mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

上茶谷大河の決意

10月8日 対ドラゴンズ(横浜) 9-3 勝ち


上茶谷大河の3年目のシーズンは実に厳しい形で幕を開けた。


4月1日ヤクルト戦2回被安打5 本塁打1 四死球3失点5(エイプリルフールかと思った)

4月10日タイガース戦7回被安打1 四死球0失点1 負け

4月17日ジャイアンツ戦6回被安打7 本塁打2 四死球3失点7 負け(エイプリルフールではなかった)


そして問題の4月24日タイガース戦一回被安打7失点6 初回KO。

まさにめった打ちだ。


その後、上茶谷は一軍登録を抹消され、7月初旬までファームで調整を行うこととなる。仁志二軍監督から「お前の真っすぐじゃ空振りは取れない。その真っすぐで空振りを取ろうとしているのか」という厳しい言葉をかけられ、従来の直球とカットボールでバッターと勝負していくスタイルを変えることにした。大家ら3人の2軍投手コーチをはじめ、伊藤、戸柱、益子ら捕手、今永昇太投手らチームメートにも質問を繰り返して、低めに制球してゴロを打たせるスタイルに変更するが、それだけではまだ結果は出なかった。




7月8日カープ戦5回被安打5 四死球4 失点3

息苦しいようなピッチングだったと記憶している。


試合後の三浦監督のコメントでは明言されなかったが、翌日、抹消されて再びファームでの調整となり、今回は長期に及んだ。その間、仁志監督は、今のままでは一軍に上げることはできない、と厳しい言葉をかけていたようだ。


そして、今日、ちょうど3ヶ月ぶりの登板だった。初回は緊張からか表情もフォームも硬く、先頭の京田にヒットを許すと、次の岡林を歩かせて無死一二塁。続く大島とビシエドはいずれもセンターフライにうちとって二死まではこぎつけたが、次の福田のフラフラと上がったレフト線のフライが風でフェアグラウンドに押し戻されて2点タイムリーツーベースになってしまった。今年の上茶谷は運もないと思った。


しかし、その裏早くも佐野のソロホームランで一点返すと、2回には、佐野の2打席連続となる満塁ホームランを含む6得点で7-2として勝負を決めた。佐野のこういう爆発的な貢献は久し振りな気がする。


その後、上茶谷は7回に福田のフェンス直撃の三塁打からセカンドゴロの間に1点を失ったが、点差が余裕を生んだのか、7回被安打4 四死球1 失点3とまずまずの内容だった。来週は金曜日と土曜日に試合が無いため一旦抹消される可能性もあるが、今シーズン中にもう一度チャンスがあるのでは無いだろうか。


2度の二軍落ちを通じて、上茶谷は、勝つためにできることはなんでもやろうと決意したのだろうと私は思う。タイミングを外すための投球のリズムの変化や時折り肘の位置を下げて投げる等のバッターを幻惑させる様な動きもその一部だろう。解説の佐々木さんからは小手先と言われていたが、それは上茶谷自身も良くわかっていることで、それでもやろうと決意したのだろうと思う。そして、3度のバントと毎回の全力疾走。この貪欲な努力が三塁前の内野安打につながり、二回裏の大量得点を呼ぶこととなった。


ヒーローインタビューで、上茶谷は、なんだかホッとした様な、ちょっと涙ぐんだような複雑な表情をしていた。強いボールでバッターを押し込む投球で勝てるピッチャーになるという夢を諦めたことが手放しでは喜べない気持ちにさせているのかも知れない。しかし、私は、小手先と言われようと、制球とキレそれから打者のタイミングを外すあの手この手で勝ち続けた投手を何人か知っている。しばらくベイスターズでは見かけなかった醒めた大人のピッチャーだ。私は、上茶谷が現実を見つめ、勝ちに徹した玄人の負けないピッチャーになることを願っている。これも、豪速球投手と同様、間違いなくプロ野球の華の一つなのだ。


元気を出せよチャーリー・ブラウン。この人生にはのまなきゃならない苦いクスリもあるもんさ  

チャールズ・シュルツ