mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

筒香嘉智は出発点に帰り、再び「野球」を学ぶ





子供の日の今日、カープとの3連戦の最後の試合に勝利して久々の2カード連続勝ち越しを決めた。


ベイスターズの先発、大貫晋一は好調時に比べてストレートのスピードとキレがもう一つだったように見えたが、ずらりと左打者を並べたカープ打線に対して多彩な球種で的を絞らせなかった。


今季初めて山本祐大とバッテリーを組んだ訳だが、新しい配球でカープの対策の裏をかくことが出来たようだ。


特に、左打者の外角からストライクゾーンに入ってくるバックドアのスライダーとカーブが効果的だったように思う。


打者としてはこの二つの球種が気になって、ストレートとスプリットに対応できないことが多かったのではないだろうか。


大貫は7回を92球で投げきり、被安打3、奪三振5、与四球2、無失点という堂々のHQSで今季2勝目を挙げた。



8回は中川虎大がマウンドに上がり、ヒットとショートのエラーで2人の走者を背負ったが、力のあるストレートとフォークボールのコンビネーションで内野ゴロ三つ(エラーまで含めると実は四つ)を重ねてことなきを得た。


秋山選手に打たれたヒットは4球続けたフォークボールを体勢を崩しながらセンターに運ばれたもので、このところ何度か見かける山本祐大の同じ球種の連投策が裏目に出た。


そして9回は4月30日以来登板のなかった山﨑康晃が調整を含めて登板し、好調の代打宇草選手から始まる打順を三者凡退に抑えた。


スピードガンではストレートが140キロ台半ばという表示にとどまっており、そのせいかスプリットを軸にした投球だった。


リリーバーは結果が全てなので、これはこれで良しとしよう。


なんと言っても3人で完封リレーを成し遂げた訳でもあるし。


打線の方は、カープの先発九里亜蓮投手に3回までパーフェクトに抑えられていたが、4回先頭の桑原将志がセンターへのヒットで出塁すると、エンドランを仕掛けて蝦名のサードゴロの間に桑原はセカンドに進む。


そして、続く佐野恵太に待望の今シーズン第一号ツーランが飛び出して2-0と先制した。



6回にはショートへの内野安打で出塁した蝦名をファーストに置いて、4番牧秀悟がフルカウントからレフスタンドへのツーランホームランを放ち突き放した。


この2点が非常に有効な中押しとなり、大貫-山本バッテリーに余裕が生まれた。


冒頭に書いたカーブやバックドアの活用もこうした余裕があってのことなのだろう。


この飛球は上がり過ぎたように見えたのだが、上空の風のせいかグングン伸びて、レフトスタンドの二階席に届く大きなホームランとなった。


牧選手はこれで三年連続でこどもの日にホームランを打っているとのこと。


そして、この一打で球団最速の500安打も達成した。



今日のベイスターズ打線は得点力不足と言われていたのが嘘のように良い流れでつながった。


7回にも四球で出塁した桑原将志を佐野恵太が左中間を深々と破るツーベースヒットで還すタイムリー。


これで5-0とリードを広げ、勝利をほぼ確実なものとした。


チーム全体のヒットは12本。


ホームラン2本にツーベース2本と長打も出ており、理想的な展開だったと言えるだろう。


そして、4月30日以来試合から遠ざかっていた度会隆輝が6番ライトで先発出場し、今季4度目となる猛打賞を記録したことも明るい材料だ。


苦手としていた左腕の森浦投手からもヒットを打っており、試合後に本人も語っていた通り、右に対しても左に対しても、そして速球でも変化球でも自分のバッティングで打ち返すことが出来ていた。


この試合が壁を越えるきっかけになってくれることを期待したい。




広島でのデイゲームを終えたチームは横浜に移動し、明日は横浜スタジアムでヤクルトとのナイトゲームが予定されている。


そして、何と言っても最大の注目は筒香嘉智の1軍合流である。


ファームの試合では久しぶりの日本の投手たちに対してなかなかタイミング合わず、苦戦していたようだが、本人とファームの打撃コーチたちの判断として1軍合流にゴーサインが出た。


連休中に筒香を1軍で出場させるという興行面での判断だけではなく、技術的に大丈夫という確認がとれていることを願っている。


ナウシカの巨神兵ではないが、早過ぎる起用は無理を生じるものだ。



とは言ってみたものの、やはりファンとしては5年ぶりに背番号25の勇姿をハマスタで見られることに興奮している。


筒香はアメリカで何を得たのだろうか?


そして、彼自身の原点である横浜の地で再びNPBの野球で真剣勝負をする彼は何を考えているのだろうか?


あらゆる旅で最も難しいのは家に帰る時だ、とも言われる。


しばらくぶりに見るハマスタの風景は以前と何も変わっていないように見える一方、そこでの野球は全く違ったものに感じられるかも知れない。


しかし、真面目で誠実な筒香選手は、明日から日本の野球をもう一度勉強するという謙虚な気持ちで取り組んでくれるような気がしてならない。


もしそうであれば、きっと彼はもう一度大きな華を咲かせてくれるに違いない。


Go! Go! ツツゴー!


私はあなたの野球に対する愛と情熱を信じている。





“すべての冒険の最後に待っているのは


出発した場所に戻ることだ


そしてその場所をはじめて知ることになるのだ”


T.S.エリオット