mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

走れソト

10月7日 対タイガース(横浜) 4-3 勝ち


先発のロメロはこのところ150kmを超えるツーシームやフォーシームと日本に来てから大家コーチに教わったカットボールなどを使ってうまくゴロを打たせていた。


3回表に二死一塁からマルテに三塁線を破られ、先制点を許したのは、高めに浮いた甘い球だったと思う。それにしても、あれで一塁からホームまで帰ってくる近本の走力と抜け目のない走塁は大したものだ。

そこからややバランスを崩して、大山のツーランホームランにつなげられてしまった。ツーアウトからのこの3点はいかにも勿体ない感じだったし、連敗中のベイスターズにひっくり返す力があるのかは疑問だった。


しかし、今日はベイスターズにいつもより少し多めの運があったと思う。そう言えば、ロメロがヒーローインタビューで神様、ソト、ヤマモトサン グラシアスと言っていた。

4回裏ノーアウト、レフト前ヒットの牧を一塁に置いて、宮﨑のゴロをピッチャー伊藤が悪送球で二三塁となった。このプレーがベイスターズを生き返らせるきっかけになったように思う。その後、ソトのセカンドゴロ、山本のサードゴロを大山がお手玉する間にそれぞれ1点ずつあげて2-3。何とか流れを少し引き寄せた。


そして、8回裏。四球から盗塁の牧を二塁に置いて、ソトが2-2から及川の外角ツーシームを逆転ツーランホームラン。最近は不調の彼だが、私は、心のどこかで、ひょっとしたらやってくれるのではないかと信じていた。


ソトは打った。そして、こう言った。


「それだから打つのだ。信じられているから打つのだ。クライマックスシリーズに出られる出られないは問題ではない。人の命も問題ではないのだ。私はなんだか恐ろしくてもっと大きなもののために打っているのだ。ついて来い!フィラストラトス。」


続けて、私に向かってこうも言った。


「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。もし君が私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。」


私は全てを察して、刑場一杯に響くほどの音でソトの頬を殴った。そして言った。


「ソト、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君がもう二度とホームランを打つことはないのではないかと疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」


スミマセン。ご指摘の通り、私は、信じようとしながらもソトはどうせ打てないのではないかとチラと疑った。その直後に彼が逆転ツーランを打ち、ベースをまわりながら彼にしては珍しく何か叫び大きなガッツポーズをするのを見た時に、この1ヶ月の深い苦悩に想いを馳せ、とても申し訳ない気持ちになって、太宰治の走れメロスを思い出したのだ。


その後、あれほど揉めていた9回表一点差でのクローザーはエスコバーがあっさり三者凡退(うち二つは三振。ただし、先頭打者の糸原の大きなレフトフライはちょっとドキッとした)でゲームセット。彼の内角に決まる155キロの豪球を見ると、やはり、クローザーは有無を言わせないようなボールの力が必要なんだなと思うが、いつもこう上手くいく訳ではないことも知っている。


いずれにしても、我々の窮鼠は瀬戸際で猫を噛んだ。このことを素直に喜び、明日の中日戦にも引き続き念力を送ろうと思う。