mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

森敬斗の歩いていく道

12月12日。石井琢朗コーチが2年目のシーズンを終えた森敬斗選手について「スタメンに名を連ねるには、しないといけないことがたくさんある」と言い、時間をかけて大成させるプランを思い描いているという記事があった。


「(潜在能力に)見合った土台づくりをしないと。基礎となる部分をしっかりやってもらいたい。おそらく今はその段階」


ポテンシャルはすごくいいものを持っているからこそ焦らずに育成すべきと考えているとのことで、素人ながら私もその通りだと思う。


ファームで森選手を去年から指導してきた仁志2軍監督も次の様に言っている。


「1軍でもそれなりに見えるかもしれないが、続けて出場してどうかと考えると、まだやることはたくさんある。技術だけじゃないところもいろいろステップアップしてほしいと今でも思っている」


「肩が強く、足が速く、振る力も強い。原石として素晴らしいものを持っている。ただ素質だけで結果は出せない。その方法を覚えてほしい。彼は1軍のレギュラーとしてだけではなく、ゆくゆくは日本代表チームで不動の1、2番打者にならないといけない。そういう意味ではまだまだスタートラインにも立っていない」


首脳陣のみたては概ね同じというところ。


本人はどう言っているだろうか?


「(今シーズンは自分で点をつけるとすると)40点くらい。(今季初スタメンの中日戦で)最初に打って、こんな感じで入っていけば、試合で起用してもらえると思っていたが、そんな簡単ではなかった」


「手も足も出ないという感じではない。ただ、同じように結果を出すことが難しかった。体でも心でも、立ち返る場所、原点とするものを持っていれば良かった。常に明日は来る。毎日、自分(の状態)が変わる中で、どう良い時と同じようにやれるか」


「(30打席連続で無安打の時期は)自分に腹が立って試合が終わったロッカーで下を向いていた。もちろん、今までも不振の時期はあったけどそこまでではなかった」


少し気になるのは、彼のコメントの多くが、目の前にある技術的な課題をどう乗り越えるかということではなく、結果やゴールを求めるものであることだ。例えば、次のようなコメントがあった。


「ことしはなかなか良い結果が出せず、掲げていたレギュラーには届かなかった。2022年は開幕スタメンで出て、一年間レギュラーで試合に出られるように頑張りたい」


私としては、今の自分に欠けているものは何かを明確にし、その中でまず今のシーズンオフそして春のキャンプでは何に優先して取り組むのか、と言った実務的な考えを聞きたい。


「開幕スタメンで出て、一年間レギュラーで試合に出られるように」という目標は心の中で強く念じ続ければ良いように思う。それは、言わなくても彼の振る舞いから周囲に伝わるものだ。


イチローさんが、


小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道


と言っているのは、経験に裏付けられた金言だと思うのだ。



秋季トレーニングで石井琢朗コーチからマンツーマンで指導を受けた際に、森選手は、


「来年に向けて一日一日を大切にしている。石井コーチらから教えてもらって、新たな感覚が難しければ、ちゃんと質問してもやもやが残らないようにしている。やっぱり、レジェンドの方々に教わっても結果につなげるのは自分。ものにできるようにしていきたい」


と言っていた。この気持ちを忘れず、足元をしっかりと見て励んで欲しい。


そう言えば、こんな詩もあった。


 

あれはとおいい処にあるのだけれど

おれは此処で待っていなくてはならない

此処は空気もかすかで蒼く

葱の根のように仄かに淡い


決して急いではならない

此処で十分待っていなければならない

処女の眼のように遥かを見遣ってはならない

たしかに此処で待っていればよい


(中原中也 言葉なき歌、抜粋)