mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

筒香嘉智のしあわせの青い鳥




昨日のブログでMLBを目指した筒香嘉智の冒険の終わりは横浜スタジアムへの帰還だと書いた。


記事を書きながら、早く1軍に上げすぎたのではないかという心配と背番号25の勇姿を久しぶりに見ることについてのワクワクするような期待の両方を私は感じていた。


そして、筒香選手はそんな心配を吹き飛ばすような活躍で我々の期待に応えてくれた。


筒香が横浜を去った2019年オフ以降にベイスターズの試合を見始めたファンの方もかなり多いだろうと思うが、彼はそうした新しいファンに対しても、彼が何者であるかをたった1試合で鮮明に印象付けた。



ベイスターズの先発はアンドレ・ジャクソン、強くて速いストレートと落差の大きいナックルカーブなどボール自体はかなり良いのだが、このところ制球難に苦しむことが多い。


今日も初回は先頭の西川選手をナックルカーブで空振り三振に打ちとるなど三者凡退に抑えたが、2回にはフォアボール四つで押し出しという情けない形でスワローズに先制を許した。


その裏、ベイスターズは宮﨑のツーベース、筒香の四球の後、伊藤光のレフトフェンス直撃のツーベースと京田陽太の犠牲フライで2点を挙げ、2-1と逆転したが、このリードをジャクソンが守れない。


3回にはこれまた四球の走者を置いてサンタナ選手に外角高めのカットボールをバックスクリーンまで運ばれて2-3と逆転された。


その後、4回と5回はフォアボールの走者1人で切り抜けたが、先発として試合を作ったとは言い難い。


5回、88球、被安打1(ヒットはサンタナのホームランだけ)、奪三振3、与四球6、失点3という結果は不本意だと思うが、この数字ほどには悪くなかった印象がある。


今日の球審はストライクゾーンが狭く、厳しいコースをついたナイスボール(個人の感想です)がことごとくボールと判定される不運もあった。


荒れ球ではあるが、全くコントロールできていないという状態でもない。


球威は十分なので、まだまだ諦めるのは早いと思う。


このまま1軍に帯同して来週のジャイアンツ戦に先発するか、一旦ファームに下げて再調整するかをこれから三浦さんや大原コーチらが判断することになるだろう。


その後も試合はスワローズのペースで進み、7回には村上選手、8回には塩見選手のタイムリーでそれぞれ1点ずつ加点されて2-5とリードを広げられた。


7回の失点は6回から回跨ぎの徳山壮磨が残した走者を石川達也が打たれて返してしまったものだが、メンタル面を心配していた徳山投手はしっかりと球質の良い150キロオーバーのストレートを投げ込んでいた。


ピッチャーゴロからゲッツーが取れたはずのところでセカンドへの送球がブレた点は反省する必要があるが、引き続き大事な場面を任されるだけの力を持っていると思う。



8回裏で2-5という点差は敗色濃厚というところだが、ベイスターズの選手たちは勿論あきらめていなかった。


三浦監督も言っていたが、ベンチでの筒香の存在感と彼の無言のリーダーシップの効果もあったかも知れない。


マウンド上には回跨ぎの4番手エスパーダ投手。


一死から蝦名達夫が左中間を破るツーベースで出塁すると、続く佐野恵太がインハイのストレートを巻き込むようにして引っ張りライト前ヒット。


これで蝦名がホームまで走って3-5と点差を縮めた。


その後、牧秀悟は三振に倒れたが、宮﨑は粘って四球で出塁。


二死一、二塁で打席には筒香嘉智。


ルーズベルトゲームや下剋上球児などの野球ドラマで見るような出来すぎの場面設定だと思った。


しかし、プロ野球というのは、こうしたドラマの脚本家たちがあまりにベタすぎると言って敬遠するような劇的な展開を時折見せるものでもある。


エスパーダ投手が筒香に投じた初球は真ん中やや低め、149km/hのストレート。


誰かが筒香の耳元でそのコースと球速を呟いたかのように、彼のスイングはその一点めがけて収束し、ドンピシャのタイミングで真芯で捉えた。



これだ。これが筒香のホームランだ。


打った瞬間に、一塁側内野席からライトスタンドまで観客全員が思わず立ち上がるような素晴らしい打球が吹っ飛んで行く。


ああ、逆転のスリーランだ。


神様、有り難う。


6-5と再逆転したベイスターズは最終回に森原康平をマウンドに送りそのまま逃げ切った。


勝ち投手はこれもまた久しぶりの三嶋一輝。



森原のセーブは今季7つ目。


お立ち台には勿論、筒香嘉智。



2017年頃のワクワクするベイスターズの野球が戻ってきたようだ。


これもつい最近このブログで書いたことだが、筒香嘉智は我々ファンにとってタイムカプセルのような役割を担っているように感じる。


そして、彼自身ダイヤモンドを一周する間は特別な時間だったと言っていた。




5年前、MLBという最高の舞台で自らの力を試そうとした筒香嘉智の旅は彼の国で幾つかの球団を渡り歩くものとなり、マイナーリーグや独立リーグなど過酷な環境でプレイした時期もあった。


それは当初彼が思い描いていたようには行かなかったかも知れない。


しかし、その道程は筒香嘉智という野球人のあるべき姿を見つけ出すために必要なプロセスだったように思われる。


彼は5年前よりもっと筒香らしくなって横浜に帰ってきた。


そして、5年ぶりに立った横浜スタジアムのお立ち台は、彼にとっての幸せがMLBでの成功だけではないことを教えてくれたのではないだろうか?



しあわせの青い鳥を さがして、筒香嘉智は いろんな国をたずね歩きました。


でも、どこにも 青い鳥は いませんでした。


そして、やっと 気づいたのです。


しあわせの青い鳥は、ずーっと前からハマスタにいたんだ…と。