなる通常のレギュラーの守備)が大きくプラスになるような候補は見当たらない。
ソト選手がDHになる場合には、佐野選手かオースティン選手を一塁に回して外野手をDH時レギュラーにした方が良い。しかし、それならそもそも佐野選手かオースティン選手をDHにした方がシンプルだ。
(DH時レギュラーの守備力) – (DHとなる通常のレギュラーの守備)を大きくするためには、(DHとなる通常のレギュラーの守備)が低ければ低いほど差分を稼げる。佐野選手には申し訳ないが、UZRが-15で守備力がリーグ平均より大きく劣っている彼をDHにするのが良いだろう。
そこで、外野手に絞って見ると、右打者では大田、蛯名、細川、左の神里、楠本、関根と言ったところが候補になる。
ベイスターズの場合、彼らの中で代打や代走の要員もまかなう必要があることを考えると、守備力がやや劣るが昨シーズン代打として活躍した楠本選手は左の代打枠にとっておきたい。
また、蛯名選手は2軍では好打者ぶりを発揮して活躍したものの1軍では未だ成果を挙げていないことから、まずは右の代打として経験を積み首脳陣の信頼を勝ち取る必要があるだろう。
関根選手の打撃力はDH時レギュラーとしては少し物足りないように感じる。
彼も2軍では打撃絶好調のことがあったので1軍での打撃開眼という可能性はあり、そうなるといいなとは思うものの、現状では代走と守備固めと言う役割が適しているだろう。
実績から言うと、有力な候補となるのは大田選手と神里選手だろう。しかし、二人とも昨シーズンはそれぞれプロ入り以来最大級の不調だったので、復調できるかどうかにかかっているものと思う。
そしてもう一人は未完の大砲と言われて久しい細川選手だ。
彼のパワーは魅力的だが、素人が見ても肩に力が入りすぎていて、バッティングが固い。本人も言っているように昨シーズンは始動に変なアクセントがあって、成長と言うより前年よりも後退した印象だ。
一縷の希望は、オースティン選手が声をかけて彼をアメリカに招き一緒にトレーニングを行い、細川選手ははじめての打撃ドリルを色々と試して学ぶことが多かったと言う点だ。そして、鈴木尚典コーチと石井琢朗コーチの指導にも期待ができる。
という事で、私の見立てでは、DH時レギュラーの序列は次のようになる。
大田 = 神里 > 細川
昨日、ソト選手が復調した場合の打順を提案したが、DHありの場合は、これを次のようにするというのが私からの提案だ。
① 桑原(CF)
② 牧(2B)
③ オースティン(RF)
④ ソト(1B)
⑤ 佐野(DH)
⑥ 宮﨑(3B)
⑦ 大田ときどき神里ところにより細川 (LF)
⑧ 伊藤光(C)
⑨ 森(SS)
交流戦とベイスターズの出場がほぼ確定している日本シリーズのパリーグ主催試合はこの打線でいかがでしょうか?
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