屋根の上のプーさん
10月29日 シーズン最終戦そのあくる日
以前、以下のような文を書いたことがあった。
“昨年、梶谷がFA権を得て、最終的にはジャイアンツの一員となるまでの過程で、私は毎日モヤモヤしていた。
そんな中で、ある日、井伏鱒二の屋根の上のサワンという小説を思い出した。
主人公である「私」が、ある時、怪我をした白鳥を見つけ、連れ帰って手当てをする。サワンという名前をつけて世話をして行くうちに、「私」はサワンのことがだんだん好きになってくる。
時が過ぎて、白鳥たちが故郷に帰る頃になると、空を飛ぶかつての仲間たちの声を聞き、籠の中のサワンは悲しそうに鳴く。「私」はサワンを手元に置いておきたいと思い、見てみぬふりを続ける。
しかし、次第に、自分自身の独占欲よりも、サワンの幸せを大事に思う気持ちが芽生えてくる。そして「私」はサワンを送り出す。サワンが仲間達と飛び去って行くのをずっと見ている。
そんな内容だったと思う。恋から愛へと気持ちが変わっていくプロセスなんだろう。
私は梶谷隆幸を送り出すことにした(梶谷選手の意思決定には全く影響しないことだが)。そして、ジャイアンツの中で、梶谷選手だけはこれからもずっと応援しようと思った。
宮﨑 敏郎はこれから、自身の軸をどこに置くことにするのだろうか?マスコミの報道では、地元九州のソフトバンクも候補になっているそうだ。
彼は彼らしくじっくりと考えて、決断するのだろう。そして一度決めたら絶対にブレないだろうと思う。
先のことは私には何も分からない。しかし一つだけはっきりしていることは、私が彼の決断がなんであれそれを支持し、そして、彼がどこに行ってもずっと応援し続けるということだ。“
そして、全ての日程を終えた本日、彼は6年契約でベイスターズに残留することを記者会見で明らかにした。
残留を決意したのは、26日に行われた本拠地最終戦後のセレモニーで、グラウンドを一周した時だという。ファンの拍手に応える中で「これだけのファンの方が球場に足を運んでくださって、声は出せないけれど、選手にも熱い気持ちは届いていた。勝って恩返ししたいと思った」と決意。今季最終戦となった28日の広島戦後に球団に「優勝したいです」と伝えたという。
そして、6年という長期契約に関して、生涯DeNAですかという質問に「はい」とにっこり。「このメンバー、仲間で優勝したい気持ちが強い」と心強い言葉を残した。
宮﨑がFA権を獲得してから、ホームランを打ってベンチに戻ってくると、本人も他の選手も両腕を肘のところでつけて手首から先を両側に開く奇妙なポーズをとることが多かった。
記者の質問に、今は言えません、と答えていたが、私はそれが横浜の頭文字であるYそして我が横浜スタジアムの照明塔のモチーフであるYを表しており、つまり、ベイスターズへの残留を決めたという意味だと盲信することにしていた。
この説を検証することはできないが、ともかく、プーさんこと宮﨑敏朗は来年からも我々とともにある。
屋根の上のプーさんは、遠くフクオーカに戻ることなく、横浜で共に戦い笑った仲間たちとずっと一緒にいることを決意したのだ。
有難う宮﨑
さあ振り抜け気迫あふれるパワーで
空高く舞い上がる白球は
このチームで優勝と言う彼の夢へと
鮮やかな軌道を描くに決まっている
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