mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

プロ野球は命がけで遊ぶおもちゃ

10月17日 対スワローズ(横浜) 3-7 負け


初回の京山は素晴らしかった。ストレートが走っていて、好調スワローズ打線の上位でも前に飛ばせなかった。京山の帽子の両横から飛び出して跳ねあがった髪も素敵に見えた(ウソ)。


回が進むにつれて、そうも言っていられなくなる。今日はどうも主審のストライクゾーンとのおり合いがつかなかったように見えた。


内角低めの素晴らしいストレートが何度かボールと判定されて調子を崩し始めたように思う。テレビでは、スローで見ても完全にストライクに見えたので、私は思わず、「旦那、そいつぁあんまり酷えお裁きだ。」と言った。野球の前に時代劇を見ていたのだ。


2-3で迎えた7回表、先頭の塩見に投げた2球目の外角低めのカットボールもストライクだと思った。私は思わず、「あっしらに死ねとおっしゃるんですかい?」と言った。くどいようだが、野球の前に時代劇を見ていたのだ。


腑に落ちないのは、キャッチャー山本は次に全く同じボールを要求して、案の定ボールとなったことだ。これで、0-3。結局、塩見はストレートで歩かせることになり、この走者が一死一、二塁から山田哲人のレフトへのツーベースで生還して、2-4と2点差になった。


ボールと言われればボールなのだから、それがその日のストライクゾーンと思って折り合いをつけるしか無いだろう。ノーアウトの走者を残して降板した京山の帽子の両横から飛び出して跳ねあがった髪もいけすかなく見えた(ホント)。


本当はストライクだと思ってもボール判定だった球をくり返す意味は何なのだろう。さっきはごめんね、と言ってストライクにしてくれるということがあると思うのだろうか?裁定というものは一貫性が重要なので、そういう事はないのだ。私は、つぶやく様に、「お若いの、お上にたてついちゃあいけませんぜ。」と言った。野球の前に・・・(以下省略)。


この回、山田哲人にタイムリーツーベースを打たれたのは伊勢だったが、その前に登板した櫻井が山崎に7球粘られて結局四球を出し、無死一、二塁としたのも痛かった。伊勢が山田哲人に打たれたのは内角厳しいところのストレートだったが、今の山田は手のつけられない状態なので、相手を褒めるべきだとは思う。


いずれにしても、この3人の若者たちは、今日もそれぞれに壁に挑んで跳ね返され、痛い思いをすることになった。


最近、記事を書いていて、どうも横道に逸れることが多いのだが、お許しいただいて、スケートボードのストリートという競技について書きたいと思う。


私は、今回の東京オリンピックではじめてこの競技を観たのだが(勿論、テレビで)、今までのどの競技とも違う文化や価値観に関心して、大好きになった。点数をまとめるために大事に行く、という様な他の競技にありがちなセオリーという名前の保身がほとんど無いのだ。


選手たちは常に大技を狙い、そして失敗しても、周囲は勇気ある挑戦を褒めたたえる。


考えてみると、この競技は、コンクリートと鉄ばかりの舞台でほとんど防具も着けずに、極めて高度で複雑な技を繰り出すのだ。床やレールの様なものに叩きつけられてクラッシュしている選手を何度も見た。


技を習得するまでの練習では、恐らく、皆が一度ならず競技者生命に関わる様な大怪我をしているのだと思う。実際、オリンピックという晴れの舞台で、直前の練習での怪我のために不本意なパフォーマンスしか出来なかったり、スタートするのが精一杯という選手が何人もいた。


日本の女子で第一人者である西村 碧莉選手も、直前の練習中の怪我のためにオリンピックには出られないと言われていたようで、驚異的な頑張りと忍耐で何とか出場したが、彼女の最上のパフォーマンスではなかったようだ。結果としては、彼女より若い日本の10代の選手たちがメダルを取ることとなった。


試合が終わって、インタビュアーが西村さんに、あなたにとってスケートボードはどの様なものですか、と聞いた時、彼女は全く迷うことなくこう言った。


スケートボードは命がけで遊ぶおもちゃです。


私は、スケートボードの厳しさや危険、そして楽しさ、つまり競技としての魅力がこの短い言葉につまっていると思う。


さて、野球の話に戻ろう。


プロ野球では、失敗がすなわち大怪我になるということは少ない。勿論、怪我もあるが、それよりも、プライドや周囲の期待、そして自分自身が最も大切にしているものが打ち砕かれるという精神的なものであることが多いと思う。


そして、何万人という観客の前で、何百万人というテレビの前のファンの眼前で、職業として野球をして、自分の一番得意な大事にしている唯一無二のものを打ち砕かれるというのは、場合によっては命にかかわるような一大事なのだと思う。


先程書いた若手の三人は、チャレンジに失敗したし、9回に登板してインハイのストレートを山田哲人にダメ押しのスリーランホームランにされた三嶋一輝は打ち砕かれた思いだろう。一方で、内野安打で久し振りに出塁し、神里のツーベースで一気に本塁まで駆け抜けた森敬斗の顔は楽しくて仕方ない様に見えた。


私は彼らの失敗に批判めいたことは決して言いたくない。彼らは、打ちのめされ、立ち直れないほどのダメージを負う恐怖と闘いながら、例えば、強打者の内角に渾身のストレートを投げ込むという挑戦を続けるのだ。私はむしろこう言いたい


プロ野球は命がけで遊ぶおもちゃなんですぜ。若えうちはゴン攻めしなせえ。