WBC決勝戦先発は今永昇太 野球を終える時に真っ先に思い出せるような投球を
3月21日 朝8時からWBCの準決勝メキシコ戦があった。
先発は佐々木朗希投手で初回から160キロを超える速球と鋭く落ちるフォークボールを勢いよく投げ込んで行く。
MLBのスカウトの間でも次の大物ということで注目されているようだし、何故またIwate prefectureなのか、何故Iwateの投手は日本人としては規格外なほど高身長なのか、と言ったことが話題になっているらしい(※そもそもアメリカ人はIwateをイワテと読めるのだろうか?普通に英語読みしたらアイウェイトだと思う)。
事情通の間では、佐々木投手がMLBに移籍した場合の年俸について天文学的な数字が噂されている。
その佐々木投手は初回を三者凡退に抑えたが、2回に一死から初めてのヒットを許す。
そして、次の打者ウリアス選手が強烈なピッチャー返しを放ち、打球が佐々木投手の腹部を直撃した。
大事には至らず、次のトレホ選手のショートゴロでダブルプレーをとり無失点で切り抜けたが、この回のメキシコの攻撃はその後の伏線になっていたように思う。
3回も三者凡退に抑えて、4回表のメキシコの攻撃。
簡単にツーアウトを取ったが、4番のテレス選手にレフト前に運ばれ、次のパレデス選手もサードへの内野安打で二死一、二塁となる。
ここで先ほど腹部直撃の強襲ヒットを放っていた5番のウリアス選手が打席に入る。
0-1からの2球目は落ちないフォークボールが外角の甘いところに入ってしまった。
あっという間に左中間スタンドに放り込まれて先制のスリーランホームラン。一瞬の隙をつかれて痛い3点を失った。
国際試合での失点は相手チームに流れを渡すことが多い。
ましてや会場のローンデポ・パークはアメリカの南端にありメキシコからのファンが詰めかけたアウェーの状態だ。
球場の雰囲気が大きく変わったことがTV画面でもわかる。
【劇的だった!侍ジャパンの逆転サヨナラ勝ち】
3点を先制された侍ジャパンは5回から2番手にエース格の一人山本由伸投手をマウンドに送る。
山本投手は5回、6回、7回をフォアボールの走者一人を出したのみでテンポよく抑え、これが攻撃にリズムをもたらした。
7回裏二死から近藤健介がライトにヒットを放ち、続く大谷は四球を選んで一、二塁とチャンスを拡大する。
ここで、今日すでに2本のヒットを放っている好調の吉田正尚が打席へ。
メキシコの3番手ロメロ投手が2-2から投じた膝下のチェンジアップを腰を落として掬い上げ、最後は片手になったが、吉田選手本人は打った瞬間に確信歩きを始めた。
飛距離は十分、切れるかどうか?
高く上がった打球はフックすることなく真っ直ぐ飛んでいきライトポールのわずかに左を通過する大きなスリーランホームラン。3-3の同点に追いついた。
しかし、次の8回表に山本投手と交代した湯浅投手がメキシコ打線につかまり、ツーベース2本とシングルヒット2本を集中して2点を失った。
その後、8回裏に甲斐選手の代打山川選手の犠牲フライで一点を返して、4-5で9回裏の攻撃を迎える。
歴史的な好ゲームとなった今日の準決勝はこの最終回にクライマックスを迎える。
先頭打者の大谷翔平がメキシコのクローザーをつとめるガイェゴス投手の初球を振り抜いて宇宙観を破るツーベースヒット。
ファースベースを回る手前で自らヘルメットを脱ぎ捨て、セカンドベース上で仁王立ちのガッツポーズをするという気迫のこもったプレーだった。
次打者の絶好調 吉田正尚はやや勝負を避けられた形で四球を選び、無死一、二塁のチャンス。
ベンチは透かさず吉田選手に代えて周東選手をファーストランナーとして送り出した。この采配も後で効いてくる。
ここで打席に入ったのは悩める主砲 村上宗隆。
1-1からの3球目は真ん中高めのストレート。勢いのあるボールではあったが、失投と言って良いだろう。
ガイェゴス投手はMLBのカージナルスでもセーブを挙げているピッチャーで今回の大会でこれまで無失点だったが、やはり準決勝の最終回は彼にとっても特別なものだったのだろう。
村上選手は迷わずこのボールをコンパクトに振り抜いて基本通りのセンター返し。
打球はセンターの左を超えてフェンス直撃のツーベース。
セカンドランナーの大谷翔平に続いて周東選手も俊足を飛ばしてファーストから生還した。
6-5で日本代表の逆転サヨナラ勝ちとなり、明日の決勝戦進出が決まった。
【決勝戦の先発は我らが今永昇太】
準決勝の劇的なサヨナラ勝ちの余韻も冷めやらぬまま、試合後の記者会見で栗山監督は
”明日の先発は今永投手で行きます”
と明言した。
この一言で、今晩の私の眠りが浅いことが確定した。
今永投手の今大会これまでの成績は以下の通り。
投球回 4、ホールド1
奪三振5、奪三振率11.25
被安打3、被本塁打1、与四死球0
被打率 .200、WHIP 0.75
失点1、防御率 2.25
失点は韓国戦で打たれたソロホームランのみという素晴らしい成績だが、相手はなんと言ってもあの銀河系軍団アメリカ代表だ。
しかし、MLB挑戦を公言している今永投手にとっては怯んでいる場合ではない。
自分自身を売り込む最高のショーケースと思い、ワクワクしながら、しかし平常心で気負うことなく普通のピッチングをして欲しい。
決勝戦の先発については2日前に栗山監督から伝えられたという本人のコメント
”こういう勝ち方をチームがしたので、特に何か競うこともなく普段通りやればいいのかなと思う。
いい気持ちではマウンドに上がれないと思うが、初回からしっかり飛ばしていくだけ。
本当にすごい人がたくさんいるんで。
みんなに助けてもらいながら投げようと思った”
”野球を終える時にこのマウンドのことを真っ先に思い出すような投球を。
最後は勝たないと面白くないと思うので、チームが勝てるように、チームが勝つための先発の投球をしたいと思う”
”人はどんな高いところでも登ることができる
しかし、それには決意と自信がなければならぬ”
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
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