mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

牧秀悟の復帰と伊藤裕季也の意地





コロナ陽性となりキャンプ参加が遅れていた牧秀悟選手は2月6日から嘉手納で調整を行っていたが、今日、とうとう2軍の練習試合(沖縄電力戦)で実戦復帰を果たした。


1軍のキャンプ地である宜野湾のメイングラウンドで行われた試合に先立ち、ソト、オースティン、宮崎と共にバッティング練習を行なった。


試合を観に来ていた名捕手・名コーチで現在は野球評論家の田村藤夫さんは、日刊スポーツの記事でこの四人の打撃練習が壮観で、牧選手も含めた全員の好調ぶりを書いていたが、その一方で、ベイスターズのファームの選手たちに注文もつけていた。


この時間帯にベンチにいてバッティング練習をじっと観ていたのは小深田選手だけ。これだけの好打者がバッティング練習をするところ間近に見ることができる機会なのに何故ベンチで見ようとしないのだろう、というのが田村さんの素直な疑問だったようだ。


ちょうど試合前のランチタイムだったようで、時間がないのはわかるが、純粋な好奇心として近くでバッティング練習を見たいそして自分の参考にしたいという気持ちは必要だというのが田村さんの意見だ。


さて、試合の方はベイスターズの先発が有吉投手。ご存知の通り、昨シーズン途中に国吉投手とのトレードで入団したが、不運な怪我もあり結果を出したとは言い難い。


有吉投手は一回表に先頭打者にホームランを打たれ、次の打者はうちとったが、続く3番バッターにはセンターオーバーのソロホームランを喫した。早くも2失点。


その後は立ち直り、3回を投げてソロホームラン2本の2失点だったが、アマチュア相手にホームラン2本というのは印象が良くない。そして、もともと球威で押すタイプではないのだが、今日は2本のホームラン以外にも芯で捉えられるシーンも何度かあった。


その後、0-2で迎えた2回裏の先頭打者は4番セカンドに入った牧選手。0-2と追い込まれたが、外角の変化球を彼らしい右狙いの好打でライト前にはじき返した。


そして、続く田部選手の打席で盗塁まで決めて見せた。本人も体調は万全と言っていたが、その言葉通りの動きに見えた。


田部選手は体を開いて三塁線に引っ張り、牧選手が二塁から帰って1-2と差を詰めた(レフトが打球を逸らしていたので田部選手はワンヒットワンエラー、つまり記録上はツーベースだろう)。


牧選手の第二打席はやはり追い込まれてから遅い変化球(カーブ?)を待って、しっかりためてからセンターに打ち返したがフェンスの2~3メートル手前のセンターフライだった。これも彼らしい打撃で、全く問題ないように見えた。


試合後には、三浦監督も牧選手が明日から一軍に昇格することを明言しており、彼はこのまま嘉手納には戻らずに宜野湾に留まることになった。


もう一つ目についたのは、牧選手の守備だ。
オフの大和選手との合同自主トレの成果だろうか?体のこなしやグラブさばきが昨シーズンよりも滑らかで無駄がないように見えたのだ。


何事も飲み込みが早く対応力のある彼がこのオフの課題として守備に取り組んでいたので、目に見える進化があってもおかしくないのだが、それにしても素晴らしい資質を持った選手だと改めて感じた。




伊藤裕季也選手は4年時に立正大学の主将として東都大学の秋季リーグ優勝と神宮大会での優勝を成し遂げ、2018年ドラフト2位(同じ年のドラフト1位は上茶谷投手)でベイスターズに入団した。


新人の2019年には、横浜スタジアムでの中日戦(8月10日)に5番セカンドで初めてスタメン出場し、2打席連続ホームランを放って存在感を見せつけた。
私はたまたまこの試合を現地で見ていたが、彼のコンパクトな強振を見て、西武ライオンズの人みたいだと思ったことを覚えている。


その年は21試合に出場して本塁打4本、OPS.929とその後の活躍を期待させるものだった。


しかし、翌2020年は春先から調子が上がらず、1軍での出場は5試合にとどまり、2軍での成績も前年を下回る(本塁打数は前年の14本から7本に半減)など完全に伸び悩んだ印象となってしまった。


そして、2021年シーズンでは、右打ちで好打/強打のセカンドという意味ではタイプが重複する牧秀悟選手がドラフト2位で入団し、あっという間にスターダムにのし上がったのに対して、伊藤選手ははじめて1軍でのヒットなしというかなり危機的な状況に陥った。


その伊藤選手が今年は少し違うかな、と思わせる動きを見せている。


先日の1軍の練習試合でセンター前に抜けるヒットを放っていたのに続いて、今日の打席でも最終打席直前までヒットはなかったものの上手いバッティングを見せる打席や、強いあたりも見せていた。


そして、2-2の同点で迎えた9回裏二死ランナーなしで伊藤選手の放った打球は左中間のフェンスを超えサヨナラホームランとなった(練習試合の申し合わせでサヨナラでもスリーアウトまで試合は続行されたが)。


牧選手の思い切りの良い鋭いスイングとはタイプが違うのだが、2019年に我々ファンが皆ロマンを感じたスケールの大きな伊藤選手の魅力を十分に感じさせてくれる打撃だった。


牧選手のような若手が何人も生えてくるような魔法の畑があるわけではないと知っているので、あれほどの大活躍を今年は伊藤選手が見せてくれるという夢を持つのは難しい。


しかし、数年前の佐野選手がそうだったように、代打の切り札としての一軍定着から徐々に頭角を現すというのは不可能ではない。


私は2019年8月10日に見た彼の2打席連続ホームランを忘れることはできないし、あんなことはまぐれでできるようなものではないということを信じてもいる。


もう一度、伊藤選手が野球バカになって、狂ったように練習しあの夢の続きを見せてくれることを心から祈っている。





明日も宜野湾で練習試合が組まれている。13時からのカープ戦だ。


スタメンは以下の通り。


1. 桑原(CF)
2. 大田(LF)
3. 梶原(RF)
4. ソト(DH)
5. 益子(C)
6. 大和(SS)
7. 倉本(2B)
8. 柴田(3B)
9. 知野(1B)


投手 濱口(3回)→石川(2回)→伊勢、三上、砂田、池谷


見どころ① 知野選手と梶原選手の好調継続


この二人は昨日の練習試合で猛打賞のアピールに成功した。このままオープン戦出場を勝ち取るような活躍を続けることができるか?


見どころ② 益子選手の先発マスク


先日のブログでも書いたが、今年の期待の若手捕手の枠として山本選手と並ぶあるいは上回るような出場機会を得る可能性があると思う。それを裏付けるようなプレーを見せることができるか?


見どころ③ 大和選手の復帰


これまでショートは森選手で固定していたが、初めてベテランの復帰に合わせてスタメン出場となった。森選手の壁となるような動きを見せることができるか?




見どころ④ ソト選手の調整ぶり


昨年最下位に終わったチームなので悔しい想いをした選手は多いが、その中でもソト選手は心に期するものがあると思う。米国のバッティングコンサルティングを受けた後の最初の対外試合で早くも成果を見せつけることができるか?


見どころ⑤ 大田選手の立て直し


大田選手は最初の試合で先制タイムリーを放って以降当たりが出ていない。どうもボール球を追いかけすぎているようだ(そう言えば最初のタイムリーも高めのボール球だったような気がする)。落ち着いて打つべき球を見極めていくことができるか?


見どころ⑥ 濱口投手の仕上がり


このところ、ブルペンで小谷アドバイザーや木塚コーチなどが付きっきりで長い時間投げ込みを行いフォームの矯正を行なっていた。その成果を見せることができるか?


手っ取り早く言えば、ストライク先行でバッターと戦っていくようなピッチングを見せて欲しい。


見どころ⑦ 三上投手の復活


先日のドラゴンズとの練習試合では3者連続三振と好調で復活を印象付けていた。キレのあるストレートとスライダーは往時の状態のように見えたが、あれはホンモノか?


首脳陣が確信を持てるようなピッチングを見せて欲しい。


見どころ⑧ 伊勢投手の初登板


先日のバッティング練習で素晴らしいコースに素晴らしいストレートをビッタビタに決めていた姿を試合で見せて欲しい。


伊勢投手の名前を使ったうまい回文を思いつくことができるか?(これは私の課題)