最終戦の闇からのベイスターズの歩み
10月28日の今季最終戦(マツダスタジアム)でのカープ戦は0-7 の大敗だった。
あの日京山は力強いストレートを投げていたが、6回につかまった。小園のライト前ヒットの後、4番西川の意外なバントの構えを警戒しすぎてストレートのフォアボール。この辺から彼のピッチングのバランスが明らかに崩れたように見えた。
その後、4連打で0-4となり、なお一、二塁でピッチャー大瀬良のバントの構えに対してフルカウントから再びフォアボールで歩かせ、無死満塁としたところで降板。
代わった櫻井はストレートのフォアボールで押し出しの後ツーアウトまで行ったが、この回2度目の打席に入った西川の2点タイムリーで0-7。
この試合を最初から最後までテレビで観ながら、私はゆっくりと夕陽が沈んで行くのを見つめているような気がしていた。牧の2本のヒットも太陽が地平線に沈む直前の薄暮の輝きのように思えた。
そして、9回二死から代打で出場した神里がインコースのストレートを見逃して試合終了となった時、完全な闇が訪れたことを悟った。
そう、これが我がベイスターズの2021年シーズンのラストだった。
来年再び朝日が昇るのを見るためには、一度、しっかりと暗闇に沈む必要がある。
“敗北したところから、すべてが始まる。それが敗北の深い意味である。 石原吉郎”
という言葉がある通り、重要なことは、この敗北を受け止めてその後どのような努力をするかだろう。
シーズンオフである今は球団フロントが努力する時期だが、既に何度か書いているように、彼らは申し分ない動きを見せていると思う。
まず、三原球団代表が“正直、昨年FAで2人(梶谷、井納)の選手が出ていったのは決して小さい出来事ではなかったと思う”と言っているように、現有戦力の確保が最低限に必要なことだ。
・オースティン選手の3年間の大型契約での残留(4年目は球団がオプション権を持つ)
・エスコバー投手(2年契約)、ロメロ投手の残留
・FA権を得た宮﨑選手と6年契約で生涯横浜
・FA権を得た山﨑康晃投手の残留
・来年FA権を得る三嶋投手と桑原選手にそれぞれ3年と4年契約を結び準生涯横浜
・海外FA権を得た大和選手の2年契約での残留
昨年と異なり今オフの主力流出は全くなかった。
そして、それ以外の選手のモチベーションを高く保つことも重要だが、新人離れした大活躍の牧秀悟選手の年俸を新人野手史上最高の7000万円に引き上げるなど、この点でもフロントの動きは評価できる。
もちろん、金銭面だけで選手のモチベーションが上がり成績も向上するというほど簡単なものではない。しかし、球団としてできる重要な対策の一つであることは間違いないと思う。
金銭以外でフロントのできることの一つに環境整備がある。
これについては、DeNAはこれまでも横須賀の2軍施設DOCKの寮や練習設備の充実に力を注いできた。特に動作解析や球速・スピン量等についての計測・分析設備の充実ぶりは12球団でトップレベルのものだと思う。
そして、もう一つ大事なことはコーチ陣だが、これについては、
・石井琢朗コーチ、斎藤隆コーチ、鈴木尚典コーチ、相川亮二コーチ、小谷正勝アドバイザーの復帰
という大きな対策をとった。私は今回退任した坪井打撃コーチのこれまでの指導も高く評価しているので、選手等は、これをゼロクリアするのではなく、さらに石井コーチや鈴木コーチの指導で引き出しを増やして欲しいと思う。
二者択一でのスタイルの変化ではなく、両者の良いところを合わせた蓄積を目指すべきだ。
最後に、新戦力の獲得という意味では、
・高校No.1の声が高い小園健太投手や徳山投手、三浦投手などの大卒の即戦力投手の獲得
・10を超える驚異的な奪三振率を誇る新クローザー候補クリスキー投手の獲得
・日本ハムをノンテンダーとなった大田泰示選手を獲得
・楽天を自由契約となった藤田一也選手の復帰
とこちらも抜かりない。また、三原代表は、救援投手の補強はクリスキー投手で終わりということではなく、年が明けてからも継続して取り組むと言っている。
冒頭に述べたように、ベイスターズは10月28日の最終戦で日没を迎えた。
しかし、その後、闇の中で来季に向けた動きを確実に進めている。
こうした闇の中での手探りの進歩がチーム全体でどのような変革をもたらすのかは来年三月の開幕で白日のもとに晒されることになるだろう。
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