mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

2022年のスタートライン



昨日(2月1日)NPB12チームは一斉に春のキャンプをスタートさせた。


もちろん昨シーズン終盤での各チームの戦力差が完全に無くなったわけではないが、「男子三日会わざれば、刮目して見よ」という言葉もある。


昨年のセパ両リーグの覇者がどちらも前年最下位のチームだったことからもわかるように、シーズンオフで陣容が変わり、自主トレ等で自らを磨いてきた各チームは昨年とは別のものと見るべきだろう。


12球団がスタートラインに並んだ今、大事なことは、これからそれぞれのチームが何を目標にしてどの方向に進んでいくかだ。


それぞれの監督は、あたかも画家が真っ白の大きなキャンバスに最初の一筆を書き入れるような覚悟で最初の一歩を踏みしめたことと思う。


ベイスターズは、コロナ禍という制約の中で主力選手の複数年契約での残留や経験豊富なレジェンドコーチの招聘などフロントができる限りの努力で陣容を整えた。

横浜反撃というチームスローガンを決まり、チームの形を整えることに関しては例年以上にうまくいっているように思う。


問題は、これから、チームとしての戦い方をどのように具体化し、各選手がそれをより高いレベルで実現するための技術や力を身につけることができるかどうかだ。


昨日のキャンプ初日に、三浦大輔監督は、次のような三つのゴールを掲げた。


「投」 全員が80%以上の確率で投手有利なカウントをつくることができる


「打」 全員がチーム打撃をすることができる


「走」 全員が全力で一つでも先の塁を狙う走塁ができる


「投」と「走」のゴールについては全く異論がない。私はこのゴール設定が正しいと信じているし、チームの皆が同じ方向で迷いなく努力して欲しいと思っている。


「打」については少し気になっていて、このゴールが正しいかどうかはチーム打撃というものの具体的な内容次第だと考えている。


例えば、ノーアウト一塁で右打者が打席に入った時、何がなんでも広く開いた一、二塁間を狙って流せという指示はいただけない。昨シーズンもこうした場面で、例えば知野選手が内角の速球を窮屈なスイングで流そうとして結果が全く期待できないような力の無い振り方をしていたことがあった。


打者がしっかり振ることができるのが大前提で、上の例のような形式的なチーム打撃を優先するようだと攻撃力はむしろ低下してしまう。


しかし、強くスイングすることを徹底して指導してきた石井琢朗コーチが着任した今年は、このような決まりごととしてのチーム打撃をやみくもに繰り返すことはないだろう。


状況と打者の力量や技術に応じて個々の局面で最も得点貢献度の高い打撃(私はこれが本来のチーム打撃だと思う)を選択すること、そして、その意志を各打者が共有して行動することを目指してくれると思う。


昨日のブログで、私が個人的に今回のキャンプで注目している10のポイントを挙げたが、そのうちいくつかについては昨日の練習でもヒントになるようなシーンがあった。


まず、先発ローテーションについて。

来日後間もないロメロ投手はまだフィジカル中心の練習だが、それ以外のローテーション候補である今永昇太、東克樹、大貫晋一、濱口遥大などは初日からブルペンに入った。



監督からの指示で、全員がストレートだけを投げ込んだ。

三浦監督はこの「直球縛り」の狙いを「何か変えていかないと。直球があっての変化球だし、(ストライク)ゾーンの中で勝負してほしいというところもある」と説明していた。


正直言って、ストレートに絞って数十球投げたことで何かが大きく変わることはないだろう。


しかし、「全員が80%以上の確率で投手有利なカウントをつくることができる」というゴールを達成するために、強いストレートをゾーンに投げて勝負するという具体策をチーム共通の戦術として徹底させるという意識面での効果は大きいだろう。


ただし、ここでも、強いストレートをゾーンに投げて勝負することはあくまで手段なので、それ自体が目的化して痛打を浴び続けるという本末転倒にならないような柔軟性は失わないで欲しい。


この点は、NPBとMLB両方で強打者と渡り合ってきた経験豊富な斎藤隆コーチの指導があれば大丈夫だろう。


もう一つのポイントは、佐野選手のファースト守備だ。


守備練習の際に、彼がファーストに入るシーンが見られたが、手にしていたのはファーストミットではなく外野手用のグラブだったのでこれだけでは未だ何とも言えないのだが、少なくとも可能性を全く考えていないということではないように思う。


三浦監督も記者の質問に対して、佐野選手がファースト守備につく可能性はもちろん選択肢の一つとして考えていると答えていた。


昨日も書いたように、この選択肢があると、ソト選手の不調時に佐野選手をファーストに回して、レフトに大田泰示、神里和樹、楠本泰史、細川などの中で打撃好調の選手を起用することで攻撃力を下げずに守備力を同時にアップすることも可能になる。





どこへ行こうとしているかがわかっていなければ、おそらく目的地にはたどり着かない。


ヨギ・ベラ※


※ アメリカ合衆国・ミズーリ州セントルイス出身のプロ野球選手・コーチ・監督。 背番号8は、ビル・ディッキーと共にニューヨーク・ヤンキースの永久欠番。