mizuyashikiのブログ

横浜ベイスターズを中心にその時に考えていることを書きます。

今永昇太のメンターとしての筒香嘉智

今永昇太投手の契約更改が先日行われ、年俸は現状維持の1億円(推定)となった。


その際、三原球団代表と次のようなやりとりがあったそうだ。

(スポーツ報知 12月23日)


“三原代表に「アメリカに興味はあるか」と聞かれ「あります」と答えたという今永。


予想外の問いかけにも、気持ちをしっかりと伝えた。


「自分が米国に興味を持つことがいいのか悪いのかをいったん度外視していいのなら正直、興味はある。


筒香さんとかが活躍している姿をみんなロッカーで食い入るように見ている。自分もそういう存在になってみたい」。


もちろん、左肩手術の影響もあって2年連続5勝に終わった責任も十分痛感。それでも、初めて公の場でメジャーへの思いを口にした。


三原代表は「希望、興味があるかを確認しただけ」と説明。


今後の見通しについて今永も「煮詰まった話というのは特になくて、ただその気持ちがあるということを、伝えたというだけ」と話すにとどめた。“


この記事を読んで、やはり、プロ野球選手は自分のキャリアの中で一度はトップレベルで力試ししたいと言う強い気持ちを持っているのだなと思った。


そして、今永投手にとって筒香嘉智選手の存在が大きなものだと言うこともにじみ出ていると感じた。


ところで、最近の人事や教育研修などの分野で良く聞く言葉にメンターと言うものがある。


メンターは、助言者あるいは相談者という意味で、古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」の中に登場する賢者Mentorが語源となっている。彼は王子の教育係であり、信頼できる素晴らしい助言者だった。


会社組織におけるメンターとは、新入社員を指導、サポートする先輩社員のことを指す。

通常、メンターには直接の上司に当たる人とは別に、新入社員に年齢が近い先輩社員が選ばれる。


今永投手と筒香選手の関係を見ているとこのことを思い出す。


筒香選手は監督やコーチとは別に、若手選手により近い立場でプロ野球選手にとって大事なことは何か、そして、プレーやプライベートでの悩みなどのメンタル面もサポートする役割を果たしていたのだろうと思う。


メンターの役割としてもう一つ重要なことは、若手との日々の話し合いの中から中長期的なキャリア目標を引き出し、その達成のために何をすべきなのかを一緒に考えることだ。


上記の今永投手のコメントにある「筒香さんとかが活躍している姿をみんなロッカーで食い入るように見ている。自分もそういう存在になってみたい」という言葉は、彼と筒香選手が「日々の話し合いの中から中長期的なキャリア目標を引き出し、その達成のために何をすべきなのかを一緒に考え」て来たことを感じさせる。


お馴染みの「今永昇太投手のズボンのベルトを必要以上に上げる筒香嘉智選手」


昨日も手術後のリハビリを通じて今永投手が感謝の気持ちを一番大切にしていると言うニュースがサンスポに掲載された。


“「僕らが朝早くトレーナーのチェックを受けるということは、僕らより早く来なければいけないスタッフがいる。日々が当たり前になると感謝すべきことは薄れてしまうので、自分にもう一度問いかけるつもりで」と、毎日必ず何か一つでも感謝することをノートに書き記すようになった。


「今、野球界の常識って社会に出れば非常識。自分から野球を引いたときに、プラスになることをもっとつくっていかないといけない」


感謝の思いは記すだけではなく、行動でも示した。


例えば、今季からチームに加わった台湾出身の余聖傑(ユ・スンチェ)打撃投手が、まだ用具をそろえ切れていない状況を見つけると「これ、かっこいいから使ってください」と自身が使用していたグラブをプレゼント。


〝必需品〟の遠征用バッグとスリッパまで用意して贈った。裏方の誕生日には自ら脚本を書き、仲間を集めて寸劇を披露するなどエピソードは尽きない。“


この様な裏方の方々も含めたチーム全体への気配りと努力は、筒香選手がベイスターズのキャプテンだった頃から日常的に見られたことで、メンターとしての彼が日々の会話や自分の行動を通して今永投手に「プロ野球選手にとって大事なことは何か」を問いかけ共有していったことがつながっていると思う。


今永投手は秋季トレーニングの手締めに立候補し、体ごと裏方のほうを向いて「私たちが何不自由なく野球ができたのは皆さんのおかげ。来年は、ここにいる皆さんと笑い合えるように頑張っていきます」とスピーチした。


こうした「理念」は、筒香選手から今永投手へ、さらに次の世代、恐らくは牧選手あたりに着実に伝えられて行くことと思う。そしてベイスターズと言うチームが時代を貫いて体現していく文化になることを祈っている。